【勲章】 †
Order*1 / Decoration.
国家やその元首が、個人の功績や業績を表彰するために授与する記章。
日本での勲章 †
日本において勲章は、天皇の名で授与される*2。
現在22種の勲章が存在し、「菊花章」、「桐花章」、「旭日章」、「瑞宝章」、「宝冠章」そして「文化勲章」に大別される。
1875年、勲一等から八等までの8等級からなり、男性のみが受勲できる「旭日章」が設けられ、日本初の勲章となった。
その後、女子のみが受勲できる「宝冠章」や、「瑞宝章」「文化勲章」、戦時に功績を挙げた軍人・軍属に授与される「金鵄勲章」が設けられた。
第二次世界大戦後、GHQの占領政策の下で軍が解体されたことから金鵄勲章が廃止となり、文化勲章を除いた生存者叙勲などが停止されたが、1964年に生存者受勲が再開され、戦前の勲章制度が以後40年にわたって引き継がれた。
21世紀に入った2003年には栄典制度の大改正が行われ、叙勲の官民格差を是正するために「勲一等」などの数字を廃止し、「旭日章」が男女問わず授与されるようになった。
また、女性のみが授与されていた「宝冠章」は、皇族の女子または外国人女性への儀礼的場合にのみ授与される特別な勲章となった。
加えて、自衛官や警察官・消防吏員・海上保安官・入国警備官・刑務官など、生命・身体の危険を伴う公務に長年従事した55歳以上の者を、一般の受勲対象者とは別個に選考した上で叙勲する「危険業務従事者叙勲」制度が創設された。
なお、この制度ができるまで、自衛官は(戦後の政策で自衛隊が「軍隊」と認められなかったことから)一部の例外*3を除き、その業務に従事したことについての功績を「日本国政府の名において」表彰されることがなかった*4。
世界の主な勲章 †
勲章は、元々近世ヨーロッパで宮廷を中心とした支配階級の栄誉の象徴だった。
そのため、イギリスやフランスなどの勲章は長い歴史を有し、また、数多くの日本人が諸外国の勲章を授与されている。
- ガーター勲章(イギリス)
- バス勲章(イギリス)
- メリット勲章(イギリス)
- 聖マイケル・聖ジョージ勲章(イギリス)
- ロイヤル・ヴィクトリア勲章(イギリス)
- ヴィクトリア十字章(イギリス)
- レジオンドヌール勲章(フランス)
- 鉄十字章?(ドイツ)
- 黄金ダイヤモンド柏葉剣付騎士十字章(ドイツ)
- ドイツ連邦共和国功労勲章(ドイツ)
- 勝利勲章?(旧ソ連)
- レーニン勲章?(旧ソ連)
- イタリア共和国功労勲章(イタリア)
- マンネルハイム十字章(フィンランド)
- 大統領自由勲章(アメリカ)
- 議会名誉勲章(アメリカ)
- 殊勲十字章?(アメリカ)
- シルバースター?(アメリカ)
- パープルハート章?(アメリカ)
- 大勲位菊花章頚飾(日本)
- 大勲位菊花大綬章(日本)
- 桐花大綬章(日本)
- 勲一等旭日桐花大綬章(日本)
- 旭日大綬章(日本)
- 瑞宝大綬章(日本)
- 文化勲章(日本)
- 宝冠章(日本)
- 無窮花大勲章(韓国)
- 金日成勲章(北朝鮮)
- チンギス・ハーン勲章(モンゴル)
- ラーチャミトラーポーン勲章(タイ)
*1 12世紀の十字軍遠征で聖地エルサレムに作られた騎士団(Order)に由来。
*2 日本国憲法第7条(天皇の国事行為)第7号「栄典を授与すること」が根拠法令となっている。
*3 (外国軍では大将とみなされる)統合幕僚長及び陸海空の各幕僚長を務めた将を除く。
*4 1980年代に「防衛記念章」という制度ができているが、これは防衛庁長官・防衛大臣の職権において行われる内部的な表彰である。