Last-modified: 2024-04-12 (金) 08:46:36 (15d)

【L-90】(えるきゅうじゅう)

スイスのエリコン社が開発した高射機関砲
正式には「KDA 35mm高射機関砲」と呼ばれる(「L-90」は90口径を表す通称である)。

単なる機関砲ではなく、専用のレーダーで目標を捕捉し、火器管制装置が自動迎撃を行う事ができる。
システム全体を車載するのは至難であり、艦艇以外では以下のユニットで1セットのシステムが構成される。

  • エリコンKDA 35mm機関砲×2基
  • 火器管制レーダーを備えた射撃管制装置「スーパーフレーダーマウス」(後に「スカイガード」に変更*1
  • 光学目標指定機×1基
  • 電源車輌×3両

輸送車両は標準化されておらず、各軍のトラックや軍用車両に搭載する場合もあれば、牽引される場合もある。

スペックデータ(牽引型)

口径35mm(90口径)
全長7,800mm
砲身長3,150mm
重量6,700kg
砲架アウトリガーに4輪を装備
俯角-5度〜+92度
旋回角360度
使用砲弾35x228mm
発射速度550発/分(単装)
1,100発/分(連装)
初速1,175m/s(HEI-T)
有効射高4km
射程約6,000m(焼夷榴弾)/約12,600m(曳光弾、曳光7秒)
製作35mm砲:スイス・エリコン社、日本製鋼所
射撃統制装置:スイス・エリコン社、三菱電機


スペックデータ(車載型)

形式KDAKDBKDCKDEKDFKDG
口径長90口径80口径
使用砲弾35x228mm
全長4,740mm5,206mm4,273mm4,740mm4,110mm
後座長55mm60mm170mm55mm20mm
全高653mm479mmN/A464mm322mm
全幅356mm280mm424mm256mm344mm
重量695kg435kg510kg470kg/495kg450kg
作動方式ガス圧作動方式ガス圧作動
リボルバーカノン
発射速度550rds/min200rds/min550rds/min1,000rds/min
砲口初速1,175〜1,385m/s1,180〜1,440m/s
反動26.5kN15kN12kN25kN15kN
対空有効射程5,000m
対地有効射程8,000m


主な搭載車両・搭載艦艇

車載型

艦載型

  • 日本(海上保安庁
    • PLH
    • PL
      • しれとこ型(後期建造船)
      • おじか型(2番船以降)
      • こじま
    • イラン
    • インドネシア
      • マルタディナタ級フリゲート
    • ギリシャ
    • デンマーク
      • アブサロン級多目的支援艦
      • アイヴァー・ヒュイトフェルト級フリゲート
    • ベネズエラ
      • グアイカマクト級哨戒艦
      • グアイケリ級哨戒艦
    • リビア
      • フリゲート「ダット・アサワリ」
      • ワディ・ムラク級コルベット

バリエーション

  • 車載型
    • KDA:
      初期型。
      87式自走高射機関砲ゲパルトに搭載されている。

    • KDB:
      KDAをベースにした軽量改良型。

    • KDC:
      給弾方式をベルト給弾式からリンクレス方式に変更した型。

    • KDE:
      KDAをもとに発射速度を落とし軽量化した型。
      89式装甲戦闘車の武装として搭載されている。

    • KDG:
      口径35mmのリヴォルヴァーカノンモデル。
      35/1000とも呼ばれる。

  • 牽引型
    • GDF-001:
      初期型。陸上自衛隊のL-90はこのタイプ。

    • GDF-002:
      フェランティ社製照準器を採用し、デジタルデータバスを備えた小改良型。
      装弾数は238発(準備弾112発、予備弾126発)。

      • GDF-003:
        GDF-002に自己潤滑性材料の採用などの改良を施したマイナーチェンジモデル。

    • GDF-005:
      照準器を3次元コンピュータ制御のガンキングに変更し、自動装填装置を採用して省力化を図った全面改良型。
      この改良により、レーザー測距儀や砲口初速、気象データなどを元に見越し角を自動算出できるようになった。
      「スカイ・ガード」システムとして広く採用された。

    • GDF-006:
      GDF-001/002/003を調整破片型ABM弾であるAHEAD(Advanced Hit Efficiency And Destruction)弾の運用に対応させたモデル。

    • GDF-007:
      GDF-005をAHEAD弾の運用に対応させたモデル。

    • GDF-009:
      2015年に発表されたモデル。
      最大7度までの傾斜角を補正できるオートレベリングシステムを搭載。
      台車前部に内蔵バッテリーを搭載し、機関砲の電源ユニットとして機能する。
      また、必要に応じて外部からの充電が可能。

    • GDF-020:
      KDGを単装砲塔に搭載したモデル。AHEAD弾の運用に対応している。
      「スカイ・シールド」システムとして市場に提示されたほか、ドイツ陸軍では、MANTIS次期空間防護システム(旧称 NBS C-RAM)として採用されている。

    • MKE GDF-003B:
      GDFシリーズのトルコでのライセンス生産型。
      Mechanical and Chemical Industry Corporation(Makina ve Kimya Endüstrisi,MKE)が生産を担当している。

    • MKE/Aselsan GDF-003B Modernized:
      MKE GDF-003Bをアセルサン(Askeri Elektronik Sanayi,ASELSAN)社で近代化改修した型。
      GDF-003Bとアセルサン社製の火器管制装置を組み合わせている。

    • 90式35mm連装機関砲(PG99):
      GDF-002のチャイニーズコピーモデル。

      • CS/SA1:
        90式のアップグレードモデル。

    • MAA-001:
      GDFシリーズのミャンマーでの現地生産モデル。

  • 艦載型
    • GDM-A:
      連装型。
      しきしま(初代)型巡視船に搭載されている。

    • GDM-B:
      単装型。
      おじか型巡視船(一部の艦)、つがる型巡視船(一部の艦)、ふそう型巡視船に搭載されている。

    • GDM-008:
      GDF-020の艦載モデル。
      「ミレニアム」CIWSとして、デンマークのアブサロン?級多目的支援艦やアイヴァー・ヒュイトフェルト?フリゲートに搭載されている。

    • Aselsan GOKDENIZ:
      アセルサン社が開発した35mmCIWS
      同社が開発したKORKUT自走対空砲を艦載化したものである。


*1 デジタルデータバスを備えるGDF-002以降のモデルは「スカイガード」と連接可能。

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