Last-modified: 2023-10-21 (土) 10:46:28 (186d)

【T-34】(てー・とりーっつぁちちとぅぃーり)

Т-34.

大祖国戦争(第二次世界大戦)期にソ連軍で運用された中戦車
1940年代に実用化された戦車としては先進的で、火力・防御力・機動力の全てにおいて優秀な車両であった。

特徴

火力
実用化時点のT-34は当時の中戦車としては大口径な76mm砲を搭載していた(通称:T-34/76)。
後の1944年には、ドイツのパンターティーガーに対抗するために開発された85mm砲搭載型(通称:T-34-85)が実用化し、大戦後半の主生産型となった。
装甲
車体は全面的に傾斜装甲で構成され、優秀な避弾径始の効果を発揮した。
この効果が最も発揮されたのは45mm・傾斜角60°の正面装甲(初期型)で、水平射撃における実質装甲厚は80mmに達した。

バルバロッサ作戦が実施された1941年6月時点において、ドイツ軍の対戦車砲のほとんどは、T-34の車体正面装甲に対して貫徹力不足であった。

機動力
小型・軽量ながら高出力のV-2ディーゼルエンジンを搭載。
泥濘地の多いソ連国内における戦闘を考慮して幅広の履帯で接地圧を分散し、中戦車としては良好な加速力・速度性能・不整地走行性能を獲得している。

V-2エンジンは1960年代の第2世代主力戦車が搭載するエンジンと同等の出力重量比を発揮した。

弱点
傾斜装甲の多用により車内容積が狭く、居住性は悪かった。
また、ほとんどの型式において乗員は4名であり、同時期の中戦車としては少なかったため、一人あたりの作業量が多かった。

生産初期型は無線装置を搭載しておらず、エンジンや照準器の不調も相次いでいたものの、生産工場の稼働が安定、整備体制が万全となってからは改善されている。

生産
T-34は大戦中に60,000両以上、戦後にソ連、チェコスロバキア、ポーランドなどの東側諸国で生産された車両を含めると80,000両以上が生産されており、これは史上最も生産された戦車であるT-54/55(約100,000両)に次ぐものとなっている。
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(T-34 1942年型)

スペックデータ

タイプT-34 (1941)T-34-85 (1944)
乗員4名5名
全長6.68m8.15m
車体長5.92m6.10m
全高2.45m2.72m
全幅3.00m
全備重量28t32t
懸架方式クリスティー方式
エンジンV-2-34*1
4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル
変速機前進4速/行進1速前進5速/行進1速
出力500hp/372kW(1,800rpm)520hp/387kW(2,000rpm)
最高速度55km/h(整地)
40km/h(不整地)
50km/h(整地)
30km/h(不整地)
行動距離300km(整地)
225km(不整地)
350km(整地)
250km(不整地)
主武装F-34
41.5口径76.2mm砲×1門
ZiS-S-53
54.6口径85mm砲×1門
77発60発
副武装DT 7.62mm機関銃?×2挺
同軸・胴体)
2,898発1,890発
装甲
砲塔
防楯45mm(30~90°)90mm(曲面)
正面52mm(曲面)90mm(曲面)
側面52mm(60°)75mm(70°)
背面52mm(60°)52mm(80°)
天板20mm(0~6°)20mm(0~14°)
車体
正面45mm(30°)60mm(30°)
側面上部45mm(50°)
側面下部45mm(90°)
背面上部45mm(48°)
背面下部45mm(45°)
天板20mm(0°)20~23mm(0°)


派生型

  • T-34/76
    戦争初期に運用された76.2mm砲搭載型。
    総生産数は約35,000両。
  • 1940年型:
    1940年生産型。背の低い1940/41年型砲塔にL-11 30.5口径76.2mm戦車砲を搭載。
    その砲塔形状から「ピロシキ」と呼ばれていた。
    当初は溶接砲塔のみだったが、後に量産性に優れた鋳造砲塔も並行製造された。

