*&ruby(えーえぬいちに){【An-12】}; [#w7fd86f9]
Antonov An-12"Cub".~
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ソ連（現在のウクライナ）のアントノフ設計局が1950年代に開発した[[四発>多発機]][[ターボプロップ]][[輸送機]]。~
[[NATOコード]]では「&ruby(カブ){Cub};」と呼ばれた。~
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本機は、同じアントノフ設計局の開発したAn-10（NATOコード：キャット）[[旅客機]]の[[貨物機]]型として開発された。~
An-10シリーズの欠点だった横安定性不良の改善のため、[[垂直尾翼]]を大型のものに変更している。~
また、機体サイズ・レイアウトや飛行性能はアメリカの[[ロッキード]][[C-130]]とよく似ている。~
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1957年に原型機が[[初飛行]]、1959年には[[ソ連空軍>ソ連軍]]に実戦配備された。~
1972年までに1,243機が生産され、東側諸国だけではなく、一部の西側諸国でも運用された。~
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また、[[対潜哨戒機]]型などの派生型も生産されたほか、生産機数のうち900機近くが民間向けとして生産された。~
中国でも[[運輸8（Y-8）>運輸8]]として[[ライセンス生産]]されているほか、Y-8F-600をベースとして[[運輸9（Y-9）>運輸9]]が開発されている。~
**運用国 [#d34008a4]
-民間型
--[[アエロフロート>アエロフロート・ロシア航空]]
--アントノフ航空
--イラク航空
--エジプト航空
--エアギニア
--中国民航
--バルカン・ブルガリア航空
--スリランカカーゴ~
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-軍用型
--アフガニスタン：1981〜2001年まで12機を運用。
--アルジェリア
--アンゴラ
--バングラデシュ
--ベラルーシ
--中国：派生型の[[Y-8>運輸8]]・[[Y-9>運輸9]]も運用。
--チェコ：チェコスロバキア時代から運用。国家分裂によってスロバキアには移管されず。
--エジプト
--エチオピア
--インド：1961〜1990年代まで現役であった。
--インドネシア
--イラク
--イラン
--カザフスタン
--ミャンマー
--ポーランド
--ロシア：2030年代まで運用予定。
--ソビエト連邦：崩壊後は各国に分散した。
--スリランカ
--スーダン
--シリア
--ウクライナ
--ウズベキスタン
--イエメン
--ユーゴスラビア~
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**スペックデータ [#cb579d1b]
|乗員|5名（[[機長]]、[[副機長]]、[[航空機関士]]、[[航法士>航法員]]、[[通信士>航空通信士]]）|
|容量|[[ペイロード]]20,000kg/[[空挺部隊]]60名/[[BMD-1]]×2台|
|全長|33.1m|
|全高|10.53m|
|翼幅|38m|
|翼面積|121.7��|
|空虚重量|28,000kg|
|最大離陸重量|61,000kg|
|[[エンジン]]|イーフチェンコ＝プログレース AI-20LまたはAI-20M[[ターボプロップ]]×4基&br;（出力4,000shp（3,000kW））|
|[[プロペラ]]|4枚翅定速プロペラ|
|最高速度|660km/h|
|[[巡航速度]]|570km/h|
|[[航続距離]]|5,700km（最大[[燃料]]時）&br;3,600km（最大[[ペイロード]]時）|
|[[上昇限度]]|10,200m|
|[[上昇率]]|10.2m/s|
|武装|尾部[[砲塔]]にNR-23 23mm[[機関砲]]×2基を装備可能|
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**バリエーション [#f6258e6b]
-An-12：~
初期生産型。エンジンはイーフチェンコAI-20A（4,000hp（3,000kW））を搭載。~
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-An-12A：~
改良型。~
エンジンをAI-20K（4,170hp（3,170kW））に換装し、内翼パネルに[[燃料電池]]4個を追加した。~
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--An-12AD：~
タシケントで製造・納入された1機に付けられた呼称。~
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--An-12AP：~
A型にP型の床下燃料タンクを2基増設した改造機。~
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-An-12B：~
改良型。~
[[主翼]]の強化やTG-16 [[APU]]の搭載などの改良が行われた。~
エンジンは信頼性が向上したイーフチェンコAI-20Mを搭載。~
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--An-12B-30：~
[[ペイロード]]を30トンに増加させた型。計画のみ。~
エンジンはAI-20DK（5,180hp（3,860kW））を搭載予定だった。~
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--AN-12B-I：~
"Fasol"アクティブ[[ジャミング]]システムを搭載する[[電子妨害機>電子戦機]]型。少数生産。~
~
--An-12BK：~
An-12BPの改良型。~
ペイロードを30トンに増加させ、[[アビオニクス]]やTG-16M APUの改良、貨物ドアを拡大した。~
軍用輸送航空団司令部（VTA((Komandovaniye voyenno-transportnoy aviatsii.))）に配備された。~
~
--An-12BK-IS：~
[[電子妨害機>電子戦機]]型。~
前部胴体下部と[[砲手>ガナー]]席の両側にある[[パイロン]]に吊り下げられた4基の[[ポッド]]に"Fasol"と"Sirena"ミッションシステムを搭載する。~
1974年からは105機が"Bar'yer"と"Silen"ミッションシステムや[[赤外線]]ジャマーを搭載する改造を受けた。~
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--An-12BK-PPS：~
An-12PPから発展した電子妨害機型。~
