Last-modified: 2024-05-06 (月) 11:19:19 (16d)

【B747】(びーななよんなな)

Boeing 747.

1960年代後半にボーイング社が開発した超大型四発ジェット旅客機通称ジャンボジェット」ともいう。
民間機に特別塗装を施すという流行の発信源であるため、代名詞も多数存在する。

キャビンの一部を二階建てにした広胴機で、乗客定員は標準型で350〜450名前後であるが、改修次第でさらに増員可能だった。
航続距離も長大で、史上初めて、定期航路において太平洋を無着陸横断できる旅客機であった。

これ以前にもB707ベースの改修機がカタログスペック上でこれを達成しているが、気象条件やペイロード上の制限が多く、定期航路を設定できなかった。

巨大で高価な機体であったため、内装においても大型・高価な電子機器を搭載する余裕を多く取っていた。
特に顕著なのは慣性航法装置の導入による3マンクルーの実現であり、その成功によってB747以降の旅客機航法員を搭乗させなくなっていった。

航空機関士を乗せない2マンクルーを実現した-400-8と近代化を施されつつ、50年以上の長期にわたって生産・販売が続けられてきたが、2022年12月をもって生産を終了した。

関連:ジャンボジェット B747SR B747SP

開発の経緯

当初、本機はアメリカ空軍の次期大型戦略輸送機「C-19」として開発された。
しかし、コンペティションでロッキード社の案(後の「C-5」)に敗北し、民間機として再計画されることになった。

このため、輸送機としての設計の名残が随所に見受けられる。
例えば、キャビンの一部が二階建てになっており、一階部分は戦車などを搭載し、二階部分が荷主や技術者のための搭乗席だった。

当時のボーイング社は民間旅客機の分野においてダグラス社の後塵を拝していた。
この事態を打開する販売戦略として、アメリカ合衆国のフラッグキャリアであったパンアメリカン航空(パンナム)と提携。
パンナム側の要請から「太平洋の無着陸横断」「高速大量輸送」をコンセプトとして再設計された。
この要求は当時の技術水準では無理難題であり、開発は紆余曲折を経て難航。
社運を賭けた一大プロジェクトとなり、一時期はボーイング社を倒産の危機に陥れた。

こうした経緯を経て誕生した同機は、ボーイングが誇る傑作機となり、同社に躍進をもたらした。
一方、運航デビューと同時期に第四次中東戦争が勃発し、その影響で燃料価格と運航コストが高騰。
また、当時の旅客需要に対してペイロードが多すぎたため、空席による多大な機会損失が見込まれた。

ローンチカスタマーのパンナムは赤字運航を避けるため、格安の団体旅行運賃を観光客にばら撒いて空席を埋めた。
この価格破壊により、それまで富裕層だけのものだった航空旅行は一気に庶民に身近なものになった。

一方、パンナムは旧来のビジネスモデルを破壊された衝撃から立ち直れず、業績が悪化。
同時期に相次いだ事故の補償や、高騰した人件費なども重なり、1991年12月に倒産した。
以降、現在に至るまでアメリカ合衆国にフラッグキャリアは不在である。

スペックデータ

タイプ747SP747-100747-200B747-300
乗員3名
機長副操縦士航空機関士
基本乗客数276名
(25F 57J 194Y)
366名
(32F 74J 260Y)
400名
(34F 76J 290Y)
貨物容量110立方メートル
(3,900cubic feet)
175立方メートル(6,190cubic feet)
LD1コンテナ×30個
全長56.3m70.66m
テール高さ19.9m19.3m
翼幅59.6m
キャビン608cm
主翼面積511
主翼角度37.5°
アスペクト比7
空虚重量152.9t172.1t170.1t174t
最大離陸重量320t333t378t
燃料容量190.63立方メートル
(50,359 US gal)
183.38立方メートル
(48,445 US gal)
204.36立方メートル
(53,985 US gal)
エンジンターボファン×4基
P&W JT9D-7?またはロールス・ロイス? RB211-524?またはGE CF6
推力206〜253kN193〜230kN206〜243.5kN206〜253kN
最高速度マッハ0.92
巡航速度-939km/h(最大巡航)
907km/h(経済巡航)
航続距離10,800km8,560km12,150km11,720km
離陸滑走距離2,820m3,250m3,300m

派生型のラインナップ

近代化型のB747-400B747-8系列についてはここでは述べない。

  • B747-100:
    基本型。

    • B747-100B:
      短距離型。

    • B747-100B/SUD:
      B747-300型のボディに-100型のエンジンを搭載したモデル。
      日本航空が発注した2機のみ生産。

    • B747SR
      日本の国内線向けに、短距離・高稼働率運航に特化されたモデル。-100型及び-300型をベースとする。

    • SCA:Shuttle Carrier Aircraft:
      NASAスペースシャトル運搬用に購入・改装した2機の中古機。
      スペースシャトル計画の終了に伴って用途を失い、2012年2月8日に退役。

      • 1号機(機体記号N905NA):
        中古の-100型(機体記号N9668)をアメリカン航空から買い取って改装。
        退役後はヒューストン宇宙センターにてアトラクション用の実物大展示品として転用。

      • 2号機(機体記号N911NA):
        中古のB747SR機体記号JA8117→N747BL)を日本航空から買い取って改装。
        機体所有権は現在もNASAにあるが、退役してカリフォルニア州のJoe Davies Heritage Airpark にて展示保存されている。

    • C-19:
      アメリカ空軍戦略輸送機として提案された型。
      C-5に敗れて採用されず。

  • B747-200:
    機体構造強化型で、いわゆる「747クラシック」の標準型。

    • B747-200B:
      長距離型。

    • B747-200F
      貨物機型。-200型ベース。

    • B747-200C:
      コンバーチブル(貨客兼用)型。

    • E-4
      アメリカ政府のNEACP(国家緊急空中指揮所)として製造された機体。-200B型をベースとする。

    • VC-25A
      アメリカ大統領専用機エアフォースワン」。-200B型をベースとする。
      ボーイング社での内部呼称は「B747-2G4B」。「G4」はアメリカ連邦政府をあらわす顧客コード。

  • B747-300:
    従来型の2階席を延長したタイプ。

    • B747-300SR:
      2階席部分の客室が延ばされたタイプ。日本航空のみに導入。
      分類上、B747SRとの区別が曖昧になっている。


  • B747SP
    胴体を大幅に短縮し、航続距離を延長したタイプ。少数のみ生産。

    • 遠赤外線天文学成層圏天文台(SOFIA:The Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy):
      NASAが運用する天体観測機。-SP型をベースに開発された。
      2022年12月退役。

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