Last-modified: 2022-10-14 (金) 20:38:15 (561d)

【偏差射撃】(へんさしゃげき)

発射から着弾までのタイムラグの間に目標がどう動くかを予測して、その予想位置を狙って射撃する事。
「見越し射撃」「リード射撃」とも。

目標に対してキロメートル単位の距離がある場合、火砲の発射から着弾まで時間がかかる事は度々ある。
このため、静止目標を狙うような要領で移動する目標を撃つと、弾が到達する頃には標的は別の場所に移っている。
移動する目標を狙い撃つには、発射した時点での標的の位置ではなく、弾着の時点で標的がいるはずの位置を狙う必要がある。

距離や経験によっては、目測と勘に基づいた射撃でも成功の可能性は十分ある。しかし、厳密に行うためには精密な計測と数学的な推定が必要不可欠である。
そのため、近代になってからはジャイロスコープレーダーを用いて偏差射撃のための計算と照準補正を自動で行う火器管制装置などの開発が進められ、多くの兵器に搭載された。

軍用機、特に搭載武装が基本的に機関銃機関砲のみであった第一次世界大戦から第二次世界大戦頃の戦闘機パイロットたちには、正確に射撃、敵機を撃墜するための優れた偏差射撃の技術が求められた。
航空機搭載の可能な火器管制装置が実用化するのは朝鮮戦争頃で、近代的な戦闘機は基本的にそれらを搭載している。
一方で完全に敵機の機動を予測した偏差射撃を実施することは不可能に近く、現代の戦闘機パイロットにとっても偏差射撃の技術の重要性は薄れていない。


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