Last-modified: 2018-03-09 (金) 11:32:48 (2241d)

【攻勢限界点】(こうせいげんかいてん)

紛争において、敵に対して優位に立った側(攻勢側)が優位を維持できる限界。

一般に、争いにあって優位を維持するためには継続的に攻撃を行わなければならない。
敵を攻撃すれば敵戦力の撃滅、士気への影響、領土の奪取などの戦果が得られ、その戦果によってさらなる優位を得られる。
一方で攻撃を中止した場合、敵が体勢を立て直し反撃に出る機会を与える事になり、優位は失われる。

しかし一方で、攻撃を持続し続ける事によって戦力は消耗する。
交戦による味方への被害はもちろん、確保した優位が増える事によって兵站への負担も増大する。

例えば、敵を追い払って領土が増えた場合、それを防衛するために戦線はより長くなる。
そのため、以前より多くの兵力を防衛に回し、より広大な面積で兵站を維持する必要が生じる。

そうした負担は攻撃を続けて優位を得れば得るほど深刻になっていき、ある時点で限界に達する。
兵站への負担が大きくなりすぎ、戦略的に優位を増やし続ける事が不可能になるのである。
そうした、攻勢による優位を負担が上回る瞬間を「攻勢限界点」という。

理想的には、優位な側は自軍が攻勢限界点に達する前に紛争を終結させる事が望ましい。
もちろん、余裕を保っているうちに敵勢力を完全に撃滅できれば理想的である。
しかしそうでない場合、攻勢限界点に近い状態で講和を結び、勝ち取った優位を固定する必要がある。

そのどちらもできず、限界を見誤ったまま戦況が推移した場合、攻勢限界点に達した時点で優劣が逆転する。
今まで優位であった側は攻撃できなくなったため主導権を失い、劣勢側がその隙に優位を奪うべく攻勢に転じるのである。


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