Last-modified: 2024-03-31 (日) 21:05:14 (58d)

【レーザー】(れーざー)

LASER , Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation (誘導放出による光増幅)

波長と位相を揃えて放出された、直進する単色の光。「コヒーレント光」とも。

自然な状態での光は様々な波長・位相がバラバラに集まったものである。
よって、自然光は反射などで拡散し、様々な色、様々な方向に広がっていく。
光が持つこの性質は(乱雑に表現すれば)特定の波長・方向からしか放出されない鏡の中に閉じ込めれば封殺できる。
そうして放出された、単色・指向性で波長が一定の光を「レーザー光」「コヒーレント光」と呼ぶ。

実際の所、光は物体に当たって反射する度にエネルギーを減衰させていく。
よって、レーザーを安定的に放出するためには電気的・化学的な増幅処理が不可欠である。

レーザー光は他からの妨害や障害を受けにくい反面、放出そのものの制御は精密に行える。
現在までの所、レーザーはナノ秒・フェムト秒単位で点灯・消灯を管理できる唯一の光源である。
そうした性質のため、通信・観測をはじめとする用途に広く利用されており、レーザー技術は現代工学における基幹技術の一つとなっている。
一例を挙げれば以下のような用途に利用されている。

  • 測量機器
  • 非破壊検査
  • 顕微鏡
  • 核融合炉
  • 光学記録媒体(CD・DVD・BDなど)に記録されたデータの読み取り
  • 光ファイバー通信の信号伝送
  • 画像読み取り(スキャナー・ファクシミリ・コピー機・バーコードリーダーなど)
  • 印刷(レーザープリンター・コピー機)
  • 溶接・切断・研磨
  • 医療用(人体の切断・研磨)
  • 射撃競技・訓練用具または遊具(ビームライフル(ピストル)

兵器としての利用

レーザー光は光量が一点に集中する性質上、照射に伴う熱も一点に集中する。
低出力のレーザーでも生体組織の焼灼が可能で、高出力では溶接も可能なほどの熱量に達する。

基本的に無害とされる照明・照準用レーザーポインターでさえ、人間の眼球に直撃すれば失明する危険性がある。
なお、1995年に採択された「特定通常兵器使用禁止制限条約」及び1996年のジュネーブ協定により、人の視力を奪うレーザー兵器の使用は禁止されている。

こうした特性を直接的に兵器に転用し、レーザー光の熱で目標を破壊する「レーザーガン」も開発が行われている。
アメリカでは実際に弾道ミサイル迎撃用のMIRACLAL-1、戦域防空用のTHELといったシステムが作られている。

しかし、レーザー発振装置は装薬に比して火力効率が悪く、実用レベルまで装置を小型化するめどが立っていない。

電力を光に変換するという原理上の制約が、工学における難問となっている。
大電力を長期備蓄する方法がない上に、大出力の発電・配電を行うと膨大な放熱が発生するからだ。

また、常に直進するレーザー光の性質上、長射程火砲に必須の要求である間接砲撃を実施できない。
このため、現状では航空機に搭載するか、対空砲として使用する事しかできない。

加えて、熱の照射によって標的を破壊する原理上、途上の大気との衝突によって急速に威力が減じる。
特に大気中の水が放熱を吸収するため、雨天では事実上使い物にならないほどに有効射程が減衰する。

なお、宇宙空間でもレーザーの破壊力は距離とともに減衰する。
技術的に完全なコヒーレントを実現できないため、距離が開くとともにレーザー光が散乱するのだ。
この散乱は大気の影響に比べれば誤差程度のものだが、天文単位の距離では重大な問題となる。

総じて、レーザー兵器火砲ミサイルに代わる物理的破壊装置として配備される目処は立っていない。

関連:セミアクティブレーザー誘導 AL-1 対戦車ミサイル 誘導爆弾


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