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【M113】 †
アメリカ陸軍の現用主力装甲車?。
1950年から戦後型APCであるM75とM59の設計をベースに開発が始まり、1960年に正式採用された。
乗員2名(車長と操縦手)のほか最大11名の歩兵を輸送でき、後部の大型昇降ランプから降車・乗車する。
車体は箱型でアルミ合金を使用し、重量も12.3tと軽量で、空中投下や水上航行が可能である(水上航行の際はトリムベーンを装着される。)。
エンジンは初期生産型はガソリンエンジンを使用していたが、A1からはディーゼルエンジンに換装している。
車内構成は前部左に操縦手席、右に機関室を配し、中央部には車長席を設け、後部を兵員室としたレイアウトである。~、
戦歴では、ベトナム戦争のほか、湾岸戦争・イラク戦争でも活躍し、特にベトナム戦争では多用され、メディアにも多く登場して有名となった。
アメリカ以外にも、多くの西側諸国で採用され、総生産数も80,000両以上と世界中でもっとも幅広く使用された装甲車の一つとなった。
また、軍以外にもNASAではロケット打ち上げ場からの宇宙飛行士の緊急脱出用に配備されており、SWATでも一部の州で導入されている。
性能諸元 †
乗員:2名(車長・操縦手)+兵員11名
全長:4.86m
全幅:2.69m
全高:2.5m
重量:12.3t
エンジン:クライスラー75M 4ストロークV型8気筒液冷ガソリンエンジン?(最大出力215hp/4,000rpm)
デトロイト・ディーゼル6V-53 2ストロークV型6気筒液冷ディーゼルエンジン(最大出力212hp/2,800rpm)
デトロイト・ディーゼル6V-53T 2ストロークV型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼルエンジン(出力275hp/2,800rpm)
最大速度:64.4km/h(浮航時5.64km/h・5.8km/h(A1))
航続距離:322km/483km(A1)
武装:ブローニングM2 12.7mm重機関銃×1(2,000発)
装甲厚:28.58〜44.5mm
主な派生型 †
- M113
ガソリンエンジンを搭載する初期生産型。
- M113A1
エンジンをディーゼルエンジンに換装した型。
また、寒冷地キットのバッテリーケース暖房をエンジンから抽気した熱風で暖める方式に改められ、操縦手ハッチ周囲に備えられる風防キットが新たに用意された。
- M113A2
熱帯地の運用と不整地走行能力の改善のために冷却システムとサスペンションを改良し、転輪のトラベル長を増大した型。
また、この型から対NBC?能力の装備が可能になった。
- M113A3
M113A1/A2の改良型。
機関系は、ターボチャージャー装備のデトロイト・ディーゼル6V-53Tエンジンに換装により出力が強化されたほか、トランスミッションの改良が施され、A1/A2よりも加速性や不整地走行能力が大きく向上した。
また、戦闘室内壁にはケブラー材が張られ、防御力が向上したほか、P900と呼ばれる増加装甲キットが開発された。
- M58 Wolf
自走煙幕発生機型。
- M106 自走迫撃砲
M30 106mm迫撃砲搭載型。
- M1064 自走迫撃砲
M120 120mm迫撃砲搭載型。
- M125 自走迫撃砲
M29 81mm迫撃砲搭載型。車体はM106との互換性がある。
- M132~
小型砲塔に火炎放射器と同軸機銃を搭載し、自走式火炎放射器としたもの。
車体後部に、火炎放射器用の燃料タンクと加圧タンクを搭載している。
- M163
M61?バルカン砲と追尾レーダーを搭載した自走式対空砲型。
- M474
MGM-31 パーシングI用の移動発射機型。
移動発射機、弾頭運搬機、プログラマー試験ステーション及び動力ステーション運搬機、無線端末運搬機の4種として使用された。
- M548
非装甲の装軌式貨物運搬車(カーゴ・キャリア)。
- M577 コマンドポスト
移動指揮車型。後の戦闘指揮車のはしりと言える。
車体後部の屋根は、指揮官が立ち上がっても支障のないように嵩上げされている。
- M667
MGM-52 ランス戦術核ミサイル運搬車。
- M730 自走対空ミサイル
