Last-modified: 2024-04-12 (金) 09:44:55 (10d)

【政府専用機】(せいふせんようき)

政府が、要人・賓客の輸送のために特に用意する航空機
国によっては政府中枢の緊急避難を想定し、政治的連絡のための暗号通信*1、危険地帯での着陸を避けるための空中給油などの機能を備える機体もある。

管理・運用形態は国によって異なり、以下のいずれか。

  • 政府機関(軍隊以外)が所有・管理する
  • 軍用機とする。典型的には空軍所属の輸送機として扱われる
  • 実際の運航管理を軍人が行っているが、名義上は民間機とする(軍用機の乗り入れに伴う外交問題を回避するため)
  • 国内の航空会社(主にフラッグキャリアとなっている会社)が政府専用の臨時便を提供する

遠い他国への外遊が想定され、また事故発生時の損害がきわめて甚大。
このため、機材には長い航続距離と、事故に対する高度な安全性が求められる。

この性能要求のため、古典的には最大級の大型多発旅客機が採用されるのが常道だった*2
しかし、最大級の大型機を運用する飛行場には広大な敷地面積(滑走路の全長で言えば2500〜3000m級)と膨大な維持費が必要で、これを多数配置できる国家は限られる。
このため、航空機の安全性と効率が向上した近年では双発の中型〜小型旅客機や小型のビジネス機も選択肢に上り、各国の空港設備事情に応じて小型の機材が選ばれる傾向にある*3

