Last-modified: 2024-01-03 (水) 23:22:35 (114d)

【9mmルガー】(きゅうみりるがー)

ドイツのDWM社が1902年に開発した拳銃弾
口径と長さから「9mm×19弾」、最初に採用した拳銃の名から「9mmパラベラム」などともいう。

「パラベラム」の語源は、ラテン語の諺「Si Vis Pacem, Para Bellum(汝平和を欲さば、戦への備えをせよ)」。
DWM社はこれをモットーとしている。

パラベラム・ピストーレ用の7.65mm×22パラベラム弾(7.65mmルガー弾)を基に、大口径化を企図して設計された。
DWMはこれを採用した「パラベラムM1902」拳銃アメリカ陸軍向けに売り込んだが、採用には至らなかった。
後に同社の「パラベラムP08(ルガーP08)」がドイツ陸軍に採用されたため、広く知られるようになった。
パラベラム・ピストーレはアメリカでの通称「ルガー・ピストル」の方が有名で、パッケージにも「9mm Luger」の表記が多く見られる。

高初速で貫通力が高く、発砲時の反動が軽い。比較的小型軽量で装填弾数が多く、工業的な大量生産も容易。
こうした特性は部隊単位での大規模な利用に適しており、軍用拳銃および短機関銃での採用例が多い。

反面、マンストッピングパワーにはやや劣る。
また、初速音速を超えているため、通常の減音器ではソニックブームで発生する音を防げない。
どうしても減音が必要な場合は初活力の低い弱装弾を別途用意する必要がある。
こうした特性のため、白兵戦が想定される民間護身・特殊部隊用途にはやや不向き。
特に、商業流通の主体であるアメリカ民間市場ではより大口径の弾薬に押され、シェアは大きくない。

アメリカでは長らく「装弾数12発以上の拳銃」が規制対象になっており、9mmルガー規格の軍用拳銃のほとんどがこれに抵触した。
この規制と、そもそもアメリカ人ユーザーは大きく重く力強い「マッチョ」な銃を好む傾向にあるため、9mmルガーはそれほど人気を博さなかった。
拳銃の装弾数規制は近年撤廃されたが、多様化した市場環境で今更9mmルガーを優遇する理由も特にない。


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