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【RPG】 †
軍事用語でRPGと呼ばれるものは、いずれもソ連(ロシア)の対戦車用武器であるが、おおよそ以下の4種類に分類できる。
1.対戦車手榴弾 †
第二次世界大戦中にソ連が使用した対戦車手榴弾、"Ruchnaya Protivotankovaya Granata"の略。
RPG-40や、1943年に制式化された改良・強化型のRPG-43などがあった。
このうち、RPG-43は成形炸薬弾であり、効果的に運用するためには敵の装甲へ垂直に当てる必要があった。
RPG-43は直径95mmもある巨大な弾頭の中に612gのTNTが入っており、衝撃信管により起爆、75mmの装甲を破る事が出来たとされる。
2.対戦車無反動砲 †
第二次世界大戦後に開発されたRPG-2は上記と異なり、細い発射器から撃ち出される携帯型無反動砲である。
ドイツのパンツァーファウスト200を参考に開発されており、その場で繰り返し再装填が可能となっている。
しかし弾頭が重くて射程が短い割に装甲貫通力も不足しており、後のRPG-7へと発展してゆく。
3.ロケット推進擲弾 †
Rocket Propelled Grenade(英)
RPG-2は射程と破壊力が不足したため、弾頭をより大型化したうえでロケットモーターを追加したRPG-7が登場し、その扱いやすさと威力の大きさから重宝された。
発射時はRPG-2と同様に無反動砲の原理で射出されるが、その後は弾体後部の安定翼を開き、固体燃料ロケットで推進する。無反動砲とロケット弾の折衷型火器といえる。
それでも弾頭が重いため、発射直後の飛翔速度は比較的遅く、場合によっては避けられてしまうこともある。また横風にも弱く、強風時の命中精度は極端に低下する。
さらには発射時の音と後方炎が大きいため、後方の安全に注意する必要があり、敵に発見されるおそれも大きい。*1
このため戦場では、他の歩兵による援護が必須となる。
RPG-7には遠くの敵車両を狙うための光学照準器?が追加された。
これは敵車輌の接地面と照準器に刻まれた距離を合わせて発砲するものだが、見越し照準が煩雑なためあまり使われず、装備されない場合も多い。
弾頭には主として成形炸薬弾が用いられるが、対人用の榴弾も存在する。
ソ連以外にも複数の国でライセンス生産されたほか、構造が単純なためデッドコピーされることも多く、非常に多くの国で使用されている。
取り扱いも容易でわずかな訓練で使えるようになるため、ゲリラやテロリストに使われることも多い。
AK47と並び、世界各地の紛争地帯で見られる武器である。
もともとは戦車を狙うための兵器だったが、実際にはさまざまな物が標的となっている。
九州南西海域不審船事件においては北朝鮮の工作員が使用したとされており、日本での知名度も高い。
弾頭には圧電信管?と時限信管を使用している。
着弾時には圧電信管?が働いて起爆、外れた場合でも約900m飛翔した後に時限信管で自爆する。(中国製など、時限信管がないものも存在する)
圧電信管?は金網に当たるとショートして不発になる場合があり、ベトナム戦争でのアメリカ軍は陣地防御に金網を多用した。
(もっともこの方法は不確実で、この金網には、たとえ起爆しても目標の手前で爆発させるという意図もあったと思われる)
ブラック・シーの戦いではソマリア民兵がアメリカ軍のヘリコプターを撃墜するため、時限信管を時間の短いものに交換し、数百発を空に向けて発射したといわれている。
4.携帯ロケット砲 †
RPG-18以降は上記と異なり、純粋なロケット推進の対戦車火器となっている。
RPG-18自体はアメリカのM72をデッドコピーしたものという説があるが、はっきりしていない。
それ以降はソ連(ロシア)で次々と発展型が開発されている。
スペックデータ †
- RPG-2
全長:650mm
口径:40mm
重量:2.83kg(弾頭なし)
装弾数:1発
弾薬:成形炸薬弾
- RPG-7
全長:950mm
口径:40mm
重量:7kg(光学照準器付き)
装弾数:1発
使用弾薬:成形炸薬弾/多目的対戦車榴弾/榴弾/サーモバリック弾/焼夷弾/焼夷榴弾
- RPG-16
全長:1,104mm(発射状態)/645mm(分解時)
口径:58mm
重量:10.3kg(光学照準器、二脚付き)
装弾数:1発
使用弾薬:PG-16V HEAT弾
弾頭重量:2.1kg
- RPG-18
全長:1,050mm(発射状態)/705mm(運搬状態)
口径:64mm
重量:2.6kg(弾頭付き)
装弾数:1発
