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【BGM-109】 †
BGM-109"
アメリカ軍及びイギリス軍の装備する主力巡航ミサイル。
1972年、アメリカ海軍が水上艦・潜水艦発射用巡航ミサイルとして開発を開始し、1984年に核攻撃型が実戦配備された後も様々な派生型が生まれた。
発射機別に、水上艦発射型、潜水艦発射型、地上発射型、空中発射型があり、またその弾頭も多彩で、核、対艦攻撃用、対地攻撃用、滑走路攻撃用などがある。
しかし、核弾頭搭載型と対艦攻撃用は既に退役しており、現在は対地攻撃用のみが実戦配備されている。
慣性航法装置(INS)に加えて地形照合装置?(TERCOM)を併用して飛行するため非常に命中精度が高く、最終照合地点からの距離にもよるが、命中誤差はおおむね6m以内である。
発射機は、水上艦であればMk143 装甲ボックスランチャーまたはMk41VLSから、潜水艦であれば魚雷発射管またはVLSから、固体ロケットブースターで射出される。
最新型では中間誘導にGPS誘導を採用している。
スペックデータ †
全長 (ブースター部除く) | 5.56m 5.84m(AGM-109H/K) 4.88m(AGM-109L) |
直径 | 0.52m 53.1cm 51.8cm |
翼幅 | 2.67m |
重量 | 1,180kg(RGM/UGM-109 A/B) 1,310kg(RGM/UGM-109C) 1,220kg(RGM/UGM-109D) 1,200kg(AGM-109H/K・BGM-109G) 1,000kg(AGM-109L) |
(ブースター部) | 270kg |
射程 | 2,500km(A/H/K/G型) 460km(B型) 1,250km(C型(ブロックII)/D型) 1,650km(C型(ブロックIII)) 3,000km(タクティカルトマホーク) |
速度 | 800km/h |
推進方式 | 固体推進ロケットモーター+ターボファンエンジン |
エンジン | ブースター部 アトランティック・リサーチ社製 Mk106 ロケットモーター ウィリアムズ・インターナショナル社製 F107-WR-400 ターボファンエンジン(ブロックIIまで) F107-WR-402 ターボファンエンジン(ブロックIII) F415-WR-400/-402 ターボファンエンジン(タクティカル・トマホーク) テレダインCAE J402-CA-401ターボジェットエンジン(H/K型) |
ペイロード | 1,000ポンド弾頭 |
弾頭 | 可変威力型熱核弾頭(5〜200kT)(A型) 可変威力型熱核弾頭(0.2〜150kT)(G型) 通常単弾頭 子爆弾ディスペンサー(子爆弾166個)(D型) 子爆弾ディスペンサー(子爆弾28個)(H型) 強化型撤甲弾頭(タクティカルトマホーク) |
弾頭重量 | 454kg 450kg(K型) 295kg(L型) |
誘導装置 | 慣性誘導 アクティブレーダー誘導/PF/DF(電波受聴・方位探索)(B型) TERCOM/DSMAC(ブロックIIIはGPS追加) DSMAC2A/前方監視カメラ/衛星リンク(タクティカルトマホーク) |
主なバリエーション †
- ブロックI
- BGM/RGM/UGM-109A
TLAM-N*1と呼ばれる初期型。
射程2,500km、W80可変威力型熱核弾頭(5〜200kT)を搭載。
中距離核戦力全廃条約(INF)に基づき1991年に退役。
- BGM/RGM/UGM-109B
TASM*2と呼ばれる、A型の弾頭を通常弾頭に変更し、対艦攻撃用とした型。
A型と同じく1991年に退役。
- BGM/RGM/UGM-109A
- ブロックII/IIA
- BGM/RGM/UGM-109C
TLAM-Cと呼ばれる型。
単弾頭を備えた通常型で、ブロックIIAからはソフトウェアが変更されて、目標上部からの突入および目標上空での弾頭爆破の2つのモードが追加された。
- BGM/RGM/UGM-109C
- ブロックIIB
- RGM/UGM-109D
TLAM-Dと呼ばれる型。
弾頭を子爆弾ディスペンサーに交換し、ソフトスキン目標への攻撃力を高めている。
- RGM/UGM-109D
- ブロックIII
ブロックIIの機能向上型。
誘導装置の更新(GPS受信機の追加やデジタル式情景照合装置をDSMAC2Aへ更新)や改良型エンジンの搭載、弾頭の小型化を行い、精度の向上と射程の延伸を図った。
- BGM-109E/F
1980年代中頃に提案された改良型。 E型はB型の改良型で、F型は飛行場の攻撃に特化した型であるが、いずれも採用されなかった。
- ブロックIV
- RGM/UGM-109E/H
TMMM*3・THTP*4と呼ばれる型。
E型はエンジンを換装し、赤外線またはミリ波によるイメージングシーカーやデータリンク機能などを備えたモデルで、H型はハードスキン目標に対応する強化型徹甲弾頭を備えるモデルとして開発される計画であったが、価格が高価になる事が判明したため、1996年に開発が中止されている。
- タクティカル・トマホーク
2004年に実戦配備が開始された最新型。
当初はブロックVと呼ばれていたが後にブロックIVに変更され、RGM/UGM-109E/Hの名称が復活した。
生産段階におけるコストの削減が主な目標とされ、軽量化と安価なエンジンへの換装が行われ、価格もブロックIIIの半分の価格になっている。
また、UHF周波帯の衛星リンクによる飛行中の再プログラムや損害評価用に搭載艦艇へのカメラ映像の送信、GPSを用いた目標座標指示による柔軟性の向上等も行われた。
また、軽量化により燃料搭載量が増加し、射程が延伸されている。
E型はブロックIIIと同じ軽量単弾頭を搭載し、H型はTTPV*5と呼ばれ、防護強化もしくは地下の目標を攻撃する強化型徹甲弾頭を搭載する。
- RGM/UGM-109E/H
- BGM-109G GLCM(Ground Launched Cruising Missile)
MGM-13「メイス」?の後継として開発された、A型の地上発射型。
空軍での愛称は「グリフォン」。
弾頭はW84型核弾頭を使用する。
主にヨーロッパのNATO諸国に配備されたが、INF全廃条約調印により1991年に退役している。
- AGM-109 MRASM*6
トマホークの空中発射型。海軍・空軍共同の巡航ミサイルとして開発が進められていたが開発中止。
海軍型は空母の弾薬エレベーターのサイズに合わせるために全長が短く軽量で、A-6を発射母機にする予定だった。
以下のバージョンがある。
- 海軍型
- AGM-109C:ブロックII/IIAとおなじ通常型弾頭による地上攻撃型。
- AGM-109J:上記の廉価版または子爆弾搭載型。
- AGM-109I:対地・対水上兼用型。非公式だが、低価格版のTERCOMおよび赤外線イメージング方式による終端誘導のテストを行った。
- AGM-109L:廉価な通常型弾頭を搭載。
- 空軍型
- 海軍型
*1 Tomahawk Land-Attack Missile-Nuclear
*2 Tomahawk Anti Ship Missile
*3 Tomahawk Multi-Mode Missile
*4 Tomahawk Hard Target Penetrator
*5 Tactical Tomahawk Penetrator Variant.
*6 Medium-Range Air-to-Surface Missile.