4基のポッドに"Sirena"システム、"Booket"ジャマーシステム、[[尾翼]]に[[チャフ]]ディスペンサーを搭載する。~
後期生産型ではチャフディスペンサーは貨物ドアに移設されている。~
~
--An-12BKK：~
VIP輸送機型。~
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--An-12BKSh：~
[[航法]][[訓練機>練習機]]型。10台の訓練用ワークステーションを搭載。~
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--An-12BKT：~
[[空中給油機]]型。~
19,500L（4,300 imp gal; 5,200 US gal）の積載量があり、一度に2機に給油する事が可能だった。~
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--An-12BKV：~
貨物室のドアから[[爆弾]]や[[地雷]]を投下するためのコンベアベルトを常設した型。~
精度が低かったため開発中止となった。~
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--An-12BL：~
Kh-28（AS-9）[[対レーダーミサイル]]のテストベッド機。~
前部胴体の両側の[[パイロン]]に2発、外翼の下のパイロンに2発のミサイルを装備可能。~
~
--An-12BM：~
SATCOM中継機に改造した型。~
通信衛星「モルニヤ1号」との通信を試験的に中継している。~
[[通信衛星>人工衛星]]「モルニヤ1号」との通信を試験的に中継している。~
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--An-12BP：~
B型にAn-12Pの床下燃料タンクを2基増設し、NAS-1B1-28自動航法システムとRSKM-2無線座標監視システムを装備した型。~
後期生産型では貨物室ドア幅が広くなり、座席配置が変更されている。~
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--An-12BPTs：~
気象研究機型。~
測定装置、データ記録装置、雲霧散布装置を搭載。~
その後、ミッション機器を取り外されて輸送任務に戻された。~
~
--An-12BSh：~
[[航法]][[訓練機>練習機]]型。~
~
--An-12BSM：~
標準化された貨物パレットを搭載することを目的とした改良型。~
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--An-12BZ-1：~
[[空中給油機]]型。給油ホース/[[ドローグ]]ユニットを1つの[[ポッド]]に搭載した。~
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--An-12BZ-2：~
[[コックピット]]上部に固定プローブを装備した型。~
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-An-12D：~
新型の足回りや[[An-24]]同様の尾部、完全与圧式の胴体、貨物室ドアに搭載用ランプを組み込んだ積載量増加型。~
開発中止になったが、An-40[[STOL]][[輸送機]]につながった。~
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--An-12DK：~
イーフチェンコAI-30[[ターボプロップ]]（5,500hp（4,100kW））を搭載した型。~
計画のみ。~
~
--An-12D-UPS：~
An-12Dの[[BLC]]仕様機。主翼中央上部に2基のターボ圧縮機を備える。提案のみ。~
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-An-12M：~
イーフチェンコAI-20DMターボプロップを搭載した型。~
性能は向上したがエンジンの製造中止により生産中止。~
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-An-12P：~
An-12の貨物室床下に2基の増加燃料タンクを装備した型。~
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--An-12PL：~
An-12BP"Polar"と同様の改造が施された極地輸送型。~
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--An-12PP：~
電子妨害機型。~
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--AN-12PS：~
[[捜索救難]]型。~
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-An-12R：~
主翼と尾翼を改良し、ロタレフD-36高バイパス[[ターボファン]]4基を搭載した型。~
この計画は後にAn-112へと発展した。~
~
--An-12RR：~
[[NBC>NBC兵器]][[偵察機]]型。~
前部胴体両側にエアサンプリングポッドを装備。~
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--An-12RU：~
[[JATO]]仕様。計画のみ。~
胴体後部左右にPRD-63[[固体燃料ロケット]]ブースターを装着される予定だった。~
~
-An-12SN：~
[[T-54]][[戦車]]の空輸を可能にするため、貨物室幅を3.45mに拡大した型。~
[[An-22]]が空輸に適していることが判明したため開発中止になった。~
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-An-12T：~
燃料輸送機型。必要に応じて貨物室に特殊なタンクを装備した。~
~
--An-12TP-2：~
南極での長距離輸送や探査任務に使用された機体。~
長い[[機首]][[レドーム]]や砲手席から延びる[[MAD>磁気捜索装置]]ブーム、断熱キャビン内のミッション機器などが装備された。~
~
-An-12U：~
BLC仕様機。計画のみ。~
圧縮空気は翼下ポッドのDK1-26圧縮機2基から供給された。~
[[JATO]]を使用することで、現場での性能を飛躍的に向上させることが想定されていた。~
~
-An-12UD：~
暫定的な[[航続距離]]延長型。~
ミヤシュチェフ[[M-4]][[爆撃機]]の[[補助タンク>増槽]]を2基を貨物室内に搭載している。~
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--An-12UD-3：~
搭載するミヤシュチェフ[[M-4]][[爆撃機]]の補助タンクを3基にした型。~
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