Last-modified: 2023-11-08 (水) 21:25:19 (115d)

【隼】(はやぶさ)

中島 キ43 一式戦闘機

1940年代、中島飛行機が開発・生産し、大日本帝国陸軍第二次世界大戦期に運用した戦闘機
呼称・略称は「一式戦」「一戦」「ヨンサン」など。「隼」の愛称でも知られる。
連合国軍におけるコードネームは"Oscar(オスカー)"。

開発

1930年代後半の欧米で続々と実用化しつつあった引き込み脚?を備える高速戦闘機(P-36?Bf109スピットファイアなど)に対抗可能な新型軽単座戦闘機として、1937年12月に中島に開発が指示された。

基本設計は現行主力として1937年に採用されていた九七式戦闘機のものを引き継ぎつつも、エンジンをより強力な「ハ25」に換装、引き込み脚化するなどの変更により、要求された優秀な運動性能、500km/h以上の最高速度、高度5000mまで5分で到達可能な上昇性能などの達成が試みられた。

「キ43」試作1号機の初飛行は1938年12月12日となった。
しかし、速度性能は要求以下、運動性能も九七式戦闘機には及ばず、増加試作機による改良も成功しなかった。
このため、採用はさらなる性能向上まで見送られることが予定された。

しかし、太平洋戦争初期の南方への侵攻作戦に際し、長距離飛行能力を備える戦闘機が必要となったことが、本機の採用を早めることとなる。
落下タンクを装備することで長大な航続距離を発揮するキ43は、1941年5月に「一式戦闘機一型」として制式採用されることとなった。

戦史

開戦直後、陸軍が進出した南方の航空戦で一式戦闘機は高い戦闘能力を発揮、軽微な損害で多くの連合国戦闘機(F2AハリケーンP-40)撃墜戦果を挙げた。
また、国内の戦意高揚のために制作された新聞や映画、流行歌等プロパガンダ?の題材として積極的に用いられた本機は、戦時中の国民に広く知られる戦闘機となっていた。

一式戦闘機は連合国軍に日本海軍零式艦上戦闘機と誤認されることがあった。
実際、両機には同型のエンジンを搭載すること、同等の寸法の機体であること、良好な旋回性能を発揮することなど、類似点が多かった。

機体構造やエンジンの更新によって性能の向上が図られつつ運用された一式戦闘機だが、戦争後期には高性能化する連合国軍機に対して旧式化していた。
しかし、より高性能な四式戦闘機などの後継機が配備されつつあった前線でもなお、本機はその運用期間の長さからくる機材としての信頼性、安定した飛行性能から搭乗員整備員に好まれた。
また、実際の戦闘においても、レーダーによる敵の早期発見を可能とするなど先進的な戦闘機運用のなされていたビルマ戦線ではP-51C/D型、P-47D型やスピットファイア後期型(Mk VIII、Mk XIVなど)などに対しても互角の戦果を挙げ続けた。

最終的に、日本航空史上2番目に多い約5,700機が生産され、後の四式戦闘機「疾風」と並んで陸軍航空隊、ひいては戦中の日本軍を代表する戦闘機となった。

性能諸元

一式戦闘機一型(キ43-機
生産番号
(中島)
114〜816号機
乗員1名
全長8.832m
全高3.090m
全幅11.437m
翼面積22
空虚重量1,560kg
全備重量2,017.5kg
発動機中島ハ25? 空冷複列星形14気筒×1基
出力離昇:990馬力/728kW
高度3,400m:970馬力/713kW
プロペラ定速2翅(直径2.90m)
最大速度495km/h(高度4,000m、87オクタン燃料使用時*1
巡航速度320km/h
降下制限速度500km/h以内
上昇性能高度5,000mまで5分13秒(15.9m/s)
高度6,000mまで6分21秒(13.1m/s)
実用上昇限度-
航続距離-
翼面荷重92kg/
馬力荷重360W/kg
武装
機首右側八九式固定機関銃(7.7mm)×1挺(携行弾数:500発)
機首左側ホ103 12.7mm機関砲×1門(携行弾数:250〜270発)


