【ナパーム弾】(なぱーむだん)

Napalm bomb.

第二次世界大戦中にアメリカ軍が開発した油脂焼夷弾
使用される焼夷剤の粘性が高く容器の移し替えが困難なため、前線で使用直前に調合される。
一方、添加剤だけを持ち込んで前線で容易に調合できるため、兵站への負荷が低いのが利点。

欧州戦線において、ドイツ軍を攻撃するためにフランスのクタンスでP-38により初めて使用された。
また、日本本土への空襲でも使用された。

その後も第1次インドシナ戦争ベトナム戦争湾岸戦争などで多用された。

湾岸戦争を最後に、アメリカはナパーム弾の運用を停止した、と公表している。
これを国内反戦団体の成果と見る向きもあるが、現実的には兵器の世代交代が起きただけだと見るのが正しいだろう*1
実際、イラク戦争?ではナパーム弾と見られるMark77?爆弾が実戦投入されている。

ナパーム剤

「ナパーム剤(napalm)」とは増粘剤の一種で、ナフテン酸 (naphthenic acid) 、パルミチン酸 (palmitic acid)、アルミニウム塩 (Aluminum Salts)を主成分とする。
これを石油類に混合させると、発火性・可燃性を維持したままゲル状に固まる。
石油燃料はコスト上はナフサが望ましいが、車両用ガソリンや航空機用ジェット燃料でも実用に耐える。

石油燃料98%、ナパーム剤2%の割合で混合したものを投下・着火して施設破壊用に用いるのが「ナパーム弾」である。
また、同様のナパーム添加燃料は火炎放射器にも用いられる。

ナパーム燃料は人体や木材に付着すると洗い流すのが困難で、油であるため水を弾く。
消火には洗剤を添加した水か、ガソリン火災専用の特殊な消火器が必要とされる。
900度以上の高温で燃焼するため軍事目標にもダメージを期待でき、燃焼には大量の酸素が必要なため酸欠や一酸化炭素中毒による窒息死も期待できる。


*1 アメリカ政府は「ナパーム弾」を「ナフサ(ガソリン)を主成分とする焼夷剤」を用いる焼夷弾だと主張している。
  つまり、焼夷剤の成分がガソリンではなくジェット燃料であればナパーム弾ではない、ということになる。


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