Last-modified: 2024-05-11 (土) 10:40:43 (11d)

【74式戦車】(ななよんしきせんしゃ)

1964年に開発が開始され、1974年9月に陸上自衛隊制式採用された主力戦車
1975年から1989年にかけて873両が配備された。

新機種への更新が滞った(その次の90式戦車は、富士教導団以外では北海道所在の部隊にしか配備されなかった)ため、長きに渡って陸上自衛隊機甲戦力の中核を占めていた。
後継の10式戦車16式機動戦闘車への機種転換・退役が進められ、2024年3月20日に第9戦車大隊第10戦車大隊第13戦車中隊の廃止・偵察戦闘大隊への改編により戦闘部隊の全車が退役した。
また、教導部隊である機甲教導連隊第4中隊の機動戦闘車中隊への改編、同連隊戦闘中隊の16式機動戦闘車への増備により全車退役となった。

運用方法は先代の61式戦車と同様、戦車駆逐車に近い待ち伏せ主体のものとされている。

特徴

車体は全溶接で砲塔は鋳造。全体的に、避弾径始を重視した低く滑らかな形状をしている。
主砲には砲安定装置が搭載され、行進間射撃が可能。
火器管制装置として弾道計算機、レーザー式測距儀、テレスコープとペリスコープを装備する。

また、砲塔の横に赤外線投光器を搭載する事で夜戦に対応できるようになっている。
この投光器は、赤外線フィルターを外すと夜間1,500メートル先でも本が読める程度の明るさを持ち、あまりの大出力・大光量であるため、フィルター越しでも至近距離で浴びると低温やけどを負うほどの熱量を持つ。

1993年に発生した雲仙普賢岳噴火災害の際、この投光器の性能が買われ、戦車としては異例の災害派遣に出動して火砕流の監視に貢献した。

後世、IRST赤外線誘導の普及によって有用性を失い危険要因となったため、赤外線投光器は撤去された。

操縦性も不評だった61式戦車から改善され、超信地旋回も可能。
また、シュノーケルを使っての潜水渡河能力もあり、最大2m強の潜水渡河が可能。
加えて、油圧懸架装置のシリンダーによって上下200mm、前後6度、左右9度まで車体を傾ける事が可能で、これにより遮蔽の確保を容易にしていた。

ただし、装甲は決して十分ではなく、攻撃に対する耐久・生存性には明確な欠点が残っている。
これは第二世代(複合装甲の普及以前)の主力戦車ほぼ全てに共通する傾向だが、鉄道輸送を考慮して重量を38t程度に抑えた事でことさら深刻な欠点となった。

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スペックデータ

74式戦車
乗員4名(車長、操縦手、砲手、装填手)
全長9.41m
全幅3.12m
全高2.25m(標準時)
戦闘重量38t
エンジン三菱重工製10ZF22WT 空冷2ストロークV型10気筒ターボチャージドディーゼル
(出力720hp)
登坂力60%
超堤高1.0m
超壕幅2.7m
潜水能力2.0m
最大速度53km/h(路上)
行動距離300km
携行弾数50発(105mm砲)
・93式105mm装弾筒付翼安定式徹甲弾(APFSDS)
・91式105mm多目的対戦車榴弾HEAT-MP)
・00式105mm戦車砲用演習弾(演習用徹甲弾
・77式105mm戦車砲空包(空砲射撃用)
600発(12.7mm機銃)
4,500発(7.62mm機銃)
兵装L7A1 51口径105mmライフル砲×1門
12.7mm重機関銃M2×1挺(砲塔上面)
74式車載7.62mm機関銃×1挺(主砲同軸
60mm3連装発煙弾発射器×2基


78式戦車回収車
乗員4名
全長7.95m
全幅3.18m
全高2.40m
戦闘重量約38.9t
エンジン三菱重工製10ZF22WT 2ストロークV型10気筒空冷ターボチャージドディーゼル
(出力720hp)
登坂力60%
超堤高1.0m
超壕幅2.7m
最大速度53km/h(路上)
行動距離300km
兵装12.7mm機関銃M2×1挺
3連装76mm煙幕弾発射機×2基
装備大型ブームクレーン×1基
牽引・吊り上げ能力牽引力:38t
吊り上げ力:約20t

主な改修型

  • 初期生産型:
    基本型。

    • 照準用暗視装置付:
      砲塔にアクティブ式赤外線暗視装置を取り付けた型。

    • ドーザー付:
      車体前方に障害物除去用ドーザーを装備した型。
      姿勢制御装置の油圧を利用して行うが、操縦装置の関係で搭載砲弾数は47発となる。

    • 照準用暗視装置 ドーザー付:
      上記2つを取り付けた型。

  • B型:
    APDS及び75式HEPの2弾種に加え、APFSDSを運用できるようFCSや弾薬架を改良した型。
    変更までに配備された400輌以上の初期型全てがB型に改良された。

  • C型:
    B型の迷彩をOD色一色から濃緑色と茶色の2色迷彩に変更した型。
    50〜60輌程度が生産され、B型と並行して運用された。

  • D型:
    砲身にサーマルスリーブを装着した型。
    C型以前の物は全てD型に改良された。

  • E型:
    HEPの代わりに91式HEAT-MPを射撃できるようFCSを改良した型。
    D型以前の8割程度がE型仕様になった。

  • F型:
    92式地雷原処理ローラを装備できるようにした型。
    数量は10輌以下とされる。

  • G型:
    改修型。量産4輌+試作1輌のみ。
    パッシブ式暗視装置や発煙弾発射機と連動するレーザー検知装置、YAGレーザーを使用したレーザー測遠機などを装備した。
    また、90式戦車に類似したサイドスカートが装着可能で、起動輪にはリング状の履帯離脱防止装置*1を装着している。
    改修による性能の向上は良好であったが、改修コストの問題により大規模な整備は見送られた。
    量産車は後にE型に準じた仕様に改修された。

派生型

  • 91式戦車橋
    施設科による架橋作業用に開発された自走戦車橋。重車両も通行可能な折りたたみ式の鉄橋を搭載する。

  • 78式戦車回収車:
    戦車回収車型。
    1978年に制式採用され、約50両が生産された。
    20t吊りのブームクレーンやウインチ、各種回収/整備機材を搭載している。
    車体後部上面のエンジンデッキ上には、予備、もしくは故障/損傷車両から取り外したエンジンや変速装置等を搭載して運搬することが可能である。

  • 87式自走高射機関砲
    自走対空砲型。砲塔KDA 35mm高射機関砲に換装した。


*1 M1「エイブラムス」の初期型車両に類似した物。

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