一式戦闘機二型(キ43-供
生産番号
(中島)
5009〜5153号機5154〜5579号機5580〜7489号機
乗員1名
全長8.92m
全高3.085m
全幅11.437m10.837m
翼面積22.021.4
空虚重量1,975kg1,863kg1,935kg
(防弾板装備)
全備重量2,590kg2,500kg
発動機中島ハ115? 空冷複列星形14気筒×1基
出力離昇:1,077馬力/792kW
1速:1,070馬力/786kW(高度2,800m)
2速:940馬力/691kW(高度5,600m)
プロペラ住友ハミルトン可変ピッチ3翅(直径2.80m)
最大速度515km/h(高度6,000m)推力式集合排気管:536km/h(高度6,000m)
推力式単排気管:548km/h(高度6,000m)
巡航速度355km/h(高度4,000m)
降下制限速度550km/h600km/h(最大650km/h)
上昇性能高度5,000mまで5分49秒(14.3m/s)-
高度6,000mまで7分24秒(13.5m/s)-
実用上昇限度10,500mないし11,215m-
航続距離3,000km(落下タンク有り)
1,620km(正規)
-
翼面荷重119kg/117kg/
馬力荷重305W/kg316W/kg
武装
機首ホ103 12.7mm機関砲×2門(携行弾数:各250〜270発)
追加装備
翼下30〜250kgまでの爆弾または 散布弾(クラスター爆弾*2×2発


型式

  • キ43:(13機)
    試作機および増加試作機。

  • 一式戦闘機一型(キ43-機法А754機)
    1941年5月に制式化。
    ハ25(離昇990馬力)発動機を搭載し、対7.7mm機銃弾防漏燃料タンクを装備。
    過剰な軽量化によって機体強度に問題があり、急降下時の制限速度は500km/h以内とされていたが、実際にはそれ以下の速度でも空中分解を引き起こした事例が存在する。
    二型への生産転換と部隊配備によって一線を退いた後は、標的曳航機や訓練機として運用された。

    • 一式戦闘機一型甲(キ43-宜):
      生産初期型。武装は八九式固定機関銃(7.7mm)×2挺。

    • 一式戦闘機一型乙(キ43-飢):
      武装を7.7mm機銃×1挺+ホ103 12.7mm機関砲×1門に換装した型。

    • 一式戦闘機一型丙(キ43-喫):
      武装を12.7mm機関砲×2門に換装した型。

  • 一式戦闘機二型(キ43-供法А3,831機、内試作8機)
    1942年夏に制式化。
    一型からはエンジンのハ115(離昇1,077馬力)への換装、対12.7mm機銃弾防漏燃料タンクの搭載、3翅プロペラ化などの変更が行われた。
    機体構造も強化され、降下制限速度はごく初期の機体で550km/h、中島飛行機製第5154号機からは翼幅の11.437mから10.837mへの短縮や翼面積の22.0屬ら21.4屬悗僚名により最大650km/hまで向上した。
    1943年6月生産の第5580号機からは操縦席後方に防弾板が装備された(教則が不徹底で、現場の判断により勝手に取り外されていた事例がある)。
    なお、二型における以下の呼称は戦後に便宜上与えられたもので、正式には全て「一式戦闘機二型」である。

    • 一式戦闘機二型甲(キ43-狭):
      初期生産型。武装は12.7mm機関砲×2、爆装は最大250kg爆弾×2発、推力式集合排気管装備。生産期間中に機首周りの設計変更が数回行われている。

    • 一式戦闘機二型乙(キ43-恐機法
      中期型。推力式集合排気管を装備、最高速度は536km/hまで向上した。

    • 一式戦闘機二型改(キ43-恐):
      後期型。推力式単排気管を装備、最高速度は548km/hまで向上した。

  • 一式戦闘機三型(キ43-掘法А1,143機、内試作10機)
    1944年末期に制式化された。
    発動機水メタノール噴射装置付きのハ115-供平絅瓮織痢璽詈射装置使用時に高度2,800mで1,230馬力)、操縦席後部に容量70Lの水メタノールタンクを備え、推力式単排気管を装備するが、二型改とは異なり排気管の数は片側7本となっている。

    • 一式戦闘機三型(キ43-掘法
      最高速度は560km/h(高度5,850m)まで向上、水メタノール噴射装置の使用時は瞬発的な加速力も増大した。
      三型乙との区別のため、三型甲とも呼ばれる。

    • 一式戦闘機三型乙(キ43-群機法
      試作のみの機体。 カウリング上部に膨らみを設け、機首を20cm延長、武装をホ5 20mm機関砲×2門に換装。
      1機のみ製造されたものの制式化はされず*3、試験後は明野教導飛行師団に配備された。

  • キ43-検
    計画のみの機体。以下のプランがあった。
    (1):エンジンをハ45(離昇1800馬力)発動機に換装した型。
    (2):機体の一部を木製化し、エンジンを水メタノール噴射装置付の「ハ112-供廖奮し蓋鴇痢峩眄穎仔鷏拭廚汎嬰のもの)に換装した型。


*1 戦中の陸軍で一般的であった92オクタン燃料使用時は最高速度500km/h以上に達したとされるが、実測値は不明。
*2 子弾としてタ弾を内蔵。
*3 不採用の原因は生産型式の転換にかかる労力、重量増による三型甲比の上昇力・上昇限度の劣位(B-29迎撃に必要な能力の低下)などとされている。

トップ 編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS