【水上機】 †
Water plane / Seaplane.
海や湖などの水上で離着水が可能な航空機。
文脈上、飛行艇を含む場合と含まない場合がある。
以降の記述は狭義の水上機のみを扱い、飛行艇を含まないものとする。
狭義の水上機は、ランディングギアのかわりにフロートを装備した飛行機を指す。
陸上機に最低限の改造を施すだけで改装できるため経済性に優れるが、運用においては欠陥が多い。
飛行艇との差異は水密胴体を持たない点にあり、胴体が直接水に浸かると浸水する危険性がある。
この理由から荒天や波浪に弱く、実質的に離着水できない状況も多い。
滑走路や飛行甲板への離着陸もできなくなるため、停泊時にはクレーンで釣り上げる必要がある。
さらに、重く巨大なフロートが常に露出しているため抗力が増加し、飛行性能も大幅に低下する。
フロートは水中・空気中での抗力を考慮し、底が切り立った小舟のような流線型に形成される。
フロートの取り付け方は様々で、機体直下の主フロートのみのものから、主フロートと翼端フロートを装備するもの、両翼下に主フロートを装備するものなどがある。
また、離水後の飛行中に分離を可能とするものや、機体内部に収容するものも存在する。
いずれにせよフロートの浮力には構造上の限界があり、深刻な重量制限を伴う。
大型旅客機などは水上機への改装が不可能で、大型機を離着水させるには最初から飛行艇として設計する必要がある。
第二次世界大戦頃までは、全通甲板を持てない艦艇の艦載機として多用された。
しかし上述の欠陥から母艦の運用に重大な制約を課す事になった。
着水する艦載機を波浪から守るために母艦が旋回して波を打ち消す必要があった。
また、着水の度に毎回クレーンで釣り上げる必要があり、大きな手間がかかった。
やがて、ヘリコプターが実用化されると共に軍事的価値を喪失したが、現代でも沿岸地域(主に離島)の連絡用に少数が運用され続けている。
島嶼ではヘリパッドを造成できない険峻な地形も多く、沿岸に着水する必要に迫られる場合がある。
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