Last-modified: 2024-03-30 (土) 20:55:39 (27d)

【特別司法警察職員】(とくべつしほうけいさつしょくいん)

日本国の法制度における司法警察職員に関する規定の一つ。
警察官(一般司法警察職員)以外で、職務上必要な時に司法警察としての権限を行使できる職員。
根拠となる法令は一定ではなく、個々の職責に応じて別途に検討・施行される。

刑事訴訟法 第百九十条
森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める。

一般の警察官には、司法警察としての事務を行うために必要なほぼ全ての権限が与えられている。
実際の活動においても、可能であれば警察との連携を取る事が望ましい。
従って、警察官以外の者に司法警察の権限を与える法整備がなされるのは、以下のことが主因となる。

  • 違法行為の第一発見者となりやすく、その状況を警察官が監督できない。
  • 専門知識・技術について警察機関から捜査協力を求められる事がある。

現行の特別司法警察職員

名称所属官庁武器携帯の可否根拠法令
海上保安官
海上保安官補
海上保安庁海上保安庁法 第31条
麻薬取締官厚生労働省地方厚生局麻薬取締部麻薬及び向精神薬取締法 第54条5項
麻薬取締員各都道府県庁
皇宮護衛官警察庁皇宮警察本部警察法 第69条
刑務官法務省矯正局刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律 第145条
自衛隊警務官防衛省自衛隊自衛隊法 第96条1項
労働基準監督官厚生労働省労働基準局不可労働基準法第102条
鉱務監督官資源エネルギー庁原子力安全・保安院不可鉱山保安法第49条
船員労務官国土交通省海事局不可船員法 第108条
/船員災害防止活動の促進に関する法律 第62条
漁業監督官水産庁手錠・特殊警棒のみ漁業法 第74条5項
漁業監督吏員各都道府県庁
鳥獣保護・狩猟事務担当職員各都道府県庁不可鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律 第76条
森林管理局員林野庁不可大正12年勅令第528号*1 第3条の4及び第3条の9
船長等-不可大正12年勅令第528号 第6条


廃止された特別司法警察職員

名称所属官庁武器携帯の可否根拠法令
帝室林野局出仕帝室林野局不可大正12年勅令第528号 第3条の1及び9
猟場管守事務担当
宮内省職員
宮内省不可大正12年勅令第528号 第3条の2及び10
日本国有鉄道職員*2日本国有鉄道不可大正12年勅令第528号 第3条の5及び12
鉄道公安職員*3大正12年勅令第528号 第3条の5及び12
/鉄道公安職員の職務に関する法律
北海道庁の営林区署
勤務の北海道庁職員
北海道庁不可大正12年勅令第528号 第3条の6
河川監守たる
北海道庁職員
不可大正12年勅令第528号 第3条の13
経済監視官
及び経済監視官補
府県警察部不明大正12年勅令第528号 第3条8の2及び第3条の14
経済査察官経済安定本部不可昭和22年勅令第193号「経済安定本部令」
海上公安官
/海上公安官補
海上公安局*4海上公安局法 第15条
専売監視員日本専売公社不可*5
郵政監察官*6郵政省→郵政事業庁→
日本郵政公社
不可日本郵政公社法 第63条の3*7



*1 正式名称は「司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件」。
*2 駅長・助役・車掌区長など。
*3 厳密には「職務に関して刑事訴訟法の一部準用を受ける日本国有鉄道職員」であり、「刑事訴訟法上の司法警察職員」ではない。
*4 運輸省の隷下だった海上保安庁を保安庁(防衛省の前身)隷下組織として改組の上設立される予定だった機関。設立されないまま廃止。
*5 違反事案に対し、国税犯則取締法の規定を準用して対応していた。
*6 現行犯を除いては被疑者を直接逮捕できず、逮捕する必要があるときは警察官に逮捕させていた。
*7 2007年9月30日時点での最終状態。

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