関連:ETOPS ボーイングビジネスジェット エアバス・コーポレートジェット ビジネス機 フラッグキャリア

各国の政府専用機

国名機種管理・運用者備考
アメリカ
合衆国
VC-25A空軍通称「エアフォースワン*4」。B747-200Bベース。
アメリカ大統領の長距離移動において最も頻繁に用いられる機体。
第18空軍*5第89空輸航空団・大統領空輸群*6所属。
C-32AB757-200ベース。
VC-25A着陸ができない空港への飛行*7に用いられるほか、
副大統領や大統領夫人などが「エアフォースツー」として
利用することがある。
第18空軍第89空輸航空団・第1空輸飛行隊*8所属。
E-4B国家存亡の事態において大統領が全軍を指揮するための
空中移動司令部。B747-200Bベース*9
大統領の外遊時に常に随行する。
第8空軍第595指揮統制群・第1空中指揮統制飛行隊*10所属。
VC-25BVC-25Aの後継として2026年以降に3機導入予定*11B747-8ベース。
VH-3D海兵隊*12通称「マリーンワン」。
主に国内での短距離移動に用いる機体。
海兵隊戦闘開発コマンド(MCCDC)・第1海兵ヘリコプター飛行隊(HMX-1)
要人空輸分遣隊*13所属。
VH-60N通称「マリーンワン」。
主に大統領の海外訪問時に用いられる機体*14
所属はVH-3Dと同じく、海兵隊戦闘開発コマンド(MCCDC)・
第1海兵ヘリコプター飛行隊(HMX-1)要人空輸分遣隊。
VH-92VH-3Dの老朽代替として導入予定。
日本国B777-3SBER航空自衛隊所属は航空支援集団隷下・特別航空輸送隊第701飛行隊
(北海道・千歳基地所在)*15
運航支援はANAホールディングス
日本国の公式文書では「特別輸送機B-777-300ER」と呼んでいる。
U-4上記B777-3SBERの補助として、近距離の要人輸送に用いられることがある。
EC-225LP陸上自衛隊アメリカの「マリーン・ワン」に相当する、近距離移動に用いられる機体。
陸上総隊隷下・第1ヘリコプター団特別輸送飛行隊
(千葉県・木更津駐屯地)所属。
英国A330 MRTT空軍
A321neoタイタン・エアウェイズ
アイルランドガルフストリーム空軍
A330エア・リンガス
フランスA330-200空軍元エア・カライベス社の機体。
ファルコン7X
ファルコン900
カナダCC-150空軍第437輸送飛行隊が運用。
CC-144
スペインA310-300空軍エールフランスの機体。
ファルコン900
ポルトガルファルコン50空軍
ファルコン9002021年にブラジルで覚醒剤を密輸していたとして
当時のオーナーから押収された機体を2023年に中古で購入。
ドイツACJ319空軍
ボンバルディア
グローバルエクスプレス
ACJ3502020年導入。
なお、A350ビジネス機型「ACJ350」としては初の機体となった*16
イタリアVC-319A空軍
ファルコン900
ファルコン50
ポーランドエンブラエル
175LR
政府LOTポーランド航空からのリース機。
ガルフストリームG550空軍
B737-800BBJ
ウクライナACJ319政府オーストリアのジェットアライアンスからのリース機。
ベラルーシB737-800BBJベラヴィア
B767-300ER政府元トルクメニスタン政府専用機。
チャレンジャー850ベラヴィア
チェコACJ319空軍
チャレンジャー600
スロバキアA319ACJ内務省航空団
フォッカー100
セルビアエンブラエル135政府
ファルコン50
スイスファルコン900空軍
チャレンジャー600
セスナ・
サイテーション
ピラタスPC-242019年導入。
オランダB737-700BBJ政府
ギリシャガルフストリーム政府
ルーマニアB707政府
BAC 1-11*17
デンマークチャレンジャー604空軍
スウェーデンTP102C空軍
TP102D
カザフスタンA330-200政府
B757-200
B737-700BBJ
A321
A330-200
ボンバルディアCRJ200ER
タジキスタンB787-8政府元メキシコ政府専用機(B787の試作6号機)。2023年4月から運用。
ロシアIl-96-300特殊飛行集団ロシア
スホーイ・
スーパージェット
Tu-204
Tu-214
A319-115ACJ
An-148
バチカン市国AW139教皇庁*18
モルドヴァYak-40政府
モンテネグロリアジェット45政府
オーストラリアKC-30A空軍第34飛行隊で運用。
B737-700BBJ
ニュージーランドB757-200空軍第40飛行隊で運用。
中華民国
(台湾)
B737-800空軍台北松山基地に所属。
フォッカー50
B747-400チャイナエアラインカリブ海諸国への長距離移動時や国家承認がない国家に乗り入れる場合に使用。
特別塗装の「Dreamliner」(機体記号:B-18210)が
充てられることが多い。
B747-400エバー航空カリブ海諸国への長距離移動時や国家承認がない国家に乗り入れる場合に使用。
中華人民
共和国*19
B747-400中国国際航空国家主席や国務院総理(首相)などの外遊時に使用。
A330-200
B747-8
B737-300空軍第34輸送機師団所属。
B737-700
B737-800
チャレンジャー800
ブルネイB747-400政府モスボール中。
B747-8BBJ 747-8仕様。
B767-200ER
タイA319-300ACJ空軍
A320-200
A340-500元タイ国際航空の機体。
ATR72-500
B737-400王室
B737-800
(B737-8Z6)
インドネシアB737-800BBJ空軍
B777-300ER政府ガルーダ・インドネシア航空の定期便にも投入される。
アブロRJ85
マレーシアA319ACJ政府
A320ACJ元コムラックス・マルタの機体。
カンボジアA320-200政府元中国南方航空の機体*20
大韓民国B747-8大韓航空機体記号:HL7463
空軍にリースされており「空軍1号機」とも呼ばれる。
B737-300空軍「空軍2号機」と呼ばれている。
VCN-235「空軍3号機」と呼ばれている。
S-92政府
朝鮮民主主義
人民共和国
Il-62高麗航空愛称は「チャムメ*211号/2号」。
インドB737-700空軍
B777-300ER元エア・インディアの機体。
エンブラエル145
ベトナムB777ベトナム航空
A350-900
モンゴルA310MIAT モンゴル航空
B737
スリランカベル412空軍
フィリピンフォッカーF28政府
ベル412
UAE
(アラブ首長国連邦)
B747-400ドバイ・エアウィングドバイ首長国の機体。
元エアカナダ→エア・インディアの機体。
BAe アブロRJドバイ首長国の機体。
B777-300ERアブダビ・アミリフライトアブダビ首長国の機体。
B737BBJ不明
B787-9United Arab Air Wing機体番号:A6-PFE
カタールA340-200カタール・アミリ・フライト*22
A310
クウェートB747-8クウェート航空
A340-500
B737-900ER
サウジアラビアA340-200サウジアラビアロイヤルフライト
B747-300
MD-90
ガルフストリーム
L-100空軍王族用。
オマーンA320-200ロイヤル・フライト・オブ・オマーン
A319ACJ
B747-400
B747-8
B747SP
バーレーン*23B747-400バーレーン王室航空
B767-400ERボーイング社で「E-10」の開発に使われる予定だった機体も含まれている。
イエメンB757政府
イランB737-200政府
アブロRJ85
A321
A340-300
トルコA330-200政府
ガルフストリームG550
ガルフストリーム
ACJ318元ヨルダン政府専用機。
ACJ319元北京首都航空機。
B747-8元カタール・アミリ・フライトの機体。
機体番号:TC-TRK
トルクメニスタンB737-700トルクメニスタン航空
B777-200LR
チャレンジャー850
ヨルダンガルフストリームG650政府
エジプト*24A340-200政府
リビアA340-200政府元アフリキヤ航空の機体。2013年9月に政府に移管。
モロッコB747-8空軍
B747-400元ロイヤル・エア・モロッコの機体。
B737-800BBJ
アブロRJ100
南アフリカB737-700BBJ空軍
ナイジェリアB737-700BBJ空軍
ガンビアIl-62M空軍モスボール中との情報あり。
B727
ボンバルディア・
チャレンジャー
エスワティニMD-87王室日本エアシステム日本航空の機体*25
A340
ブルキナファソB727-200政府
コートジボワールガルフストリーム政府
ジブチファルコン7X政府
B727-100
ナミビアファルコン900B政府
ファルコン7X
ボツワナグローバルエクスプレス政府
モーリタニアB737-700BBJ*26政府
ブラジルVC-1A空軍公式愛称は「サントス・デュモン」。
大統領搭乗時には「フォルサ・アエリア・ワン」のコールサインが用いられる。
VC-2
メキシコB737-200空軍
ガルフストリームG100
ガルフストリームG550
コロンビアB737-700BBJ政府
フォッカーF28
AW139
チリB737-500空軍
B737-300ルフトハンザドイツ航空の機体。
B767-300ER
アルゼンチンB757-200空軍「タンゴ01」のコールサインがある。
B737-500
キューバIl-96-300クバーナ航空
Il-62
エルサルバドルホーカー400政府
ベル412
ボリビアファルコン900政府当初、サッカークラブのマンチェスター・ユナイテッドFCの
専用機として発注された機体だったが、キャンセルされたもの。
ファルコン50
ウルグアイエンブラエル120政府
エクアドルエンブラエル135政府
ファルコン7X
B737-200



