Last-modified: 2024-02-16 (金) 16:45:46 (70d)

【LORAN】(ろらん)

Long-Range Navigation.

かつて船舶や航空機で用いられてきた航法システムの一つ。
無線電波と時計によって、各所に設置されている測位局との距離を特定する。

「LORAN」はアメリカおよび冷戦時代の西側諸国で用いられたシステムで、旧共産圏でも同一原理の「アルファ航法」が運用されていた。

無線測位局が現在時刻を電波で放送し、これを受信した端末が時刻(経過時間)によって無線測位局までの距離を割り出す。
2箇所の無線測位局までの距離を割り出せば、幾何学的計算によって自身の地図上の位置を特定できる。
無線測位局が現在時刻を電波に乗せて送っていたことから、航法上の用途とは別に、時計の時刻を同期させる目的にも用いられた。

使用する電波周波数により、ロランA、ロランCの二種類の規格が存在する。

ロランA
1750〜1950kHzの中波を使用。有効距離は約700海里(日中)/約1,400海里(夜間)。
ロランC
100kHzの長波を使用。最高有効距離は約2,300海里。

第二次世界大戦時にアメリカ海軍とマサチューセッツ工科大学の共同で開発され、1942年から太平洋戦域で運用を開始。
戦後はアメリカ海軍及びアメリカ沿岸警備隊によって世界各地に無線測位局を設置して運用されてきた。
冷戦終結後はGPSに置き換えられて発展的解消を遂げた。

純技術的に見て、LORANが全地球測位装置に劣る枯れた技術というわけではない。
ただし、全地球測位装置が機能しない状況下での代替措置としての需要しか存在しないため、経済上の理由から運用されなくなっていった。


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