Last-modified: 2023-11-12 (日) 20:23:53 (166d)

【義勇兵】(ぎゆうへい)

Volunteer.

職業でも義務でもなく、個人の自発的意志により第三者の紛争に参加して戦う人間。
徴兵制によって招集された兵や職業軍人など、紛争当事国の国家主権に対して奉仕を行う者は含まれない。
また、傭兵テロリストなど、明らかに公序良俗に反する目的で活動する者も含まれない。

戦時国際法に基づく基本要件を満たすなら、正規の軍隊と同様に合法的な戦闘員として扱われる。
一方、一般に非合法戦闘員とみなされる者は義勇兵と認められない。

なお、和製英語の「ボランティア(Volunteer)」とは異なり、無償の搾取的労働を示唆するようなニュアンスはない。
実際には給与が支払われない事例も多いが、それは戦災による経済崩壊か、圧制下の徴兵制が欺瞞として義勇兵の名目を掲げているかである。
もちろん経済崩壊も圧政も紛争において何ら珍しい事ではないが、少なくとも理念上、義勇兵を無償で戦わせる事は許されない。
また実際問題、無償で戦わされた兵士は敵前逃亡降伏・強盗働き・司令官の殺害などを目論み始める。

関連:国民義勇戦闘隊

その実態

「義勇兵」という呼称には多分に自画自賛的な側面があり、その定義は曖昧である。
古くは中世の十字軍遠征から今日の紛争に至るまで、開戦事由にまつわる憎悪や罪業を正当化するために義勇を騙る事例は絶えない。

典型的な義勇兵は民兵の形態を取る。
最も人口に膾炙するイメージは「正規軍と連携して侵略者に立ち向かうレジスタンス」であろう。
しかし、現実に存在するレジスタンスは定義上テロリスト傭兵の類であるし、戦災や戦争犯罪の温床である事も否定できない。

また、そもそも義勇兵が存在するためには、その活動に従事する者に対する兵站の供給が絶対に必要となる。
即ち、義勇兵の背後では必ず経済活動が行われており、それは大抵「個人の自発的意志」ではない。

さらには、第三国の正規軍が「義勇軍」を名乗って進駐してくる事も珍しくない。
もちろん、そうした他国からの義勇兵が字義通りの「義勇」のために訪れたのだと考えるのは、どうあっても無理がある。
代理戦争にせよ、国家の外交にせよ、利権誘導にせよ、背後になにがしかの戦略を持たない派兵はまずありえない。


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