【がんばれ食】(がんばれしょく)

陸海空自衛隊の使用する船舶・航空機に、緊急時に備えて搭載されている「救命糧食」の愛称。
F-15F-4F-2等の戦闘機では射出座席に取り付けられているサバイバルキットに、大型の輸送機哨戒機、艦船などでは救命筏やゴムボートの中などに組み込まれている。

紙製のケースに、ハードビスケットのようなブロック状の食品が数個入っており、1個がひとりの1食分に相当するエネルギー源となるように調製されている。

これは、昭和40年代に訓練中の事故で実際に遭難した自衛隊員F-104に搭乗していた空自パイロット)によって使用され、その際の教訓から改良されて現在の形になったものである。*1

また、パッケージの中には
「がんばれ!元気を出せ!救助は必ずやってくる!」
という、この糧食を使用することになる遭難者へのメッセージカードが入っている。
このことから「がんばれ食」という愛称がついた。

しかし実際には、(船舶や航空機が日本列島の周辺で活動している限り)仮に事故が起きて機外・船外へ脱出するような事態になったとしても数時間以内に救助されることが多く、この糧食を使用するような局面に遭遇することは極めて少ない、という。
とはいえ、近年では自衛隊の海外派遣が常態化しているため現地(もしくは日本本国〜派遣先への移動途中)での事故も起き得るので、いずれ日の目を見る時も来るだろう。

関連:戦闘糧食

参考リンク:http://10.studio-web.net/~phototec/ration/kyuunannryousyoku.htm


*1 最初期はポリエチレンの袋に乾燥した肉などを詰めていたが、この事故の際、件の隊員は「寒さでかじかんで開けにくかった上に乾燥肉が固かった」と証言した。
  そのことから「体力が衰えていても食べられる柔らかなブロック状の食品」や「寒冷地で手先が動きにくくなってもあけられる包装」などが採用された。


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS