Last-modified: 2023-04-23 (日) 23:06:22 (369d)

【行進間射撃】(こうしんかんしゃげき)

車輌が走行中に火砲を発射する事。「行進射」。

戦車運用における用語であり、部隊隊形を確認しながら断続的に行進・停止を繰り返す機動戦術を前提とする。
この戦術が確立された当時、戦車砲塔は走行中にひどく揺動し、その状態で射撃しても命中など到底期待できるものではなかった。
攻撃に際しては停止する必要があったのだが、それでも牽制や陽動などで行進間に射撃しなければならない場合もあった。

当然、射線が通る状態で停止すれば、敵からも射線が通っていて狙われやすい。
このため、敵に撃たれる危険性を局限しつつ、味方が止まって撃てる状況を作る事が戦車機動の基本原則となる。

現代戦における行進射

主力戦車の登場以降は、行進間射撃でも命中を見込めるよう砲塔を制動する砲安定装置も開発された。
しかしこれが実用の域に達するまでには第3世代主力戦車の登場を待たなければならなかった。

現代の射撃統制装置を利用すればそれなりの命中率を期待できるが、依然として停止中ほどの確実性は見込めない。
加えて、行進していると索敵に見落としが生じる可能性が高く、また行進している戦車は敵からも見つけやすい。
とはいえ、行進を強いられている状況下で足を止めずに攻撃できる事は戦車戦において強力な利点である。

古典的な戦車戦では「行進間射撃は命中率が極端に低い」という事実に重大な意味がある。
事実上、戦車は攻撃しながら移動する事ができず、移動している間はほぼ攻撃できなかった。
これはつまり、戦車が攻撃態勢に移る際には目視可能な予兆がある、という事だった。

一方、第3世代以降の主力戦車を相手取る場合、予兆を確認できないまま突然撃たれる可能性が高い。
従って、敵戦車に見つかった場合は一刻も早く機動して有効射程圏外へと逃げなければならなくなった。
この事実は機甲部隊による陽動遊撃の効果を劇的に高めている。


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