【エアクッション艇】(えあくっしょんてい)

Air Cushion Vehicle (ACV)
舟艇の一種で、空気圧で水面から完全に浮き上がって航行するもの。
広義には水面効果翼船も含まれるが、一般にはスカート状の船底から圧搾空気を噴き出して浮上するもの(いわゆるホバークラフト)のことを指す。
これは表面効果によって水面ぎりぎりで安定的にホバリングするものである。

基本的に船体が造波抵抗を受けないので、高速の航行が可能となっている*1
また水中翼船とは異なり、比較的平らな場所であれば浜辺から陸地に上がることもでき、水陸両用の運用が可能である。
一方で航行中は常時圧搾空気を噴き出し続けなければならず、また推進のためには別途プロペラやファンなどを用いる必要があり、燃費や静粛性に劣る。
またスカートの高さを超える荒波や、凹凸の激しい磯などの不整地を越えることはできない。
以上の特性から、内海で港湾設備のない島などでの連絡輸送に用いられることが多い。
日本でも、国鉄(後にJR四国が承継)宇高航路*2を筆頭にいくつかの民間路線が存在していたが、現在では「大分ホーバーフェリー」社が運航する大分空港〜大分市内間の1路線を除き、全て廃止されている。

また軍用としては、その高速性能および揚陸性能から、アメリカ海軍ではLCAC-1級が上陸用舟艇として配備されており、これは日本の海上自衛隊でもエアクッション艇1号として採用されている。*3

関連:ホバリング


*1 緊急時は噴射を止めれば着水して造波抵抗を受け、即座に減速・停船できるというメリットもある
*2 「急行便」として運行されており、乗船には運賃のほかに追加料金が必要だった
*3 当初は、これを搭載する「おおすみ」級輸送艦と共に国産する予定だったが、コストとの兼ね合いからLCAC-1級をそのまま輸入することになった

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