Last-modified: 2024-01-02 (火) 15:01:30 (116d)
【ZSU-57-2】 †
ソビエト連邦が開発した自走式高射機関砲。
ZSUとは"Zenitnaya Samokhodnaya Ustanovka"の略であり『自走高射装置』を意味する。
ソ連最初の自走式高射機関砲として1951年に開発された。
T-54のコンポーネントを多数流用し、オープントップの全周旋回式砲塔にS-60 57mm対空機関砲?の車載用改造型であるS-68 57mm高射機関砲を2連装で搭載する。
なお、車体の装甲厚は減らされて15mmになり、車体長も転輪を一組減らして短縮・軽量化されている。
本車が搭載するS-68 57mm機関砲は高射機関砲としては最大級の破壊力と射程を誇るもので、1門あたり70発/分の発射速度を誇り、対空用砲弾のほか曳光徹甲弾を発射する事ができた。
徹甲弾は射程1,000mにおいて96mm〜106mmの装甲貫徹力があり、対戦車戦闘にも有効であった。
1955年より旧ソ連陸軍への配備が始まったが、発射速度や砲塔旋回速度が遅くレーダーを搭載していないため、通常の目視照準システムでは高速化する戦闘機に対抗できない上、オープントップであるためNBC防護能力を持たせる事ができず、1960年代中盤より後継のZSU-23-4と交代・退役していった。
主な戦歴としては、ベトナム戦争や第三次中東戦争、イラン・イラク戦争で使用されたが、前述の問題から、敵航空機に対して芳しい戦果は挙げられなかった。
しかし、アフガニスタンやユーゴスラヴィアの内戦では地上目標に対して大きな戦果を挙げ、アフガニスタンではソ連軍撤退後も一部のゲリラによって継続使用されていた。
現在ではロシア軍から全車が退役しているものの、キューバやエジプト、シリアなどでは現役で使用されている。
主な採用国 †
- 運用中
- キューバ：25両（1963年の受領時。2024年現在も運用されているかは不明）
- エジプト：40両（2024年現在）
- ヒズボラ：不明（シリア軍から提供。シリア内戦で運用中）
- イラン：80両（2024年現在）
- モザンビーク：20両
- シリア・アラブ共和国：10両（2011年時点（2024年現在の運用数は不明））
- 退役済み
- アンゴラ
- ブルガリア
- ボスニアヘルツェゴビナ
- 中華人民共和国
- エチオピア
- フィンランド
- 東ドイツ
- ドイツ
- ハンガリー
- イラク
- 北朝鮮
- ポーランド
- スルプスカ共和国
- ルーマニア
- ソビエト連邦
- ロシア
- セルビア
- スロベニア
- 北ベトナム
- 南ベトナム
- ベトナム
- ユーゴスラビア
- 運用評価のみ
- チェコスロバキア：評価用に1台輸入（不採用）
- チェコスロバキア：評価用に1台輸入（不採用）
- 鹵獲車両を運用
- クロアチア：ユーゴスラビア紛争で数ユニットを鹵獲。
- イスラエル：六日間戦争中にエジプト軍またはシリア軍から多数鹵獲。戦争終結まで運用した。
- クロアチア：ユーゴスラビア紛争で数ユニットを鹵獲。
スペックデータ †
| 乗員 | 6名 |
| 全長 | 6.22m/8.46m（砲身含む） |
| 全高 | 2.71m |
| 全幅 | 3.27m |
| 戦闘重量 | 28.1t |
| エンジン | V-54 4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル（出力520hp） |
| 懸架・駆動方式 | トーションバー方式 |
| 登坂力 | 60% |
| 超堤高 | 0.8m |
| 超壕幅 | 2.7m |
| 最大速度 | 50km/h（路上） |
| 航続距離 | 420km |
| 装甲 | 溶接圧延鋼 車体 前面：13.5mm（上部）/15mm（下部） 側面：15mm（上部）/13.5mm（下部） 後部：8〜10.6mm 上部：15mm 下部：13.5mm 砲塔 側面：13.5mm 防盾：15mm 上部：なし（開放式） |
| 兵装 | S-68/S-68A 73口径57mm機関砲×2門（300発） |
派生型 †