MIM-72チャパラル地対空ミサイルランチャー。
- M806 装甲回収車
後部コンパートメントにウインチを装備している装甲回収車型。
- M901 ITV(Improved TOW Vehicle)
M113に、BGM-71 TOW対戦車ミサイルの砲塔を搭載した対戦車車両型。
- M981 火力支援戦闘車
M901に似た砲塔に、照準・観測システムを搭載した砲兵観測車型。
- M1015 電子戦車輌
M548をベースに、電子戦用の装備を搭載した車輌。
- M1059 Lynx 煙幕発生キャリア
M157煙幕発生装置を使用する自走煙幕発生器型。
- M1068 標準統合コマンドポストシステム(Standard Integrated Command Post System Carrier)
M577 コマンドポストの改良版。
- YPR-765 AIFV (Armored Infantry Fighting Vehicle)
M113の装甲と戦闘能力を向上させた後継車輌として開発された。25mm機関砲塔をはじめ武装にいくつかのバリエーションがある。
アメリカ軍はより強力なM2ブラッドリー歩兵戦闘車を採用したが、M2より低価格であるためオランダや他の数カ国が採用しているほか、韓国も独自の改良を加えた「KIFV」と呼ばれる車輌を使用している。
- OSVM113 / BMP-2
国家訓練センターで敵車両役を演じる車両で、BMP-2に似せた外観となっている。
そのほかの派生型 †
- オーストラリア
- M113 FSV(Fire Support Vehicl)
アルビス・サラディン装甲車(FV601)の砲塔を搭載した火力支援車型。
- M113 Fitter
車体にHIAB社のクレーンを取り付けた装甲回収車型。
- M113 LRV(Light Reconnaissance Vehicl)
標準的なM113に、2丁の機関銃を搭載した小型砲塔を備えた軽偵察車型で、装甲兵員輸送車としても使用される。
- M113 FSV(Fire Support Vehicl)
- M113 MRV(Medium Reconnaissance Vehicle)
M113火力支援車に似ているが、FV101スコーピオンの砲塔を搭載した強行偵察型。
- カナダ
- M113 ADATS
エリコン社製ADATS地対空ミサイルシステムを搭載した自走対空ミサイル車両型。
車体上に捜索レーダー・レーザー測距器・赤外線テレビカメラと4連装ランチャーを2基装備した発射機を搭載する。
- M113 ADATS
- イスラエル
- M113A4 AMEV(Armoured Medical Evacuation Vehicle)
装甲救急避難車輌型。
- M113 トーガ装甲装備型
ラファエル社製のトーガと呼ばれる中空装甲を装備した型。南レバノン侵攻に用いられた。
- M113 クラシカル
ラファエル社製の爆発反応装甲を装備して防御力を向上させたタイプ。
- M113A4 AMEV(Armoured Medical Evacuation Vehicle)
- イタリア
- VCC-2 カミリーノ~
国内でライセンス生産したM113をオート・メラーラVCC-1「ダルド」歩兵戦闘車(AIFV同様の銃眼を装備)と同等のAPCに改造したタイプ。
後部側面に銃眼と視察窓を左右に各2基ずつ設け、キューポラに防盾を装備している。
- M113 アリゲ−ター
イタリアのA・R・I・S社がM113をベースに開発した水陸両用強襲車型。
車体前部に台形の浮力ブロック、車体後部両端にウォータージェット推進装置を追加し、排気口を煙突化した。1999年からイタリア陸軍に少数配備されている。
- VCC-2 カミリーノ~
国内でライセンス生産したM113をオート・メラーラVCC-1「ダルド」歩兵戦闘車(AIFV同様の銃眼を装備)と同等のAPCに改造したタイプ。
- シンガポール
- M113A2 Ultra IFV
M113A1を基本として、シンガポール用にA2への標準化・近代化アップグレードを実施したもの。
主兵装を40mm自動グレネードランチャーと12.7mm重機関銃の連装か25mm"ブッシュマスター"オーバーヘッド兵装システムを搭載し、増加装甲を施した。
- M113A2 Ultra IFV