L-39 - 航空軍事用語辞典＋＋

Last-modified: 2023-11-12 (日) 11:54:49 (25d)

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【L-39】(えるさんじゅうきゅう) †

Aero L-39 "Albatros(アルバトロス)".

チェコスロバキア（現チェコ共和国）製のジェット練習機。
前作L-29「デルフィン」の後継機として1970年代に開発された。

チェコのほか、ソ連をはじめとするワルシャワ条約機構加盟国やアメリカ合衆国などで多数が使用され、一部の国では攻撃機として運用している。
なお、ロシア空軍ではアクロバットチーム「ルーシー」で本機を現在も運用中である。
生産は1999年まで行われた。

東欧諸国では草地の飛行場が多かったため、本機は異物吸入を防ぐため空気取入口を胴体横の高い位置に付けられているのが特徴である。
主翼は低翼式の直線翼で、空気取入口の真下に配置されている。
攻撃機として使用する場合は爆弾や空対地ミサイル・ロケット弾などを1,100kgまで搭載することができる。

発展型のL-59では、エンジンや主翼の強化による燃料搭載量やペイロードの向上、火器管制装置の高度化、操舵の油圧装置化など、大幅な改良を施した。

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スペックデータ †

乗員	2名
全長	12.13m
全高	4.77m
全幅	9.46m
主翼面積	18.8㎡
空虚重量	3,565kg
最大離陸重量	4,653kg（クリーン時）/5,600kg（機外装備時）
エンジン	イフチェンコ/プログレス AI-25TLターボファン×2基（推力16.87kN）
速度（最高/最大水平）	マッハ0.80/340kt
海面上昇率	810m/min
実用上昇限度	7,500m
航続距離	730nm（機内燃料のみ）
固定武装	GSh-23L 23mm機関砲×1門（L-39ZA）
兵装	主翼下にAIM-9、AA-2、AA-8、通常爆弾、ロケット弾ポッド、増槽等、最大1,100kgの兵装を搭載可能。

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バリエーション（カッコ内は生産･改修機数） †

L-39X-01～X-07（7機）：
プロトタイプ（5機）および静的テスト機（2機）。
L-39C（2,251機）：
基本型の高等練習機型。武装不可。
L-39CM：
スロバキアでアップグレードしたC型。
L-39M1（6機）：
ウクライナでアップグレードされたC型。
エンジンをAI-25TLShに換装している。
L-39V（8機）：
単座の標的曳航機型。
1,700mのケーブルでKT-04標的を牽引する。
チェコスロバキア空軍および東ドイツ空軍向け。
L-39ZO（347機）：
主翼を強化し、パイロンを4ヶ所装備した兵器訓練型。
単座でも運用できるため、後席に電子機器を追加したり、増槽に改造した例もある。
爆弾などの武装可能。
L-39ZA（246機）：
ZOから発展した軽攻撃・偵察型。
降着装置を強化し、主翼下4ヶ所のパイロンに爆弾に加えGSh-23L 23mm機関砲ガンポッド（装弾数150発）、K-13およびR-60 空対空ミサイルが装着可能である。

Photo:Aero Vodochody
L-39ZAM：
スロバキアでアップグレードされたZA型。
L-39ZA/ART（40機）：
タイ空軍向けのL-39ZA。
イスラエルのエルビット製のHUD付き兵装発射航法システム（WDNS）とビデオカメラを装備。
L-39MA/MP：
L-39ZAの電子機器を高級な西側のアビオニクスとヘッドアップディスプレイを装備した改良型。
戦闘機前段階訓練（Lead-in Fighter Training,LIFT）向け機体のデモンストレーション用に製造された。
L-39MS/L-59「スーパーアルバトロス」：
L-39のエンジンをDV-2ターボファン（推力2,200kg）に変更し、機体フレームの強化やL-39MP同様西側のアビオニクスを搭載するなどの改良を施した練習機型（ペイロードは2,340kg）。
L-59E（49機）：
L-59のエジプト仕様。

Photo:Aero Vodochody
L-59T（12機）：
L-59のチュニジア仕様。

Photo:Aero Vodochody
L-139「アルバトロス2000」：
米空海軍合同基本航空機訓練システム計画（JPATS計画）に応募するために、L-39のエンジンやアビオニクスを西側製にした初等・基本練習機型。
エンジンはギャレットTFE731-4-1Tを搭載し、射出座席を改良型のVS-2Aに換装、電子機器やHUDも西側製に換装している。
上記計画ではT-6Ⅱ?に敗れて不採用となったが、L-39Cのアップデートとして複数の国で採用されている。

Photo:Aero Vodochody
L-159A「アルカ（ALCA*1）」：
L-59のエンジンやアビオニクスを西側製にした型。
単座で、ハードポイントは主翼下片側3箇所と胴体中心線下1箇所の計7箇所装備し、NATO仕様の兵装を搭載できるようになっている。

Photo:Aero Vodochody
L-159B：
L-159Aの複座型。輸出向け。

Photo:Aero Vodochody
L-159T1：
チェコ空軍が単座型を複座型に改修した型。
後席のディスプレイに前席のヘッドアップディスプレイの映像が表示されるほか、ディスプレイ自体もバルコ社製の4インチディスプレイにに換装されている。
L-159T2：
L-159T1にA型互換のアビオニクスを搭載した型。
L-169AJT：
L-159をベースに改良を施した型。
後にL-39NG計画に取って代わられた。
L-39NG*2：
L-59やL-159の技術をL-39Cにフィードバックした再生産型。
新設計の主翼の採用や燃料タンクの拡大、機体寿命の延長（15,000飛行時間）、ハードポイント数の増加（最大5箇所）など多数の改良が施されている。
エンジンは米英共同開発のFJ44-4Mターボファンを搭載している。