【ヒットアンドアウェイ】(ひっとあんどあうぇい)

Hit and Away.

「一撃離脱」とも呼ばれる。
有効射程索敵能力の許す限り遠くから攻撃を仕掛け、即座に撤退する戦術

航空機においては、主に戦闘機が敵機より位置・速度エネルギーで優位の状態で接近して攻撃、追撃など減速を伴う機動をせずにそのまま離脱する戦法を指す。
この戦法自体は戦闘機の黎明期から存在した。
しかし、空力的な問題から速度優位を維持しずらい複葉機が一対一のドッグファイトで勝敗を決することが多かった第一次世界大戦頃、この戦法は一般的でなかった。
その後、空力的に優れる単葉機で編隊空戦を実施することが一般化した第二次世界大戦頃から、損耗を抑えつつ戦果を挙げることができるこの戦法は重視されるようになった。

戦術的にはゲリラ戦騎兵による突撃狙撃手の配置などが代表例。
成功しても火力効率が悪く、敵戦力に有効打を与える前に撤退・離脱を余儀なくされる事も多い。
その際には追撃を振り切るだけの機動力が必要となる。

また、上記の理由から、ヒットアンドアウェイは「撤退する事が可能な状況下」でしか成立しない。
兵站基地との接続は一戦力にとって必須事項だが、非常時に基地ごと撤退するのは極めて困難である。
従って、敵軍に兵站網の配置を把握されてしまった状態でのヒットアンドアウェイはほとんど成功しない。

総じて時間稼ぎ・兵站士気への負荷に主眼を置く戦術であり、ヒットアンドアウェイのみで戦略的な勝利を得る事は難しい。
しかし、戦術的には敵戦力を確実に弱体化させ、自軍が優位な状態での決戦を強いる事ができる。
大規模な作戦では、本隊が大規模な追撃を仕掛けるために、敵軍を拘束して隙を作るために別働隊が実施する事が多い。

例えば、敵軍の移動経路のいくつかを妨害し、砲兵部隊キルゾーンへと誘導するために仕掛ける場合がある。


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