Last-modified: 2022-10-29 (土) 12:04:53 (546d)

【08式歩兵戦闘車】(ぜろはちしきほへいせんとうしゃ)

中国・人民解放軍陸軍で運用されている装輪式の歩兵戦闘車
ZBL-08と呼ばれるほか、「雪豹」の愛称がある。
2009年初めに制式化され、同年10月の中華人民共和国建国60周年記念パレードで初めて公開された。

公開当時、海外メディアでは「09式歩兵戦闘車(ZBL-09)」の名称で呼ばれていた。
「ZBL-08」の正式名称が判明したのは2017年7月30日の中国人民解放軍90周年記念軍事パレードを報じる雑誌であった。

車体は均質圧延鋼装甲で、車体前部は避弾経始を意識した楔形形状になっている。
車体配置は、最前部右側が機関室、左側が操縦手席と車長席となっており、車体中央には二人用砲塔を設置、車体後部は兵員室となっており、車体後部には横開き式ハッチが設置されている。
また、兵員室には両側面にそれぞれ1基、車体後部に1基のガンポートと外部視認窓が設けられている。
水上航行能力も有しており、車体後部にスクリューが装備されている。
乗員数は、車長、砲手、操縦手の3名と乗車歩兵7名の計10名となっている。

武装については2A72 30mm機関砲を装備した2人用砲塔を搭載している。
この砲塔は海軍陸戦隊で運用されている05式水陸両用歩兵戦闘車(ZBD-05/ZBD-2000)に搭載されたものと同様である。
また、砲塔の両側面には「紅箭73(HJ-73)」対戦車ミサイル発射機が装備されている。
このミサイルは、ソ連/ロシアの9M14M「マリュートカ(AT-3『サガー』)」対戦車ミサイルのコピーであるが、09式に搭載されているのは改良型のHJ-73Cで、誘導方式を有線式半自動指令照準線式に変更し、弾頭先端部に爆発反応装甲対策用のプローブが装着されている。

本車は、開発当初からファミリー化を前提とした設計が施されており、歩兵戦闘車型以外にも装甲兵員輸送車型、122mm自走榴弾砲型、指揮通信車型、装甲回収車型、戦車駆逐車型、輸出向けのVN-1や07P式歩兵戦闘車など、各種の派生型が開発されている。

スペックデータ

乗員3名+兵員7名
全長8m
全高3m(砲塔含む)
全幅2.1m
戦闘重量21t
懸架・駆動方式8輪駆動
マクファーソン・ストラット式サスペンション(前方4輪)
油気圧懸架式(後方4輪)
エンジンDeutz BF6M1015FC 2ストロークV型6気筒液冷ターボチャージドディーゼル
出力455hp
最高速度
(路上/浮航)
100km/h / 8km/h
行動距離800km
装甲均質圧延鋼装甲+セラミック付加装甲
主兵装ロイヤル・オードナンスL7 105mmライフル砲(戦車駆逐車型)
155mmまたは122mm榴弾砲自走榴弾砲型)
120mm迫撃砲自走迫撃砲型)
12.7mm重機関銃×1挺(APC型)
UW4 30mmRWSまたは99式30mm機関砲×1門(歩兵戦闘車型)
KDG 35mmリボルバーカノン(自走対空砲型)
副武装86式7.62mm機関銃×1挺(同軸機銃
「紅箭73(HJ-73)」対戦車ミサイル発射機×2基(ミサイル2発)
6連装発煙弾発射機×2基


派生型

  • 08式歩兵戦闘車(ZBL-08):
    歩兵戦闘車型。30mm機関砲を装備した二人用砲塔を搭載。

  • 10式装甲兵員輸送車(ZSL-10):
    兵員室の天井を嵩上げし、兵員輸送能力を13名に拡大している。
    武装は防盾付き12.7mm重機関銃×1挺かRWSのいずれかを装備できる。

  • 装甲偵察車型:
    偵察用レーダーなどの偵察用機材を搭載した型。
    レーダーと光学照準器は格納式マストに装備されている。

  • 砲兵観測車型:
    目標捕捉、各種観測機器を装備。武装は残されている。

  • 電子光学偵察車型:
    全周式の光学監視カメラ(昼光カメラ、赤外線サーマルカメラ、暗視カメラの機能を持つ)を装備。
    非武装で砲塔無し。

  • 09式装輪自走榴弾砲(PLL-09):
    車体後部に96式122mm榴弾砲(PL-96)を搭載した密閉砲塔を持つ自走榴弾砲型。

  • 11式105mm装輪突撃車(ZTL-11):
    車体後部に105mmライフル砲を搭載する火力支援型(装輪戦車)。リアエンジン式。

  • 12式対空砲・ミサイルシステム(PGL-12):
    自走対空砲型。
    35mm機関砲1基と砲塔右上に飛弩6(FN-6)地対空ミサイルの連装発射機を装備した無人砲塔を搭載する。
    搭載機関砲は09式自走対空機関砲(PGZ-09)と同様だが、回転式装填装置の採用により発射速度が1,000発/分に変更されている。

