*&ruby(えふえいとえふ){【F8F】}; [#j68377b3]
Grumman F8F Bearcat.~
~
アメリカの[[グラマン]]が[[第二次世界大戦]]期に開発した[[レシプロ>レシプロエンジン]][[艦上戦闘機]]。~
愛称は「ベアキャット((ジャコウネコ科の動物「ビントロング」の別名だが、勇敢な闘士という意味もある。))」。~
**開発 [#ge11f469]
1942年にイギリスが[[鹵獲]]したドイツの[[Fw190A>Fw190]]はアメリカに送られ、数度の試験飛行を実施した。~
その際にFw190に試乗した[[グラマン]]社のテストパイロットは本機の高性能の要因である「小柄な機体と大馬力[[空冷エンジン]]」の組み合わせに大きな可能性を感じ、開発部にこのコンセプトを踏襲した戦闘機開発を提案、了承された。~
開発には当時[[海軍>アメリカ海軍]]の主力[[艦上戦闘機]]であった[[グラマン]]「[[F6F]]」運用時に得られた知見も取り入れ、設計は1943年11月に完了、軍によって次世代艦上戦闘機候補に指定され「XF8F」の[[制式]]名称が与えられた。~
試作機は1944年8月に[[初飛行]]、1945年2月には生産初号機が完成した。~
**特徴 [#nf386cde]
機体規模が同時期の[[単発>単発機]]戦闘機の中でも非常に小さいために空気抵抗が小さく、そこに大馬力[[空冷エンジン]]を搭載したことから、[[制空戦闘機]]としての総合的な性能は[[レシプロ>レシプロエンジン]]搭載機中でも最高級のものとなった。~
>[[太平洋戦争]]初期に[[ドッグファイト]]で連合軍機を圧倒した[[零式艦上戦闘機]]との飛行試験による性能比較では、旋回半径を除くあらゆる点でF8Fが優れることが証明された。~
また、小柄な機体は[[空母>航空母艦]]への大量搭載に適しており、生産性も高かった。~
ただし、飛行安定性は小さな主翼面積や短い全長のために従来の[[F6F]]より低く、搭載可能な[[爆弾]]や[[ロケット弾]]の数では[[F4U]]に劣った。~
**運用 [#cdc0b987]
生産機はまず[[アメリカ海軍]]に配備されたが、実戦参加以前に[[太平洋戦争]]は終戦した。~
戦後は世界における戦闘機の主流が[[ジェット>ジェットエンジン]]機へと移ったため、圧倒的な速度差によって制空戦闘における本機は立場を失った。~
戦後、戦闘機の主流が[[ジェット>ジェットエンジン]]機へと移ったため、圧倒的な速度差によって制空戦闘における本機は立場を失った。~
また、対地攻撃能力や航続距離でも従来から運用されてきた[[F4U]]に劣ることから能力を見限られ、米海軍は早期に本機を退役させた。~
なお、海軍のアクロバットチームである「[[ブルーエンジェルス]]」では[[F6F-5>F6F]]に続く二代目の使用機となった。~
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その後、タイやフランスに輸出され、フランスの機体は第一次インドシナ戦争における対地攻撃任務に運用、南ベトナムの独立後は同国へ提供された。~
その後、タイやフランスに輸出され、フランスの機体は[[インドシナ戦争>第1次インドシナ戦争]]における対地攻撃任務に運用、南ベトナムの独立後は同国へ提供された。~
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本機は戦闘機としては1963年、南ベトナム空軍の運用終了によって完全退役した。~
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その機体特性から[[エアレース]]専用改造機も多く、21世紀に至っても運用は一部で継続されている。~
>F8F改造のレーサー機「レァ・ベァ（Rare Bear）」は、850km/hのレシプロ機速度記録を保有する。~
**スペック [#v624537f]
|型式|CENTER:F8F-1|CENTER:F8F-2|
|乗員|>|CENTER:1名|
|全長|>|CENTER:8.43m|
|全幅|>|CENTER:10.82m（折りたたみ時は7.25m）|
|全高|>|CENTER:4.17m|
|翼面積|>|CENTER:22.67��|
|翼型|>|CENTER:root：NACA 23018&br;tip：NACA 23009|
|空虚重量|CENTER:3,322kg|CENTER:3,470kg|
|全備重量|CENTER:4,387kg|CENTER:4,689kg|
|最大離陸重量|CENTER:5,779kg|CENTER:6,106kg|
|[[燃料]]搭載量|>|CENTER:機体内燃料タンク：700L&br;落下増槽タンク：568L×1基+379L×2基&br;計：2,025L|
|エンジン|>|CENTER:[[P&W>プラット＆ホイットニー]] [[R-2800「ダブルワスプ」>R-2800]]&br;[[空冷>空冷エンジン]]複列18気筒×1基|
|~|CENTER:R-2800-34W|CENTER:R-2800-30W|
|出力|CENTER:2,100 hp / 1,567 kW&br;最大 2,750 hp / 2,052 kW|CENTER:2,250 hp / 1,679 kW&br;最大 2,500 hp / 1,866 kW|