  • 1941年型:
    1941年生産型。1940年型と同様の車体・砲塔にF-34 41.6口径76mm戦車砲(初期の一部の車両はF-32)を搭載した型。
    指揮官車として1940年型と平行生産され、後に切り替わった。

  • 1941年戦時簡易型:
    生産途上で各部の小改良(新型操縦手ハッチの導入など)を行った型。
    第112工場(ゴーリキー)製の初期638両はV-2ディーゼルエンジンが入手困難だったため、ミクーリン M-17Tガソリンエンジン*2を搭載。

  • 1942年型:
    背が高く砲耳部が別体となった六面の「ナット」砲塔を搭載する型。

  • 1943年型:
    従来のT-34の車長視界の悪さを改めるため、砲塔の上面左側にキューポラを装着した型。

  • T-34戦車駆逐車Т-34 танк-истребитель
    通称T-34-57。
    76.2mm砲より高い装甲貫徹能力を有する57mm砲搭載の少数生産型。
  • 1941年型:
    「ピロシキ」砲塔にZiS-4 73口径57mm砲*3を搭載した型。
    1941年10月から10両が生産され、第21戦車旅団に配備。
    同年冬のモスクワの戦い?に投入されたが、戦果を挙げつつも11月中に全滅した。

  • 1943年型:
    6面の「ナット」砲塔にZiS-4M 73口径57mm砲を搭載した型。
    1943年に推定100両が生産されたものの、T-34-85の実用化に伴い生産終了。

  • T-34-85
    戦争後期の主生産型。
    戦中に約23,000両、戦後生産型も含めて約55,000両が生産された。
  • 1943年型:
    85mm砲搭載初期型。
    T-43試作中戦車の砲塔を基に更に改良した3人用大型砲塔を備える。
    主武装は当初予定されていたZiS-S-53の不足により、D-5T 51.6口径85mm砲*4が暫定的に搭載された。
    1944年1月から1945年3月にかけて800両程度が生産。

  • 1944年型:
    戦中の主生産型。
    主武装としてZiS-53の改良型であるZiS-S-53 54.6口径85mm戦車砲を搭載。

  • 1945年型:
    戦中の最終型。
    基本的には1944年型と同等ながら、砲塔旋回の電動化、角型のフロントフェンダー、大型の一枚の物になった車長用ハッチなどの相違点がある。
    また、車体後部に煙幕展開用のタンクが装備されるようになった。

  • 1946年型:
    エンジンのV-2-34Mへの換装などの改良が施された型。

  • 1960年型:
    エンジンのV-2-3411への換装などの改良が施された型。

  • 1969年型:
    通称T-34-85M。
    T-54/55系と似た形状のスターフィッシュホイール(転輪)*5の採用などの改良が施された型。

  • ドイツ軍での分類
    • T-34A:
      1940年型の呼称。

    • T-34B:
      1941年型の呼称。

    • T-34C:
      1941年戦時簡易型の呼称。

    • T-34D:
      1942年型の呼称。

    • T-34E:
      1943年型の呼称。

    • T-34F:
      1942年型のうち、砲塔上面まで一体成型された型の呼称。

    • Panzerkampfwagen T-34 747(r):
      ドイツ軍内での鹵獲T-34の呼称。

    • Flakpanzer T-34(r):
      T-34/76の車体に破損した対空ハーフトラックに搭載されていた2cm Flakvierling38 4連装対空機関砲を現地改修によって搭載した対空戦車型。
      第653重戦車駆逐大隊によって製作され、大隊本部で運用された。


*1 ロシア語:В-2-34。
*2 BT-7快速戦車用にライセンス生産していたBMW 液冷V型12気筒航空機用エンジンを戦車用に改造したもの。
*3 ZiS-2 57mm対戦車砲の戦車搭載型。
*4 52-K 85mm高射砲をベースにした戦車砲。
*5 ホイールに補強のための凹凸が放射状に5本ある転輪。

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