  • PGL-XX防空ガン・ミサイルシステム:
    コードネーム「625」とも呼ばれる試作車両。
    短距離防空用に6銃身25mmガトリング砲を搭載する。
    HQ-17A自走短距離防空システムと組み合わされる予定。

  • 09式装輪装甲指揮通信車(ZZH-09):
    車体後部の区画を上部に拡大したコマンドポスト型。
    衛星通信装置や戦闘管理システムを搭載。
    指揮通信任務に使用される。

  • 通信車型:
    指揮車型ベース。歩兵大隊のために通信機器を追加搭載している。

  • 装甲救急車型:
    指揮車型ベース。医療機器を装備した乗務員室が特徴。

  • 14式危険環境偵察車:
    指揮車型ベースのNBC偵察車型。

  • 電子戦車両型:
    指揮車型ベース。
    車体上部の衛星通信装置の代わりにESM用小型レーダーパネルを複数備えた長方形のレーダーを装備している。

  • 装甲地雷除去車型:
    砲塔を撤去し、車体前部にマインプラウを装備するなどの改修を施した型。

  • 装甲架橋車型:
    車体上部に折りたたみ式の橋体を搭載。

  • 装甲回収車型:
    車体上部にクレーンを装備。武装は12.7mm機関銃×1基。

  • 装甲輸送車型:
    装甲輸送車型。車体の防弾窓が多くなっている。

  • 装甲工兵車型:
    車体前方にドーザーブレード、ルーフ前端にショベルバケットを装備する。

  • PLL-05:
    120mm迫撃砲を装備した自走迫撃砲型。

  • 装甲弾薬補給車型:
    PLL-09とセットで運用される弾薬補給車型。
    車体後部ハッチは観音開き式に変更され、車体後部には搬出作業用にクレーンが装備されている。
    砲弾は車内の砲弾ラックに搭載されている。

  • 装輪突撃砲型(フロントエンジン式):
    車体後部に105mmライフル砲を搭載する火力支援型。
    異なった形状の砲塔を搭載した二つのタイプが確認されている。

  • 通信能力強化型:
    車体中央部に大型ドームを搭載し、車体後部の天井が嵩上げされている。

  • VS27:
    装甲救急車型。

  • VS36/VS32A:
    偵察車型。

  • CS/SA5:
    6銃身ガトリング砲を備えた防空車両型。

  • CS/AA5:
    歩兵戦闘車型。
    遠隔操作式の40mm機関砲を装備した砲塔を備える。

  • VN-1:
    NORINCOが販売を行っている輸出向け歩兵戦闘車型。GCTWM型1人用砲塔を搭載。
    車体後部ハッチに09式には無いランプ・ドアがあるなど、細部が異なる。

    • VN-1A:
      装甲兵員輸送車型。
      車体後部天井を嵩上げしたシャーシに、12.7mm重機関銃×1挺を装備したオープントップ銃塔を搭載。
      乗員2名に加えて歩兵13名が搭乗。

    • VN-1(戦車駆逐車型):
      車体後部に105mmライフル砲を搭載した砲塔を搭載。
      戦闘重量24トン、乗員4名に加えて歩兵1名の乗車が可能。

    • VN-1C:
      砲塔を30mm機関砲を装備したRWSに換装した型。

  • 07P式装輪歩兵戦闘車:
    輸出向け歩兵戦闘車型。
    2009年2月にUAEで開催されたIDEX2009国際兵器展示会で初公開された。
    外観はVN-1歩兵戦闘車型と同じ。

  • SWS-2:
    輸出向け短距離防空(SHORAD)型。
    35mm機関砲と地対空ミサイルを装備。

  • ST-1:
    11式装輪装甲突撃車の輸出型。
    L7 105mmライフル砲を装備。

  • SH-11:
    輸出向け39口径155mm自走榴弾砲。
    全自動装填装置と最新の光学装置を装備。

  • AFT-10対戦車ミサイルキャリアー:
    2018年の珠海航空ショーで発表された型。


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