使用弾薬 PG-18 HEAT弾(貫徹能力(RHA換算):375mm)
- RPG-22
全長:850mm(発射状態)/785mm(分解時)
口径:72.5mm
重量:2.8kg(弾頭付き)
装弾数:1発
使用弾薬:HEAT弾(貫徹能力(RHA換算):400mm)
- RPG-26/RShG-2
全長:770mm
口径:72.5mm
重量:2.9kg/3.5kg(RShG-2)
装弾数:1発(使い捨て)
使用弾薬:HEAT弾(貫徹能力(RHA換算):440mm)/サーモバリック爆薬(RShG-2)
- RPG-27/RShG-1
全長:1,135mm
口径:105mm 重量:8.3kg/8kg(RShG-1)
装弾数:1発(使い捨て)
使用弾薬:タンデムHEAT弾/サーモバリック爆薬(RShG-1)
- RPG-28
全長:1,050mm
口径:125mm
重量:12kg(弾頭付き)
装弾数:1発(使い捨て)
使用弾薬:HEAT弾(貫徹能力(RHA換算):900mm + ERA)
- RPG-29
全長:1,850mm(射撃時)/1,000mm(分解時)
口径:105mm
重量:12.1kg(光学照準器付き)/18.8kg(弾薬装填時)
装弾数:1発
使用弾薬:PG-29V タンデムHEAT弾/TBG-29V サーモバリック弾
- RPG-30
全長:N/A
口径:105mm
重量:10.3kg(弾頭のみ)
装弾数:1発(使い捨て)
使用弾薬:PG-30V タンデムHEAT弾(貫徹能力(RHA換算):600mm + ERA)
- RPG-32
全長:1,200mm(105mmキャニスター装填時)/900mm(72mmキャニスター装填時)
口径:105mm/72mm
重量:3kg(キャニスター無し)/10kg(105mmキャニスター装填時)/6kg(72mmキャニスター装填時)
装弾数:1発(使い捨て)
使用弾薬:PG-32V タンデムHEAT弾(貫徹能力(RHA換算):600mm + ERA)/TBG-32 サーモバリック弾
主なバリエーション †
- RPG-2:初期型。有効射程は100m。
- 56式火箭筒:RPG-2の中国製コピー
- B-50:北ベトナム製コピー。
- R-27:チェコ製コピー
- M57:ユーゴスラビア製コピー。
- RPG-7:基本型。弾頭を大型化して有効射程を500mに伸ばし破壊力を改善。また、光学照準器?が追加されている。
- RPG-16:ソ連空挺軍モデル。
成形炸薬弾を使用し、発射筒と弾頭の口径の増大により、射程と命中精度の向上が行われている。
また、空中投下用に2部に分解できるようになっている。
- RPG-18:それまでのRPGとは異なり、アメリカのM72に似た使い捨てロケット砲?。
- RPG-22:RPG-18の改良型で、口径が64mmから72.5mmに拡大されている。
- RPG-26:口径はRPG-22と同じ72.5mmで、使い捨ての発射筒は新規設計で形状が変更されている。
- RShG-2:RPG-22の派生型で弾頭をサーモバリック爆薬に変更したもの。重量が増大した分有効射程距離も短くなっている。
- RShG-2:RPG-22の派生型で弾頭をサーモバリック爆薬に変更したもの。重量が増大した分有効射程距離も短くなっている。
- RPG-27:RPG-26の拡大発展型で、口径105mmのタンデム成形炸薬弾を発射する。
- RShG-1:RPG-27の派生型で弾頭をサーモバリック爆薬に変更したもの。有効射程距離はRPG-27と同等である。
- RShG-1:RPG-27の派生型で弾頭をサーモバリック爆薬に変更したもの。有効射程距離はRPG-27と同等である。
- RPG-28:2007年から配備が開始された型。口径はロシア軍の主力戦車と同じ125mmでRPGシリーズでは最大のものである。
- RPG-29:1989年に採用された型。
Вампир (吸血鬼)とも呼ばれる。
こちらの発射筒は使い捨てではなく、弾頭は口径105mmのタンデム成型炸薬弾かサーモバリック弾を使用する。
- RPG-30:RPG-27とよく似た使い捨て式の対戦車ロケットランチャー。
ハードキル式のアクティブ防御システム(APS) を装備した戦車を撃破するために、メインの砲身よりも細いデコイのロケット弾を装填した予備砲身が装着されている。
- RPG-32:2008年から配備が開始された型。
光学照準器と引き金がついたトリガーグループと、ロケット弾を格納したキャニスターで構成されており、トリガーグループはキャニスターの前端部に前部から差し込んで取り付ける。