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【60式自走無反動砲】 †
かつて陸上自衛隊が装備していた対戦車車両(戦車駆逐車)。
61式戦車や60式装甲車など、1950年代より開発が進められた国産兵器の一つで、戦後初の国産装軌式装甲戦闘車輌でもある。
1960年(昭和35年)に制式化され、1979年の生産終了までに総計253両が製造された。
隊員間では「106SP」と呼称されていたほか、「マメタン」の通称があった。
主武装は国産の60式106mm無反動砲を2門装備しているが、自動装填装置を備えていないため、再装填時は車外に出る必要があった。
副武装には60式12.7mmスポッティング・ライフル(機関銃)を装備し、無反動砲を撃つ時はまずこの機関銃で目標を射撃し、曳光弾の光跡を目視で確認することで照準を行う必要があった*1。
専守防衛の観点から開発された兵器で、待ち伏せによる対戦車攻撃を主任務とし、個人携行型の対戦車火器が普及するまで半世紀にわたって使用された。
84mm無反動砲などの個人携行型の対戦車火器が普及したことで、2008年に全車が退役した。
なお、装甲車両に無反動砲を装備した例としては他にM50「オントス」自走無反動砲(アメリカ)がある。
関連:60式装甲車
スペックデータ †
乗員 | 3名(車長、操縦手、装填手) |
全長 | 4.30m |
全高 | 1.38m |
全幅 | 2.23m |
戦闘重量 | 8t |
エンジン | 小松製作所製6T-120-2H空冷ディーゼル(出力120hp、A,B型) 小松製作所製SA4D105 4ストローク直列4気筒水冷ターボディーゼル(出力150hp、C型) |
登坂力 | 60% |
超堤高 | 0.6m |
超壕幅 | 1.8m |
最大速度 | 55km/h(路上) |
行動距離 | 140km |
最大射程 | 7,700m |
有効射程 | 1,100m |
装甲 | アルミ合金製 |
装甲厚 | 15〜30mm |
兵装 | 60式106mm無反動砲×2基 60式12.7mmスポッティングライフル*2×1挺 |
装弾数 | 車体左右袖部:各4発、右フェンダー後部上面:2発、計10発 |
製作 | 小松製作所(車体) 日本製鋼所(無反動砲と砲塔) 豊和工業(スポットライフル) |
主なバリエーション †
- SS-1 :
小松製作所が設計した第1次試作車。
エンジンを車体前部に、変速操向装置を後部に配置する。
- SS-1(改):
SS-1の無反動砲を4連装化したもの。現在は東千歳駐屯地で展示されている。
- SS-2:
三菱重工業が設計した第1次試作車。
エンジンを車体後部に、変速操向装置を前部に配置する。
- SS-3:
三菱重工業が設計した第2次試作車。
転輪が1個増加し片側5個になった。
- SS-4:
最終試作型。
- A型:
初期生産型。
- B型:
1967年から量産が開始され、三次防型とも呼ばれる。
車体の各部が補強されている。
- C型:
1975年以降の生産型。
液冷エンジンに変更されている。
- D型:
生産終了後の1987年1月に制式化。
詳細不明。
- 戦車駆逐車型:
本車と同一の車体に64式対戦車誘導弾を搭載した戦車駆逐車型の試作車。
命中まで時間がかかる誘導弾は待ち伏せに不利とされ、不採用となった。
*1 ただし、スポッティング・ライフルの有効射程が主砲の無反動砲よりもはるかに短かったため、遠距離の目標に対する試射はできなかった。
*2 レミントン?M8C 半自動小銃を豊和工業がライセンス生産したもの。