Last-modified: 2024-04-05 (金) 19:09:06 (21d)

【P-1】(ぴーいち)

川崎P-1.

防衛省技術研究本部(現:防衛装備庁)と川崎重工が開発した国産の対潜哨戒機
ロッキード・マーチンP-3「オライオン」哨戒機の後継として開発された。
航空自衛隊C-2「ブルーホエール」戦術輸送機との部品共通化が図られ、トータルコストを引き下げる工夫がされている。

動力はP-3の四発ターボプロップから四発ターボファンに改められて速度性能が大幅に向上。
また、操縦系統には実用固定翼機では世界で初めてフライバイライトが採用されている。
これらの大幅な能力向上により、哨戒時の機動力向上が期待されるとしている。

試作1号機は2007年7月に完成し、同年9月、航空自衛隊岐阜基地において初飛行に成功。
翌2008年8月に防衛省へ納入され、海自厚木航空基地へ送られた。

その後、性能評価を目的とした強度試験や飛行試験を行ってきたが、2013年3月に開発を完了*1
2015年4月には第4航空群第3航空隊に初期量産機が配備され、実戦運用を開始した。

今後は(哨戒機型及び派生型と併せて)70〜80機前後を調達し、現行のP-3と完全に置き換えることが予定されている。

なお、2022年12月、日本国政府及び防衛省は本機によって置き換える予定のP-3*2(及び陸上自衛隊攻撃/戦闘/観測ヘリコプター)の代替に無人機を充てる意向を表明している。

また、タイ海軍US-2と並んで興味を示しているという。

英国にも売り込まれ、2015年のロイヤルインターナショナルエアタトゥーにも参加したが、RQ-4及びB737双発小型ジェット旅客機ベースのE-7Aを採用している関係、及びユーザーサポートの利便性*3からアメリカのボーイングP-8に敗れている。

配備部隊

スペックデータ

製造川崎重工
乗員13名(正操縦士副操縦士戦術航空士及びオペレーター10名)
全長38m
全高12.1m
全幅35.4m
最大離陸重量79,700kg
エンジンIHI F7-IHI-10ターボファン×4基(推力5,400kg)
APUハネウェル 131-9J(90kVA)
速度
(最大/巡航
538kt/450kt
実用上昇限度13,520m
航続距離4,300海里(8,000km)
武装機首下部の爆弾倉に短魚雷対潜爆弾など9,000kgまで搭載可能。
主翼ハードポイントパイロンを介して空対艦誘導弾ASM-1CAGM-84
および空対地ミサイルAGM-65)を最大8発まで搭載可能。
アビオニクスHPS-106 Xバンドアクティブフェイズドアレイレーダー
HLR-109B ESM装置
HSQ-012 MAD*4
HAQ-2 光学/赤外線探査装置(FLIR)(ターレットに搭載)
HYQ-3 情報制御処理器
HQA-7 音響処理装置
HLQ-4 自己防御装置
MIDS-LVT端末(リンク16に対応)


派生型

  • XP-1:
    試作機(機体番号5501・5502)。
    5501号機はP-1を経てUP-1、5502号機はP-1となる。

  • P-1:
    量産型(機体番号5503〜)。

  • UP-1:
    試作1号機(機体番号5501)を多用途機に変更したもの。


*1 当初は2011年から生産・配備開始の予定だったが、試験中に機体に数箇所のひび割れが見つかったため遅延した。
*2 同機の代替としては、海上保安庁八戸航空基地で運用しているシーガーディアンなどが検討されているという。
*3 P-8及びE-7AのベースとなったB737(P-8は-800型、E-7Aは-700型ベース)は、これまでに10,000機以上が生産されており、修理・整備・交換部品の調達が容易なことも原因とみられている。
*4 カナダ・CAE社製AN/ASQ-508(V)のライセンス生産(三菱電機が担当)。

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