*&ruby(えすぴーじーろくじゅうに){【SPG-62】}; [#r080b494] [[イージス艦]]に搭載されている射撃指揮レーダー。~ ~ SPG-62は[[イージスシステム]]のMk-99 MFCSのハードウェアで電波照射装置((eliminator:イルミネーター))とも呼ばれる。~ イルミネーターはSPY-1などの対空レーダーからの情報を元にミサイルに情報を送り、誘導を行う。~ イージス艦の場合、[[RIM-66]]/67、[[RIM-156]]、[[RIM-161]]、[[RIM-174]]などのスタンダード・ミサイルが一般的である。~ そこで、本稿ではスタンダード・ミサイルにおいての説明を記載する。~ ~ そもそもスタンダード・ミサイルは3Tシリーズ([[RIM-2「テリア」>RIM-2]]、[[RIM-8「タロス」>RIM-8]]、[[RIM-24「ターター」>RIM-24]])の後継として1968年に開発されたもので、今日においては(旧)西側諸国の[[海軍]]では最も一般的な[[艦対空ミサイル]]であり、日本・オランダ・台湾などでも運用されている。~ 以下にスタンダード・ファミリーの概要を示す。~ ~ |タイプ|SM-1||SM-2|||||SM-3|SM-6| |型|MR|ER|MR|ER|Block2|Block3|Block4|Block1A|Block1| |全長(m)|4.48|7.97|4.72|7.98|4.7|4.7|6.55|6.55|6.55| |射程(km)|40|64|70|120|70+|160+|370|500?|370| ~ 上表のSM-1、SM-2の誘導装置の項を参照されたい。~ SM-2ではINS(Inertial Navigation System:[[慣性誘導装置>慣性航法装置]])が搭載されているのに対して、SM-1でlは搭載されていなかった。~ つまり、SM-1は常に[[イルミネーター]]からの電波を必要としたため、イルミネーターの基数=同時発射可能弾数であった。~ これが改善されたのがSM-2で、中間誘導はINSと[[データリンク]]による補正で誘導が可能になり、Mk-99の拘束時間は着弾前の数秒間で良くなった。~ SPG-62は1基につき3〜4発誘導可能と言われるので、SPG-62を3基搭載している[[世宗大王]]級、[[こんごう]]級、[[あたご]]級、[[アーレイ・バーク]]級なら9〜12目標、4基搭載されている[[タイコンデロガ]]級なら12〜16目標を同時追尾できるということになる。~ ~ これらの話はあくまでもSM-2においての話だがSM-3(RIM-161)やSM-6(RIM-174)ではこれとは異なっている。~ ~ SM-3はいわば「INSに[[GPS>全地球測位装置]]による補助を加えた」ミサイルで、SM-3搭載艦はMk-41[[VLS>垂直発射システム]]にGPS入力装置を設け、発射ギリギリまでGPS情報を入力できる装置(VGI)が搭載されている。~ ~ このため、SM-3はMk-99による追跡を必要とせず、BMD任務中においても、通常と同じ対空戦闘が可能になっている。~ 事実、2007年4月26日に行われた[[タイコンデロガ]]級[[巡洋艦]]「レイク・エリー」(CG-70)のBMD試験では同艦がBMD3.6を発動し、SRBM((Short Range Bailstic Missile:短距離弾道ミサイル))目標をSM-3で迎撃しつつ、航空機や[[巡航ミサイル]]迎撃用のSM-2を発射し、両目標の迎撃に成功している。~ ~ 一方で、SM-6(RIM-174)は別名ERAM((Extended Range Active Missile.))とも呼ばれ、2004年から開発に着手、2009年からは量産化が行われている。~ SM-6は、SM-2Block4に[[AIM-120]]の[[アクティブ・レーダー>アクティブレーダー誘導]]・[[シーカー]]を搭載し、[[AIM-120]]のように打ちっぱなしが可能になった。~ つまり、ミサイル自身が目標に向かって誘導するため、SPG-62による誘導を必要としない。~ これが従来型のSM-2と異なる点である。~ ~