|プロペラ|>|CENTER:定速4翅プロペラ（直径3.84m）|
|最高速度（海面高度）|CENTER:678km/h|CENTER:622km/h|
|最高速度（適正高度）|CENTER:689km/h（高度5,730m）|CENTER:719km/h（高度8,534m）|
|上昇率&br;（海面高度）|CENTER:28.5m/s|CENTER:22.68m/s|
|上昇性能|CENTER:高度6,096mまで4分54秒&br;（20.73m/s）|CENTER:高度6,096mまで5分30秒&br;（18.47m/s）|
|[[実用上昇限度>上昇限度]]|CENTER:10,607m|CENTER:11,643m|
|[[航続距離]]((燃料消費量+5%の補正後に算出。))&br;（[[増槽]]：568L×1）|CENTER:2,278km|CENTER:1,954km|
|航続距離((燃料消費量+5%の補正後に算出。))&br;（増槽：568L×1 + 379L×2）|CENTER:3,352km|CENTER:2,954km|
|固定武装|CENTER:[[ブローニング AN/M2&br; 12.7mm重機関銃>ブローニングM2]]×4挺&br;（翼内、総弾数1,200発）|CENTER:イスパノ・スイザ AN/M3&br;20mm[[機関砲]]×4門&br;（翼内、総弾数820発）|
|爆装|>|CENTER:最大1,633kg&br;1,000lb及び16,00lb爆弾 / HVARロケット×4 / Tiny Timロケット×2|
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**バリエーション [#sa2c0412]
-XF8F-1（2機）：~
原型機。社内呼称「G-58」。~
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-F8F-1（658機）：~
初期生産型。[[エンジン]]はR-2800-22Wまたは34W（2,100hp（1,600kW））を搭載。~
武装は12.7mm機関銃×4挺。~
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--F8F-1B（100機）：~
搭載機銃をAN/M3 20mm機関砲×4門に変更した武装強化型。~
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--F8F-1C（126機）：~
F8F-1Bに改称。~
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--F8F-1D：~
[[無人機]]管制機型。同じ呼称で熱帯仕様改修機も存在する。~
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--F8F-1(D)B：~
フランス、タイ向け輸出仕様の非公式名称。~
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--F8F-1E：~
[[夜間戦闘機]]型試作機。[[AN/APS-4]][[レーダー]]を搭載。~
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--XF8F-1N：~
夜間戦闘機型試作機。~
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--F8F-1N（12機）：~
夜間戦闘機型。[[AN/APS-19]]レーダーを搭載。~
~
--F8F-1P：~
写真[[偵察機]]型。~
~
-F3M-1：~
ゼネラルモーターズ社製F8Fの計画呼称。~
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-F4W-1：~
カナディアン・カー・アンド・ファウンドリー（CC＆F）社製F8Fの計画呼称。~
~
-XF8F-2：~
改良型試作機。~
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--F8F-2（293機）：~
[[垂直尾翼]]延長、エンジンカウリングの変更など各部再設計をおこなった改良型。~
エンジンはR-2800-30Wを搭載。~
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--F8F-2D：~
無人機管制機型。~
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--F8F-2N：~
夜間戦闘機型。APS-19レーダーを搭載。~
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--F8F-2P（60機）：~
写真偵察機型。~
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-G-58A/B「ガルフホーク�検廖�2機）：~
速度競技機として発注された民間登録機。~
~
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