Last-modified: 2023-08-02 (水) 23:14:05 (127d)
【FAL】 †
FN FAL(仏:Fusil Automatique Leger:軽自動小銃) / FL LAR(英:Light Automatic Rifle。輸出モデル用の英訳)
ベルギーのFN社が1948年に開発した自動小銃。
西側諸国の第1世代突撃銃の中でもごく初期の製品で、現在の分類ではバトルライフルに相当する。
AK-47よりやや遅れるが、共産圏を除けば最古の突撃銃のひとつ。
機関部は少々コスト高ながら削り出し加工で製造され、工具なしで主要部品を分解できるなど、耐久性・整備性も良好。
動作の確実性を優先して部品に精密さを求めており、砂塵に弱い。ただし部品自体の強度は高く、砂漠以外の環境では酷使してもおおむねよく耐える。
セミオート射撃の命中精度に優れるが、フルオート射撃における制御性は決して芳しくない。
原設計は短小弾(7.92x33mmクルツ弾や.280ブリティッシュ弾など)の使用を前提としている。
しかし開発中に北大西洋条約機構が結成され、兵站整理に伴って想定外の弾薬に対応する設計変更が行われた。
結果、反動が強くなりすぎ、単発射撃に偏った性能に仕上がっている。
当時の傑作であり、1980年代までNATO諸国など多くの国で正式採用されていた。
しかしベトナム戦争の戦訓から突撃銃の小口径化が推進されると共に、需要を失っていった。
近年では有効射程の関係からバトルライフルの需要が生じ、再び必要とされ始めている。
スペックデータ †
口径 | 7.62mm |
全長 | 1,090mm(STD) 736〜990mm(Para) |
銃身長 | 533mm(STD) 431mm(Para) |
重量 | 4,325g(STD) 3,770g(Para) 4.3kg(FAL 50.00) 3.90kg(FAL 50.61) 3.79kg(FAL 50.63) 5.95kg(FAL 50.41) |
施条方式 | 6条右転 |
作動・閉鎖方式 | ショートストロークピストン式ガス圧作動・ティルトボルト式 |
使用弾薬 | 7.62x51mm NATO弾 |
装弾数 | 20発若しくは30発(箱型弾倉) 50発ドラムマガジン |
発射速度 | 650〜700発/分 |
銃口初速 | 823m/秒 |
有効射程 | 400〜600m(サイト調節により異なる) |
バリエーション †
- 軍用バージョン
- LAR 50.41・LAR 50.42(FAL HBAR・FAL FALO):
LAR-HB(ヘビーバレル)とも呼ばれる、肉厚銃身と二脚を追加し、30連発マガジンを装備した分隊支援火器仕様。
プラスチック製銃床を装備したFAL 50.41型と木製銃床を装備したFAL 50.42型が存在する。
- FAL 50.61(FAL Type 3 Para(パラトルーパー)):
空挺部隊向け金属製折畳み式銃床装備モデル。銃身長は21in(533mm)。
原型モデルで銃床に内蔵されていたリコイルスプリングを、レシーバーカバー内へと移している。
- C1:
カナダに採用されたモデル。
L1A1同様インチ設計でフルオート機能を持たない。
ハンドガード、ストック、グリップなどは木製を採用している。
- C1D:
フルオート機能を搭載した海軍仕様。
- C1A1:
キャリングハンドルをプラスチック製にした改良型。
- C1A1D:
C1A1の海軍仕様。
- C2A1:
C1の軽機関銃仕様。
- C1D:
- L1A1:
イギリスによる再設計されたモデル。
L1A1は採用名で、正式名称はSLR(Self Loading Rifle)。
フルオート連射機能を省略し、ボルトキャリアに異物排出用スリットを設置。
銃口を66mmライフル・グレネードの発射に対応した仕様に変更。
英語圏のヤード・ポンド法で再設計されたため、メートル法を用いるモデルとは部品互換性が無い。
- 1A:
インドのイシャポール造兵廠が権利元に無断で複製したデッドコピー。
設計仕様はSLRに準拠。
- 1A:
- G1:
ドイツ連邦軍に採用されたモデル。
西ドイツでのライセンス生産許可が下りなかったため、早期にH&K G3へと更新された。
(当時はベルギー・フランスともに戦災被害も記憶に新しく、国民感情がドイツとの協調を許す状態になかった)
- Romat:
イスラエルのイスラエル・ミリタリー・インダストリーズ(IMI)社が生産したモデル。
木製ハンドガードとフロントサイト・ガスレギュレーターとの間には、通気用の穴が多数ある鋼板製バレルカバーが設けられている。
また、後期型はFNC?と似たデザインの木製ハンドガードが採用されている。
- Vector R1:
南アフリカのレイテオン・エンジニアリング・ワークス(現デネル社)がFAL 50.00をライセンス生産したもの。
- Vector R2:
FAL 50.64のライセンス生産型。
- Vector R3:
警察向けセミオート限定モデル。
- Vector R2:
- Sturmgewehr 58(StG 58):
1958年にオーストリアでは採用された、銃口にライフルグレネード射出用スリットが多数施されたモデル。
前期型はFN社で生産され、後期型はステアー社で生産された。
- T48/T48E1:
アメリカ軍の制式アサルトライフル選定のために、米国内で2,000挺を限定生産したFALに与えられた形式番号。
T44(後のM14)との比較試験を実施したが、最終的に不採用となっている。
- M964:
ブラジルの国営軍需企業であるインベル社によるコピーモデル。
バリエーションとして空挺部隊向けの折り畳みストック式のA1がある。
現在はインベルIA2に置き換えられつつある。
- インベル MD:
ブラジルの国営軍需企業であるインベル社が開発したアサルトライフル。
過去にFALを製造していた経験を元に1982年から開発を開始し、FALの代替として制式化。
ブラジル軍に配備された。
5.56×45mm(.223NATO)とNATO標準のSTANAGマガジンを使用し、そのために全長がFALより90mmほど短くなっている。
- インベルIA2:
インベルMDの近代化モデル。
細部のデザインが変更され、新たに標準でピカティニー・レールを備える。
- FM FAL:
アルゼンチンの国営造兵廠であるFM社がライセンス生産したもの。
フォークランド紛争にも使用され、敵対するアルゼンチンとイギリスの双方がFALを使用し、戦闘を行っている。
- カザナヴSC-2005:
ペルーのDesarrollos Industriales社によるFALのコピーモデル。
5.56mm弾及びSTANAGマガジンを使用する小口径化モデルで、フォールディング・ストックを備える他、オリジナルのFALと同じ7.62mm仕様も存在する。
- LAR 50.41・LAR 50.42(FAL HBAR・FAL FALO):
- 民間モデル