*1 このために専属の航空通信士が搭乗する機体もある。
*2 また、輸送力の余裕を生かして兵員や避難民・同行するマスコミ関係者などの輸送に充てる国もある。
*3 兵員や避難民などの輸送を考えなければ、小型機でも十分その任務に堪えられる。
*4 正式には、空軍所属の航空機に大統領が搭乗している際に用いる専用コールサイン
*5 部隊管理上は空軍航空機動軍団の、作戦上は輸送軍の指揮を受ける。
*6 メリーランド州アンドリューズ空軍基地所在。
*7 VC-25AE-4BB747-200Bをベースにしているため、着陸には2,500〜3,000m級の滑走路が必要である。
*8 メリーランド州アンドリューズ空軍基地所在。
*9 大統領専用機の後継はB747-8が充てられることになっているが、本機の後継機は未定である(なお、B747-8はすでに生産を終了している)。
*10 ネブラスカ州オファット空軍基地所在。部隊管理上は空軍地球規模攻撃軍団、作戦指揮上では戦略軍の隷下にある。
*11 うち2機は、ロシアのトランスアエロ航空が発注し、同社の経営破綻によってボーイングで保管されている機体が充てられる予定。
*12 アメリカ海兵隊の項にもあるように、海兵隊は「アメリカ合衆国大統領の親衛隊」とも称される立場にある。
*13 通称「ホワイトサイド」。ヴァージニア州クワンティコ基地所在。
*14 大統領がVC-25Aに乗って外遊する際には空軍輸送機C-5C-17)に搭載されて訪問先へ移動する(VC-25Aには搭載スペースがない)。
*15 機体の格納庫・専用スポット・整備拠点は隣接の新千歳空港側にある。
*16 2014年に行われた、日本国政府専用機・B-747-400の後継機コンペティションでも候補になったが、B777-300ERに敗れている。
*17 かつては「ROMBAC 1-11」として本機の生産も行っていた。
*18 ローマ教皇の国外訪問には、イタリアのアリタリア航空の機体が用いられることが多い。
*19 かつてB767をアメリカから購入しようとしたが「盗聴器が仕掛けられている可能性がある」との理由で受け取りを拒否したことがある。
*20 運航支援も同社が行っているとの情報あり。
*21 オオタカの意。
*22 カタール空軍の隷下組織。
*23 長距離用機材を持たないヨルダン政府がチャーターすることもある。
*24 今後、ルフトハンザドイツ航空向けに製作されたが受領されず保管されているB747-8を導入予定。
*25 日本時代の機体記号はJA8372。
*26 2023年2月より導入。

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