Last-modified: 2023-11-08 (水) 20:30:50 (29d)

【F7F】(えふせぶんえふ)

Gramman F7F Tigercat.

アメリカのグラマン第二次世界大戦期に開発した双発レシプロ艦上戦闘機
愛称は「タイガーキャット*1」。

開発

米海軍が建造計画を推し進めた大型空母(後のミッドウェイ級)搭載型の制空戦闘、対地/対艦攻撃を一手に担うことが可能な双発艦上戦闘機開発計画が、1941年6月からグラマン社で社内名称「G-51」として開始された。
開発には採用にこそ至らなかったが完成の域に達した試作双発艦上戦闘機「XF5F『スカイロケット』?」の経験が大きく活かされた。
1941年12月の太平洋戦争開戦により、G-51には試作機の完成以前に海軍による500機の生産指示と制式名称「F7F」が与えられた。
試作機のXF7F-1は1943年11月に初飛行し、1944年4月には量産型のF7F-1初号機が完成した。

特徴

当時としては少数派だった前輪式ランディングギアを持ち、主翼は高翼に近い中翼配置で、空母搭載に適した折りたたみ機構をもつ。
エンジンはF6FF4Uなど戦闘機での運用に実績のある2,000馬力級エンジン、R-2800「ダブルワスプ」を搭載する。
固定武装は、基本的なタイプで機首に12.7mm機銃4門、両翼付け根に20mm機関砲2門ずつ計4門と高火力で、大馬力からくる搭載量の余裕から爆装にも優れるため、戦闘爆撃機としての性能も十分だった。
また、夜間戦闘機型はレーダー機首部に搭載した。

運用

グラマンが米海軍の方針によって主力艦載機の「F4F」や「F6F」、「TBF」の生産を優先したため、本機の戦中における生産数は少なく、配備時期も遅れたため第二次世界大戦における戦闘には参加しなかった。
また、軍用機における主力がジェット機へと移ったために本機は大きく旧式化、生産は戦後すぐの1946年に打ち切られた。

その後、朝鮮戦争の初期に夜間戦闘機型のF7F-3Nがソビエト製Po-2複葉機を2機撃墜し、運用歴中で唯一の撃墜戦果となった。
また、F7F-2Dは戦闘機訓練に使用される標的ドローンの操縦母機として、F7F-3Kは無人の標的ドローンとして運用された。
1950年代に入ると軍は本機を本格的に退役させ、1954年には軍内での運用機数が0になった。

最終的な生産数は364機と少数ながら、民間に払い下げられた機体が多数存在し、現存機はアメリカの各地で見られる。

F7F-3Nを原型として改造、カリフォルニア州で山火事を防ぐために活動した消防機は1980年代後半まで運用されていた。

カタログスペック

型式F7F-1
乗員1名
全長13.80m
全幅15.70m
全高5.00m
翼面積42.27
空虚重量7,230kg
全備重量9,717kg
機内燃料容量1,612L
エンジンP&W R-2800-22W「ダブルワスプ」空冷星型18気筒
(離昇2,100hp(1,600kW)/最大2,380hp)
最高速度634km/h(海面高度)
687km/h(高度5,852m)
失速速度143km/h(全備重量)
海面上昇率22.15m/s
上昇性能高度3,048mまで2分36秒(19.54m/s)
高度6,096mまで6分6秒(16.65m/s)
実用上昇限度11,033m
航続距離2,167km(機内燃料)
4,389km(フェリー
固定武装翼付け根:AN/M3? 20mm機関砲×4(各200発)
機首:AN/M2 12.7mm重機関銃×4(各300発)
外部搭載兵装
(胴体下)
2,000lbs(907kg)までの爆弾またはMk.13航空魚雷×1発
増槽×1基
外部搭載兵装
(主翼下)
1,000lbs(454kg)までの爆弾×2発
増槽×2基


型式F7F-3F7F-3N
乗員1名2名
全長13.83m14.29m
全高5.05m
全幅15.70m
9.8m(主翼折り畳み時)
翼面積42.27
翼型翼根部:NACA 23015、翼端部:NACA 23012
空虚重量7,380kg7,439kg
全備重量9,852kg9,741kg
機内燃料容量1,722L1,420L
エンジンP&W R-2800-34W「ダブルワスプ」空冷星型18気筒
(離昇2,100hp(1,600kW)/最大2,750hp)
プロペラ定速3翅(直径4.01m)
最高速度700km/h(高度6,767m)681km/h(高度6,675m)
海面上昇率23.01m/s23.27m/s
上昇性能高度6,096mまで5分24秒高度6,096mまで5分12秒
実用上昇限度12,405m12,436m
航続距離*22,398km(増槽568L×1)
2,945km(増槽1,136L×1)
4,120km(フェリー
2,028km(増槽568L×1)
2,567km(増槽1,136L×1)
3,814km(フェリー
固定武装翼付け根:AN/M3? 20mm機関砲×4(各200発)
機首:AN/M2 12.7mm重機関銃×4(各400発)レーダー搭載のため機首武装無し
外部搭載兵装
(胴体下)
2,000lbs(907kg)までの爆弾/機雷×1発
Mk.13航空魚雷×1発
「タイニー・ティム」対艦ロケット×1発
1,136Lまでの増槽×1基
外部搭載兵装
(主翼下)
1,000lbs(454kg)までの爆弾/爆雷/機雷×2発
「タイニー・ティム」対艦ロケット×2発
568Lまでの増槽×2基
レーダー非搭載SCR-720
機首・最大探知距離15,240m)


バリエーション

  • XP-65:
    アメリカ陸軍航空隊向けに提案されていた迎撃戦闘機計画。
    後のG-51/XF7Fとなる機体を陸上型としたもので事実上同一の機体。
    1941年に計画中止。

  • XF7F-1:
    プロトタイプ。社内呼称G-51。
    エンジンはR-2800-27(水噴射装置無し)を搭載。

  • F7F-1:
    初期生産型。
    エンジンを水噴射装置付きのR-2800-22Wに変更した以外、ほぼ原型機と同一。

  • F7F-2N(初期名称:F7F-2):
    レーダー操作員の搭乗する複座夜間戦闘機型。機首機銃は非装備。

    • F7F-2D:
      終戦後にドローン母機として改造した型。

  • F7F-3:
    R-2800-34Wエンジンを搭載する性能向上型。

    • F7F-3E:
      レーダーと爆撃照準器を装備する夜間攻撃機型。計画のみ。

    • F7F-3K:
      無線操縦のドローン型。

    • F7F-3N:
      機首武装を撤去し、大型レーダーSCR-720を装備した複座夜間戦闘機型。
      機首が長大化している。

    • F7F-3P:
      写真偵察機型。機体5箇所にカメラを装備。
      偵察機であるが、固定武装は残されており空戦可能。

  • F7F-4N:
    最終生産型。
    機首武装を撤去し、AN/APS-19レーダーを搭載した複座夜間戦闘機型。
    重量増大で最高速度は702km/h(7,470m)まで低下している。


*1 ジャガーネコの意。
*2 燃料消費量+15%の補正後に算出。

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