Last-modified: 2024-02-23 (金) 17:13:27 (55d)

【断熱圧縮】(だんねつあっしゅく)

熱力学における用語。物体に外側から運動エネルギーが加わって圧縮される事。
原理上の定義として、断熱されていて外界との熱交換が発生しない状況が仮定されている。

断熱圧縮と熱交換は別の原理であるため、いったん別個に考える必要がある。
「断熱された状態での圧縮」は定義上の思考実験であって、熱交換を伴わない断熱圧縮が現実に起きているわけではない。

『温度』とは体積あたりの熱エネルギー保有量を意味するため、物体は断熱圧縮されると温度が上昇する。
単純に考えて、物体の密度がn倍になれば、体積辺りの質量もn倍になり、体積辺りの熱エネルギーもn倍に増加する。
また逆に、密度が低下した時(断熱膨張)は密度の低下に伴って熱エネルギーも広い体積に拡散し、温度が低下する。

例えば、気流が山脈に激突して上昇する時には気圧が低下するが、このときに断熱膨張で気温が低下する。
そして山頂に到達してから裾野に向かって吹き下ろす風は、気圧の上昇と共に断熱圧縮で気温を上昇させる。

また、乗り物は動く際に前方の大気や水面に衝突しているため、周囲を流れる気流・水流によって断熱圧縮を生じさせる。
これは速度が増すにつれて深刻になり、特にマッハを越える域では極めて高度な耐熱性能が要求される。

例えば、宇宙から大気圏内に突入した物体は元々極めて高速なため、断熱圧縮で赤熱した大気にさらされて急速に焼尽・溶解していく。

関連:熱の壁


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