Last-modified: 2023-05-27 (土) 10:50:28 (194d)
【こんごう】 †
JS Kongo(DDG-173).
海上自衛隊のミサイル護衛艦。
はたかぜ型の後継となる第4世代ミサイル護衛艦にして、日本初のイージス艦である。基本計画番号はF116。
その設計はアメリカ海軍のアーレイ・バーク級(フライト1)を基にしており、同艦に似た外見と能力を持つが、同級と比較していくつかの点が異なる。
- 速射砲を米ユナイテッドディフェンス*1社製Mk.45から伊OTOメララ?社製(日本製鋼所?のライセンス生産品)に変更されており、速射能力が向上。
一方で重量が増加したため、艦首部分が延長された。 - 艦腹部に、ロールを抑制するためのフィンスタビライザーが追加された。
- 軽量化のため1本にされた錨を、通常の艦と同じく2本とした。
- 群司令の座乗を意識して艦隊指揮能力を強化したため、艦橋が大型化した。
- マストが四角柱型ではなく、従来からあるトラス構造のラティスマスト。このためレーダー反射面積がやや大きい。
また煙突の側面が垂直に近くなっており、レーダー反射面積が増加しているとされる*2。 - 後部飛行甲板が延長され、上甲板と同じ高さになっている。
- 最大速力が32ktから30ktに低下。
- 専守防衛の立場から、トマホーク巡航ミサイルの運用能力が実装されていない。
- 船体が大型化した結果、居住性が良好で、航続距離も20ノット巡航時6,000海里とタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦と同等となっている。
このため基準排水量は7,250トン、満載排水量に至ってはタイコンデロガ級に匹敵する9,485トンに達しており、本艦の発展型であるあたご型が就役するまでは海上自衛隊の中でも最大級*3の戦闘艦であった。
1番艦「こんごう」はソ連軍の脅威と日本の対米貿易黒字が懸念された冷戦時代の1988年に発注され、1992年に就役。
冷戦終結後はミサイル防衛用途への使用も検討されるようになった。
テポドン事件においては「みょうこう」が出動して監視にあたり、以降もテポドン発射の兆候が見られた際は同型が監視にあたった。
順次弾道ミサイル迎撃能力が付加されることになっており、最初に改修を受けた「こんごう」は、2007年12月には米軍以外で初めてSM-3による弾道ミサイル迎撃実験に成功した。
関連:金剛(巡洋戦艦)
性能諸元 †
艦種 | ミサイル護衛艦(DDG) |
前級 | はたかぜ型 |
次級 | あたご型 |
排水量 (基準/満載) | 7,250t/9,485t |
全長 | 161m |
全幅 | 21m |
喫水 | 6.2m |
深さ | 12m |
推進方式 | COGAG方式 |
機関 | IHI LM2500ガスタービン×4基(機関出力100,000ps) 可変ピッチ・プロペラ×2軸 |
電力 | アリソン501-K34ガスタービン主発電機×3基(出力2,500kW) |
速力 | 30ノット |
航続距離 | 6,000海里(20ノット巡航時) |
乗員 | 300人 |
兵装 | オート・メラーラ社製 54口径127mm単装速射砲×1門 高性能20mm機関砲(CIWS)×2基 Mk.41 Mod.6 VLS×2基90セル(29+61) (スタンダード SM-2・スタンダード SM-3・VLAを装備) 4連装SSM発射筒×2組(ハープーンを装備) 68式3連装短魚雷発射管(HOS-302)×2組 |
艦載機 | なし(着艦スペースのみ) |
搭載艇 | 7.9m内火艇×2隻 6.3m複合型作業艇×1隻 |
C4Iシステム | AN/WSC-3衛星通信装置(AN/USC-42に後日換装) NORA-1衛星通信装置 NORQ-1衛星通信装置 海軍戦術情報システム(リンク11/14/16) イージス武器システム(AWS Mk.7) OYQ-102 対潜情報処理装置 |
FCS | Mk.99 ミサイルFCS×3基(SAM用) 81式射撃指揮装置2型-21(FCS-2-21) 砲FCS×1基(主砲用) |
レーダー | AN/SPY-1D多機能レーダー×4面1基 OPS-28D対水上捜索・低空警戒レーダー×1基 OPS-20?航海レーダー×1基 |
ソナー | OQS-102 艦首ソナー×1基 OQR-2 戦術曳航ソナー×1基 |
電子戦・対抗手段 | NOLQ-2 統合電子戦システム Mk.36 SRBOC 対抗手段展開システム (Mk.137 6連装チャフ・フレア発射機×4基) 曳航具4型 対魚雷デコイ×1組 |
同型艦 †
ベースライン4 | ||||||
艦番号 | 艦名 | 主造船所 | 起工 | 進水 | 竣工 | 所属 |
DDG-173 | こんごう (JS Kongō) | 三菱・長崎 | 1990.5.8 | 1991.8.26 | 1993.3.25 | 第1護衛隊群第5護衛隊 (司令部:横須賀基地) (定係港:佐世保基地) |
DDG-174 | きりしま (JS Kirishima) | 1992.4.7 | 1993.8.19 | 1995.3.16 | 第2護衛隊群第6護衛隊 (横須賀基地) | |
DDG-175 | みょうこう (JS Myōkō) | 1993.4.8 | 1994.10.5 | 1996.3.14 | 第3護衛隊群第3護衛隊 (舞鶴基地) | |
ベースライン5 | ||||||
DDG-176 | ちょうかい (JS Chōkai) | IHI 東京第1工場 | 1995.5.29 | 1996.8.27 | 1998.3.20 | 第4護衛隊群第8護衛隊 (司令部:呉基地) (定係港:佐世保基地) |
*1 現・BAEシステムズ ランド&アーマメンツ。
*2 ただしレーダー反射面積は小型漁船と同程度であり、問題ないとする意見もある。
*3 艦籍記号は「ミサイル駆逐艦」を表す「DDG」であるが、巡洋艦級の位置付けであるため、艦長には「海軍大佐」に相当する一等海佐が充てられる。