Last-modified: 2023-04-15 (土) 13:54:58 (236d)
【HK416】 †
H&K HK416.
ヘッケラー&コッホがM4を基に改修したカービン/突撃銃。
旧称HKM4。改名されたのはコルト社からクレームを受けたからといわれる。
信頼性に問題のあったL85をH&Kが改修した実績を受け、M4に対しても同様に改良を施したもの。
特筆するほど問題があるわけでもないM4をあえて改修した経緯はあまり明瞭ではなく、実際それほど多くの需要は生じなかった。
おおむね特殊部隊用の高級火器として扱われているが、例外的にトルコ軍・ノルウェー軍ではG3の後継として、フランス軍ではFA-MAS?の後継として、制式採用されている。
主な改修点は下記のとおり。
- 回転機構(ガスオペレーション)をリュングマン式から、ガスピストン式に変更し、回転不良を改善。
- 銃身を冷間鍛造のものに変更し長寿命化。
- 弾倉を剛性の高いスチール製のものに変更し、給弾トラブルを防止。
- ピカティニー・レールを剛性の高い構造に変更し精度を向上。特にレシーバー上のレールはハンドガード上部のものと連続している。
- アイアンサイトの照門を可倒式ピープサイトから、G3と同様のドラム型ピープサイトに変更。
もっとも、ピカティニー・レールにスコープやダットサイトを装着する事が多く、アイアンサイトの使用頻度は高くない。
スペックデータ †
形式名 | HK416 | M27IAR | HK417 | ||||||
HK416C | D10RS | D14.5RS | D16.5RS | D20RS | Assaulter | Recon | Sniper | ||
使用弾薬 | 5.56×45mm NATO弾 | 7.62×51mmNATO弾 | |||||||
全長 | 560〜 690mm | 700〜 796mm | 804〜 900mm | 855〜 951mm | 941〜 1,037mm | 840〜 940mm | 805〜 885mm | 905〜 985mm | 1,005〜 1,085mm |
銃身長 | 228mm | 264mm | 368mm | 419mm | 505mm | 420mm | 305mm | 406mm | 508mm |
重量 | 3,090g | 3,270g | 3,740g | 3,810g | 4,105g | 3,850g | 4,364g | 4,608g | 4,958g |
施条方式 | 6条右転、1:7インチ | 4条右転、1:11インチ | |||||||
作動方式 | ショートストロークピストン式 | ||||||||
閉鎖方式 | 回転ボルト式 | ||||||||
発射速度 | 650発/分 | 500〜600発/分 | |||||||
装弾数 | 30発(STANAGマガジン) | 20発 |
バリエーション †
- HK416:
5.56mmNATO弾を使用する基本型。
銃身は10インチから20インチまでのバリエーションがある*1。
- HK416A1:
銃身部を軽量化し、ファイアリングピンセイフティを装備した改良型。
- HK416A1:
- HK416A2:
A1型に水際での使用に対応した改修を施した改良型。OTB*2モデルと呼ばれる。
銃身基部の突起やバッファチューブとボルトキャリアにある水抜き穴が特徴。
- HK416A3:
HK416Nに仕様を取り入れたモデル。
コッキングしていない状態でもセレクターをセイフティ位置にできることが最大の変更点となる。
なお、N型にあったガスレギュレーターは採用されていない。
- HK416A4:
A3のトリガーシステムを2段階式にしたモデル。
- HK416A5:
A4型を基にG28マークスマンライフルの特徴を取り入れて改修されたモデル。
米軍の次期カービン計画(ICC*3)*4に応募するために開発された。
銃身は10インチから20インチまでのバリエーションがある*5。
- HK416N:
A2ベースのノルウェー軍向けモデル。
銃身の浸水対応機能を省いて、安全装置の機構の変更、規制子(ガスレギュレーター)の装備などの改修を加えた。
また、独自の着剣装置が銃身に装着されており、規制子切り替えノブはハンドガード前端部右側面にある。
- HK416K:
N型の10インチバレルモデル。
- HK416K:
- メフメッチッキ-1:
トルコ軍向けライセンス生産型(MKEK社が担当)*6。
- HK416F:
A5ベースのフランス軍向けモデル。FA-MAS?の後継として採用された。
前後の照準器と銃剣装着部(バヨネットラグ)の形状が変更されている。
- HK416F Standard:
14.5インチバレルモデル。
- HK416F Court:
11インチバレルモデル。
- HK416F Standard:
- G38:
HK416A5-16.5のドイツ連邦軍での名称。
- G38K:
14.5インチバレルモデル。
- G38C:
11インチバレルモデル。
- G38K:
- HK416C:
HK416を更に短縮したPDWモデル。
9インチ銃身や軽量の伸縮式銃床を採用。
- M27 IAR:
HK416の構造を更に強化したアメリカ海兵隊向け分隊支援火器(LSW)型。
STANAGマガジンを使用するため支援火器としては装弾数が少なく、制圧射撃を目的としながら狙撃に近い運用がされる*7。
- M38 SDMR:
M27に狙撃用スコープとサプレッサーを装着したマークスマンライフル仕様。
- M38 SDMR:
- MR556:
HK416の民間向けセミオートモデル*8。
- HK417:
7.62mmNATO弾仕様。半透明樹脂製弾倉を採用。
銃身は12インチから20インチまでのバリエーションがある。
- MR762:
HK417の民間向けセミオートモデル。
- G28:
MR762をベースにしたドイツ軍向けマークスマンライフル。
- MR762:
*1 銃身長により「D**RS」のサブナンバーが付与される(**はインチ数)。
*2 上陸作戦(Over The Beach)の略。
*3 Individual Carbine Competition.
*4 なお、2013年に計画中止となったため、米軍には採用されていない。
*5 銃身長により「-**」のサブナンバーが付与される(**はインチ数)。
*6 「メフメッチッキ」(Mehmetçik)とはトルコ兵の愛称。
*7 機動力が要求される部隊や、山岳戦等の軽量さが重視される場面での使用が想定されるが、それ以外ではM249も平行して使い続けられる。
*8 完成品のほか、既存のAR-15系から換装するためのコンバージョンキットも販売される。