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【Tu-160】 †
旧ソ連のツポレフ設計局が1970年代に開発した超音速戦略爆撃機。
NATOコードは「ブラックジャック(Blackjack)」、露での非公式愛称は「ビェールイィ・リェービェチ*1」と呼ばれる。
試作機は1981年に初飛行し、アメリカの偵察衛星が発見したことにより存在が確認された。
アメリカのB-1「ランサー」に対抗して製作されたため、エンジン配置や可変後退翼の主翼など、外見は非常によく似ている。
ロシア曰く、同じコンセプトで設計した結果らしい。
しかし、B-1よりも機体サイズは一回り大きく、最大離陸重量や兵装搭載量、航続距離ではこちらが上回っている。
また、後退角は手動選択式で、航行システムなどはアナログ計器が多用されているほか、垂直尾翼上半分を全遊動式としたり、STOL性を高めるための大面積フラップや高速発揮のための可変式エアインテークを採用するなど、当機独自の新機軸も多く盛り込まれている。
胴体と主翼固定翼部はブレンデッド・ウィングボディ方式で成型され、固定翼部の前縁はきつい後退角を持ち、緩やかな曲線を描いている。
固定翼部後ろ半分の下面には4基のエンジンを胴体を挟んで2基ずつ組み合わせてポッド式に装備している。
後退角は20度、35度、65度の三段階から選択し、離着陸時には20度、巡航飛行時には35度、高速飛行時には65度が使われる。
兵装類は中央胴体にある分割された爆弾倉に収納され、巡航ミサイルは回転式ランチャーに装着される。
一つの爆弾倉にKh-55(AS-15「ケント」)?なら6発、Kh-15P(AS-16「キックバック」)?なら12発を搭載できる。
ミサイル以外にも核爆弾や通常爆弾も搭載でき、爆弾類の最大搭載量は18,000kgとされているが、ミサイルを含めた兵装類の最大許容搭載量は40,000kgとされる。
なお、自衛用の機関砲は搭載していないが、アクティブECM防御器材やレーダー警戒装置、チャフ/フレアディスペンサーを備える。
当初、本機はTu-95の老朽代替として生産される予定であったが、ソ連崩壊により、40機程度を製造した時点でいったん生産終了となった。
その後、2008年に生産が再開されており、今後は15機前後を新造する予定である。
主に、最高司令部直轄第37航空軍(戦略航空隊)の第22親衛重爆撃機師団・第121親衛重爆撃機連隊(サラトフ州エンゲリス)に配備されている。
東京急行で日本近海にも現れることがあり、Tu-95等と並んで日本の国防関係者には馴染みのある機体でもある。
ソ連/ロシア以外ではウクライナが保有していたが、ウクライナ空軍に帰属した機体は2006年までに全機退役している。
スペックデータ †
乗員 | 4名(パイロット、コパイロット、爆撃手、防御システムオペレーター) |
全長 | 54.1m |
全高 | 13.1m |
全幅 | 55.70m(後退角20度)/50.70m(後退角35度)/35.60m(後退角65度) |
主翼面積 | 360�(後退角20度) |
空虚重量 | 118,000kg |
離陸重量 (通常/最大) | 267,600kg/275,000kg |
最大兵装搭載量 | 40,000kg |
エンジン | クズネツォーフ NK-321?ターボファン×4基 |
エンジン推力 | 245.0KN/24,980kg(A/B時) 137.2KN/13,990kg(ドライ) |
速度 (最大/巡航) | M2.05/M0.9 |
海面上昇率 | 4,200m/min |
実用上昇限度 | 15,000m |
航続距離 | 7,885nm(無給油時)/3,915nm(兵装搭載量最大時) |
戦闘行動半径 | 1,080nm(M1.5時) |
兵器倉 | キャリースルーを挟んで胴体中央部に2つ(タンデム配置) 22.5t×2(懸垂部吊り下げ能力) |
前脚・主脚 | 2輪×1、6輪ボギー×2(後方引き込み) |
レーダーFCS | 「オブソール-K(NATOコード:グラム・パイプ)」多モード航法/爆撃レーダー |
兵装 | 空対地ミサイル: Kh-55(AS-15「ケント」) Kh-15P(AS-16「キックバック」) Kh-101 Kh-SD 各種爆弾: FAB-250/-500/-1500/-300通常爆弾 RBK-250/-500クラスター爆弾 TN-700/-1000核爆弾等 |