Last-modified: 2023-09-01 (金) 15:59:50 (172d)

【He162】(はーいーはんだーとつぶぁいうんとぜくつぃひ)

Heinkel He162.

第二次世界大戦末期にドイツのハインケル社が開発、ルフトバッフェで運用された単発ジェット戦闘機
愛称は"Volksjäger(フォルクスイェーガー)*1"。

また、開発計画の中では"Salamnder(ザラマンダー)(火トカゲ(サラマンダー)の意)"のコードネームで呼ばれ、ハインケルからは"Spatz(シュパッツ)(雀の意)"とも呼称された。

アメリカ陸軍航空隊を中心とする連合国の大規模空襲に対抗するための「国民戦闘機」計画に基づき、1944年9月に開発が開始され、試作機は試作・製造段階も含めわずか3ヶ月の間に完成、1944年12月に試作機が初飛行した。

特徴

機体構造には戦況の逼迫していた当時のドイツに合わせ、生産性確保のため製造工程を抑える、貴重資源の消費量を抑えるため可能な限り木製部品を用いるなどの工夫がなされた。
しかし、木製部品に用いられた接着剤の強度不足により空中分解事故が度々発生した。

小型の主翼高翼配置で緩い上反角を持ち、左右の水平尾翼翼端部に垂直尾翼が取り付けられていた。
また、胴体上部にカウリングごと直接「BMW003?」(ドイツ航空省呼称:109-003)軸流式ターボジェットエンジン1基を搭載していた。
ただし、この搭載位置によりエアインテークが操縦席の斜め上後方へ配置され、結果として搭乗者が脱出した際にジェットエンジンの吸気に巻き込まれる危険性が高まった。
このため、圧縮空気によって作動する射出座席が装備された*2
加えて、エンジンそのものの信頼性も低く、故障が相次いだ。

戦史

1945年4月中旬から実戦へ投入され、RAF所属のテンペストなど数機の撃墜を記録している。

大日本帝国陸軍は大東亜戦争太平洋戦争)末期に本機のライセンス生産を計画していたが、戦局の悪化によって頓挫した。

終戦までの生産数は約320機で、部隊配備数は約120機とされている。
また、終戦時点で約600機が生産途上にあった。

IMG_5018.jpg

関連:Me262 Me163

性能諸元

型式He162A-1
乗員1名
全長9.05m
翼幅7.2m
全高2.6m
翼面積11.16
空虚重量1,663kg
全備重量2,907kg
燃料容量695L(184 US gal)
エンジンBMW109-003E-1 もしくは BMW109-003E-2
ターボジェット×1基
出力通常最大*3
800kgf/7.85kN/1,760lbf920kgf/9.00kN/2,030lbf
最高速度790km/h@海面高度
838km/h@6,000m
765km/h@11,000m
890km/h@海面高度
905km/h@6,000m
845km/h@11,000m
航続距離
(高度11,000m巡航時)
975km945km
上昇限度12,000m
上昇率
(重量2,450kg時)
19.2m/s26.5m/s
離陸滑走距離850m740m
翼面荷重260kg/
推力重量比0.2750.316
固定武装ラインメタル・ボルジッヒ MK 108 30mm機関砲×2門
(装弾数各50発)

*4

派生型

分類型式概要生産機数
試作V*5V1からM32まで製造された。32
M*6
生産A-0先行生産型。10
A-1爆撃機型。MK108 30mm機関砲×2門(装弾数50発)を搭載。不明
A-2本格量産型。機関砲をMG151/20 20mm機関砲×2門(装弾数120発)に変更。不明
S複座のグライダー練習機型。生産された可能性がある。不明
計画A-3MK108を搭載、射撃時の反動対策として機体構造を強化。なし
A-6胴体構造を強化、全長を延長。
A-8ユンカース Jumo004D-4軸流式ターボジェットエンジンを搭載、燃料容量を増大。
推定最高速度887km/h。
A-9基本的にはA-2と同様ながら、尾翼はV字型となっている。
A-10アルグス As014パルスジェットエンジン推力300kg×2)を並列に搭載。
A-11アルグス As044パルスジェットエンジン(推力500kg)を単発で搭載。
A-14C-1およびD-1の試作型。
B-1ハインケル-ヒルト Hes011ターボジェットエンジン搭載。
問題のあった部分を再設計した。
B-2アルグス As044パルスジェットエンジン搭載。
C-1B型の発展型。主翼形態は後退翼、尾翼はA-9と同様にV字型。
MK108をシュレーゲムジーク(斜め銃)として装備。
HeS011ターボジェットエンジンを搭載。
D-1C-1とほとんど同様だが、主翼形態は前進翼
E-1BMW003AにBMW 718液体燃料ロケットエンジンを補助ロケットとして装備。
(このブースター装備のエンジンはBMW003Rと呼ばれる)
Mistel(ミステル)5E.377遠隔誘導滑空爆弾を胴体下に懸架するミステル発進母機型。



*1 「国民戦闘機」の意。本機が一般市民による製造と搭乗をも想定した戦闘機開発計画から生まれた事にちなむ。
*2 He162は射出座席を標準装備した史上初の航空機とされている。
*3 連続最大30秒間まで。
*4 最高速度、航続距離は推算値。
*5 試験を意味する"Versuchs"の頭文字。
*6 型式を意味する"Muder"の頭文字。

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