【機動力】(きどうりょく)

部隊が戦闘状態において適切な機動を行う能力。
ある機動を完了するのに必要な所要時間が短いほど高い機動力として評価される。

必然的に騎兵、車両、航空機など、物理的に速度の速いものが高く評価される。
しかし地形を踏破する性能、航続距離、集団行動する場合は統率を維持する能力も含まれる。
必要な移動距離が短い場合は初動に必要な準備時間、加速性能、旋回能力なども大きく影響する。
また、長期に渡る戦闘では継戦能力(帰投・補給・展開の頻度)も所要時間に影響を及ぼす。

例えば、戦闘機は極めて高速であるにも関わらず、多くの場面で機動力の劣悪さを露呈する。
滑走路から離陸する手順の煩雑さのため、緊急時の初動は陸戦兵器と比べものにならないほど遅い。
武装を短時間で撃ち尽くす程度しか搭載できないことや、パイロットの生理的問題から継戦能力は低く、戦闘後は直ちに離脱、帰投する事になる。
実際に他の兵器より優れた機動力を発揮できるのは遠距離で実施される戦闘やドッグファイトの場合である。

必要とされる全ての場面で常に機敏である事は不可能であり、およそ全ての兵科は機動力にまつわる弱点を持つ。
一般に最遅とされる徒歩行軍でさえ、人間が歩いて行くのが最速となるような状況は珍しくない。
軍隊全体として十全な機動性を発揮するためには、多様な兵科を揃えて使い分けられる態勢を整えておく必要がある。


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