*&ruby(けいしーななろくなな){【KC-767】}; [#hc59d963]
Boeing KC-767A/KC-767J/KC-767AT（KC-46A"Pegasus"）.~
>「KC-767」を名乗る機体には、イスラエルの[[IAI]]が[[B767]]を改装してコロンビア[[空軍]]/ブラジル空軍に納入したものもあるが、本稿では扱わない。
[[ボーイング社>ボーイング]]が、自社製の中型[[双発>双発機]][[セミワイドボディ>広胴機]][[旅客機]]・[[B767]]をベースに開発した[[空中給油機]]/[[輸送機]]。~
[[B767]]の開発に参加していた[[イタリア>イタリア軍]]・[[日本>航空自衛隊]]及び[[アメリカ空軍]]に採用されている。~
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ボーイングではこれまで、[[空中給油機]]として[[KC-135]]と、それを基にした[[B707]]ベースの「KC-707」を生産していたが、原設計が1950年代の機体である両機は1991年に生産を終了していた。~
また、アメリカを代表する空中給油機としては、他に[[マクダネル・ダグラス]][[DC-10]]をベースにした「KC-10A」があったが、マクダネル・ダグラスは1997年にボーイングに吸収合併され、後継機が存在しなかった((KC-10AのベースとなっていたDC-10の後継には[[MD-11]]があったが、同機は[[軍用機]]としては発注されなかった。))。~
そこで、これらの後継となる機体として「767T-T（[[Tanker>タンカー]] and [[Transport>輸送機]]）」が提案され、[[イタリア空軍>イタリア軍]]および日本の[[航空自衛隊]]が[[最初の顧客>ローンチカスタマー]]となった。~
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また、[[アメリカ空軍]]にも100機のリース契約が決定していたが、リースでは購入するより高価になることと、[[国防総省>アメリカ国防総省]]との裏取引疑惑が持ち上がったことから計画は一度中止となり、紆余曲折の末、[[アメリカ空軍]]にはさらに改良された「KC-767AT」が採用されることになった。~
**KC-767A [#u536756d]
200ER型をベースにした((200ERをベースにしたのは、胴体の長い300型では[[離陸]]の際に[[テイルストライク]]を起こす恐れがあったためである。))[[空中給油機]]兼[[輸送機]]型。~
[[フライングブーム]]方式と[[プローブアンドドローグ]]方式の両方の給油装置を備えており、フライングブーム装置は胴体後部、プローブアンドドローグは胴体後部と両主翼端にある。~
[[イタリア空軍>イタリア軍]]が採用した他、[[アメリカ空軍]]にもリースで100機を導入する計画があったが、前述のとおり購入するよりコストがかかることと、[[国防総省>アメリカ国防総省]]との裏取引疑惑が発覚したため白紙に戻されている。~
**KC-767J [#bfe19202]
A型と同様、200ERをベースにした[[航空自衛隊]]向けの機体。~
[[フライングブーム]]方式の給油装置のみを装備し、価格を抑えるため[[機首]]上面の受油口も省かれている((このため、別の[[給油機>空中給油機]]から[[燃料]]を受け取って[[航続距離]]を延ばすということはできなくなっている。))。~
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なお、本機は同じ200ERをベースにした[[E-767]]の時((この時の発注者は日本国政府であった。))とは異なり、[[航空幕僚監部]]が発注したため、ボーイングの顧客コードは「7C」ではなく「FK」が与えられている。~
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また、本機の導入に際しては[[エアバス>エアバス（企業）]]の[[A310MRTT>A310]]との比較がされていたが、[[A310]]自体が日本国内のオペレーターで運用されていないことなどから不採用となっている。~
また、本機の日本への導入に際しては、[[エアバス>エアバス（企業）]]の[[A310MRTT>A310]]との比較がされていたが、[[A310]]自体が日本国内のオペレーターで運用されていないことなどから不採用となっている。~
**KC-767AT（KC-46A） [#zf193030]
前述のKC-767Aの導入が白紙に戻されたのち、[[アメリカ空軍]]は改めて[[空中給油機]]のコンペティションを実施した。~
このコンペティションには[[エアバス>エアバス（企業）]]が[[ノースロップ・グラマン]]と組んで「[[A330MRTT>A330]]」（KC-45）を、[[ボーイング]]が[[B767-300>B767]]型をベースにした「KC-767AT」と[[B777]]をベースにした「KC-777」を提案。~
3機種の競合((一度はエアバスとノースロップ・グラマンの[[KC-45>A330]]で決まりかけたが、ボーイングが連邦会計検査院に提訴。最終的にエアバスとノースロップ・グラマンが降りて2機種となり、競合の末KC-46Aに決定した。))の末、KC-767ATが「KC-46A『ペガサス』」として採用された。~
3機種の競合((一度はエアバスとノースロップ・グラマンの[[KC-45>A330]]で決まりかけたが、ボーイングが連邦会計検査院に提訴。最終的にエアバスとノースロップ・グラマンが降りて2機種となり、競合の末KC-46Aに決定した。))の末、KC-767ATが「KC-46A『ペガサス』」の[[制式]]名で採用された。~
2017年までに最初の18機が調達され、従来の[[KC-135]]や[[KC-10A>DC-10]]を置き換えながら179機調達の予定((現在までに61機導入。))。~
~
アメリカ空軍に続き、日本の[[航空自衛隊]]でも2020年度末より採用し、上記のKC-767Jを更新していく予定（6機導入予定、2機引渡済み）。~
また、[[イスラエル空軍>イスラエル軍]]も4機を発注し、4機を追加導入の予定である。~
**スペックデータ [#cd6e0896]
|>|CENTER:''KC-767''|
|乗員|3名（[[機長]]、[[副機長]]、ブームオペレーター）（コックピット座席は4）|
|容量|人員192名〜200名または463Lパレット19枚|
|全長|48.5m|
|全高|15.8m|
|翼幅|47.6m|
|空虚重量|82,377kg|
|最大燃料重量|72,877kg（[[F-15]][[戦闘機]]最大11機が満タンになる）|
|最大離陸重量|186,880kg|
|[[エンジン]]|[[GE>ジェネラルエレクトリック]] [[CF6-80C2B6F>CF6]][[ターボファン]]×2基（[[推力]]267.8kN（60,200lbf））|
|最大速度|[[マッハ]]0.86|
|[[巡航速度]]|マッハ0.80|
|[[航続距離]]|12,200km|
|[[実用上昇限度>上昇限度]]|12,200m|
~
|>|CENTER:''KC-46''|
|>|CENTER:''KC-46A''|
|乗員|3名（[[操縦士>機長]]、[[副操縦士>副機長]]、空中給油オペレーター）|
|容量|人員114人（最大）、463Lパレット×18枚&br;傷病者58人（担架24、歩行可能者34）|
|[[ペイロード]]|29,500kg|
|全長|50.5m|
|全高|15.9m|
|翼幅|48.1m|
|空虚重量|82,377kg|
|最大離陸重量|188,240kg|
|燃料容量|96,297kg&br;118,200L（Vol）|
|最大転送燃料搭載量|94,198kg|
|[[エンジン]]|[[P&W>プラット＆ホイットニー]] PW4062[[ターボファン]]×2基&br;（[[推力]]282kN（63,300lbf））|
|最高速度|マッハ0.86（914km/h）|
|[[巡航速度]]|マッハ0.80（851km/h）|
|[[航続距離]]|11,830km|
|[[実用上昇限度>上昇限度]]|12,200m|
~
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