Last-modified: 2024-04-12 (金) 16:19:03 (15d)
【M1】 †
M1 "Bazooka".
第二次世界大戦期にアメリカで開発された携行式の対戦車ロケット発射筒。
「バズーカ」と呼ばれた最初の兵器である。
1942年6月14日に制式化され、同年11月にチュニジア戦線に投入された。
第二次世界大戦中に大量生産され、本体約48万本、ロケット弾1,560万発が生産された。
アメリカ軍欧州戦域総司令官を務め、後年、合衆国大統領にもなったドワイト・D・アイゼンハワー将軍は、「第二次世界大戦を勝利に導いた兵器」として、「原子爆弾」「C-47輸送機」「ジープ(ウィリスMB/フォードGPW小型四輪駆動車)」、そしてこのバズーカを挙げている。
また、ドイツも鹵獲した物をベースにして、43型ロケット対戦車兵器「パンツァーシュレック(別名『オーフェンロール』)」及び8.8cmロケット発射器43型(別名「プップヒェン」)が生産され、東部戦線でT-34を撃破する威力をみせた。
派生型として空挺部隊向けモデルのM9、軽量化モデルのM18、改良型としてM20「スーパーバズーカ(Super Bazooka)」が開発されている。
スペックデータ †
60mmバズーカ | |||
タイプ | M1 | M9 | M18 |
種類 | 携帯式対戦車ロケット弾 | ||
開発・製造 | ジェネラルエレクトリック チェイニー・ビゲロー鋼線工業(M9A1、1944年6月〜1945年5月) | ||
口径 | 60mm(2.36インチ) | ||
全長 | 1,370mm(M1) 1,380mm(M1A1) | 1,550mm 800.1mm(携行状態) | 1,536.7mm 800.1mm(携行状態) |
重量 (ロケット弾非装弾時) | 5.9kg(M1) 6.01kg(M1A1) | 6.87kg(M9) 7.2kg(M9A1) | 4.672kg |
作動方式 | 電気発火式(電池式) | 電気発火式(電磁誘導式) | |
使用弾薬 | M6 対戦車ロケット弾 | M6A1/M6A3 対戦車ロケット弾 | M6A3/C 対戦車ロケット弾 |
装弾数 | 1発 | ||
発射速度 | 毎分5発 (手動装填・単発式) | 毎分4〜5発 (手動装填・単発式) | |
銃口初速 | 91m/秒 (M6使用時) | 85.34m/秒 (M6A3使用時) | 82.3m/秒 (M6A3/C使用時) |
有効射程 | 137.16m |
89mmバズーカ | ||
タイプ | M20「スーパー・バズーカ」 | 89mmロケット発射筒 M20改4型 |
口径 | 89mm(3.5インチ) | |
全長 | 1,524mm | 1,535mm |
重量 (ロケット弾非装弾時) | 6.49kg(M20A1) 5.90kg(M20A1B1) | 6.8kg |
作動方式 | 電気発火式(電磁誘導式) | |
使用弾薬 | M28 対戦車ロケット弾 | |
装弾数 | 1発 | |
発射速度 | 毎分4発 (手動装填・単発式) | 毎分4発(持続) 毎分8発(最大) |
銃口初速 | 100m/秒 | 約98m/秒(M28A2 HEAT) 約150m/秒(M35 HEAT) |
有効射程 | 274.32m(静止目標) 182.88m(移動目標) | 約200m(移動および点目標) 約600m(地域目標:M28使用時) 約980m(地域目標:M35使用時) |
バリエーション †
- M1:
基本型。
- 初期生産型:
枠型の前部照準器を持つ。左右両用となっており、照星が左右にある。
後部照準器は発射筒の上面に取り付けられており、左側/右側どちらにも回転させて用いることができるようになっていた。
フォアグリップあり。
- 後期生産型:
前部照準器が左側のみの長方形(厳密には変形六角形)となり、後部照準器も左側のみの固定式となる。
- 初期生産型:
- M1A1:
M1の改良型。
設計の簡素化及び軽量化のほか、電気点火装置が改良されている。
- 初期生産型:
M1後期生産型に準じる照準器を持つ。フォアグリップあり。
- 後期生産型:
前部照準器の照星が4段階から3段階、最大300ヤードまでに変更され、3段式となる。
後部照準器は門型から環孔型(ピープサイト)となった。
フォアグリップは廃止された。
- M9:
M1の改良型。
光学サイトが装備され、発射機が分割可能となった。
- M9E1:
分割構造を改良し、後部筒の構造を強化するためにワイヤーを巻いて補強した型。
- M9A1:
点火方式をバッテリー点火式から磁気点火式に変更した型。
- M9A1:
- 初期生産型:
- M18:
アルミ合金を使用した軽量型。
- M20「スーパー・バズーカ」:
口径を89mmに拡大した改良型。
朝鮮戦争の「大田(テジョン)の戦い」で初めて実戦投入された。
- M20B1:
発射筒本体とその構成部品を鋳造アルミニウムの一体成形とした軽量化モデル。
- M20A1:
改良型。
ロケット弾の発火機構をM1バズーカ初期型と同じ構造に変更し、分割部の構造を強化、発射筒中央部にあった二脚および肩当ての前部にある単脚を廃止した。
- M20A1B1:
既存のM20B1の発火機構を-A1と同方式に改造する改装を行った型。
A1型およびB1A1型は、発射筒後端上部にレバー付きのスイッチボックスがあることで識別できる。
- 89mmロケット発射筒 M20改4型:
陸上自衛隊でのM20A1/M20A1B1の呼称。
2010年代に後継の84mm無反動砲や110mm個人携帯対戦車弾に代替されるまで、地対艦ミサイル連隊や後方支援隊などの自衛用火器や訓練用装備として用いられた。
- M25「三連射バズーカ(Three Shot Bazooka)」:
M20をベースに後筒部分に次発装弾装置と3連弾倉を装備して連発が可能にした型。
試作のみ。
- M24 対戦車地雷装置:
89mmバズーカの対戦車ロケット弾を利用した対戦車トラップの一種。
M28ロケット弾、M134発射筒、M61発火装置、及びM2トラップワイヤーと射角調整装置で構成される。
1968年11月に制式化され、約50,000セットが生産された。
少数がベトナム戦争において特殊部隊によって使用された。
- M20B1: