【エアクッション艇】(えあくっしょんてい)

Air Cushion Vehicle (ACV).

空気圧(エアクッション)を利用して水上でホバリングする機能を備えた船艇。ホバークラフト。

広義では、完全には浮上できない水面効果翼船を含む場合もある。

船体下部のスカート内に圧縮空気を蓄えつつ、これを地面・水面に叩きつける事でエアクッションを形成する。
このエアクッションの圧力によって地面との間に距離を保ち、わずかな高度だけ浮上してホバリングする。
大量の空気を機体下部と地面の隙間に閉じ込めておく必要があるため、高度を上げる事はできない。

船体が造波抵抗を受けないため高速で航行でき、緊急時には着水して急停止する事もできる。
また、平坦であれば水上でも陸上でも浮力を維持でき、水陸両用の運用が可能である。

一方、航行中は常にプロペラなどで圧縮空気を噴き出し続けなければならず、燃費や静粛性に劣る。
また足下が平坦でなければ浮力を維持できず、荒波や不整地では航行できない。
船体を保管するために上陸を必要とする性質上、一般船舶向けの桟橋を利用できないという制度上の問題もある。

実用化された当初は夢の乗り物としてもてはやされ、冷戦時代には旅客船の分野に商業利用に参入した。
しかし上記の機体特性は商業用途には著しく不適格であり、数十年後には姿を消していく事となる。

軍事においては上陸作戦のための揚陸艇として評価され、各国の海軍海兵隊に配備されている。

関連:ホバリング

主なエアクッション艇

軍用(エアクッション揚陸艇)

  • 韓国
    • ソルゲ型
  • 中国
    • 722型(チンシャII型/鯨沙II型)
    • 724型
    • 726型(ユーイー型/玉義型)


*1 Ship-to-Shore Connector(洋上拠点コネクター)の略。

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