Last-modified: 2023-08-06 (日) 10:28:45 (265d)

【鉄道】(てつどう)

Railway/Railroad.

道の上に軌道(レール)を敷き、その軌道上で車両を走らせる交通機関。
18世紀後半に登場し、初期は馬車や人力車で行われていた荷役の負担を軽減するために用いられた。
エンジンの技術と結びつく事で世界中に広まり、現代でも交通網の要として広く利用されている。

日本語訳の「鉄道」は当時(から現代まで)鋼鉄の軌道を敷いていた事に由来する。
コンクリートの軌道上をゴムタイヤで走らせる事も可能だが、耐久性・重量限界で劣り輸送単価が高くつくため非主流。
敷いた軌道の上を走るのでなく軌道橋の下に車両を吊して走らせる場合もあるが、これも安全上・経済上の理由から非主流。

予め土地を確保して軌道を敷く必要があるため、事前に線路を敷設する段階で極めて大規模な土木工事と初期投資を必要とする。
しかし、整備された鉄道網における輸送費は、同じ条件下で自動車を使う場合の1/10程度にまで圧縮できる。

鉄道車両は軌道上しか走らないため悪路を想定する必要がなく、進路変更や右折・左折を行う機能すら必要とされない。
また道路ではとても走れないような長大な車両を運用する事ができる(連結して全長1kmを越えている実用例も多々ある)。
自動車に比べて減速・停止や安全確認の機会も少なくなるため、運行においても安全・迅速な効率化が可能である。

鉄道の軍事利用

鉄道の登場は軍事革命的な出来事でもあり、国家総力戦を戦う上で重要な要素であった。
鉄道を利用すれば、武器・弾薬・食料・人員・資材など、大量の物資を高速で効率良く輸送する事が可能になったためである。
このため、一時期は兵站戦略上の方針に基づいて輜重兵科工兵科が軍用鉄道網を管理していた。

また、極めて多大な貨物積載能力を転用し、巨大な兵器を搭載して戦闘に直接参加する鉄道車両も登場した。

当時の戦車では搭載困難な大型の榴弾砲を台車に搭載した「列車砲」。
あるいは装甲化された機関車が高射砲カノン砲機関砲を載せた台車を牽引する「装甲列車」など。

しかし、戦闘兵器としての鉄道車両は、その機動に致命的な欠陥を抱えていた。
列車は前進と後退しかできないため、回避機動を取る事も隠れる事もできない。
よって、機動戦に徹する戦車航空機への対処は事実上不可能であった。
この弱点が第二次世界大戦において浮き彫りになり、鉄道は軍事の第一線から退いていった。

現代に至っては、軍隊は軌道を敷く時間を確保できないほど活発に機動するのが普通である。
このため、鉄道の本領であった兵站輸送においても、機動性に優れた自動車や航空機に置き換えられつつある。

とはいえ、交戦を想定しない場合には現代でも経済効率において最優に近い。
このため、平時の領土内交通では兵站網の構成要素として現在も鉄道が活用されている。

また、現代でも列車砲の後継として、弾道ミサイルとその発射装置を搭載した列車が運用される場合がある。
弾道ミサイルは全長20m・重量5トンを越えるような巨大な物体であり、自動車輸送はあまり現実的でないためである。
こうした弾道ミサイル搭載列車の中には、戦略核兵器が搭載されたものも含まれているという。

関連:戦略哨戒 第101建設隊


トップ 編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS