*&ruby(えーわん){【A-1】}; [#d74ef100]
Douglas A-1 &ruby(スカイレイダー){Skyraider};.~
~
[[第二次世界大戦]]末期に[[ダグラス社>ダグラス]]で開発された、[[アメリカ海軍]]の[[単発>単発機]][[レシプロ>レシプロエンジン]][[艦上攻撃機]]。~
[[空軍>アメリカ空軍]]との形式名称統合前は「AD」、また、開発当初は[[SBD]]の愛称を継いだ「XBT2D"ドーントレス"」と呼ばれていた。~

**開発の経緯 [#add6c4a1]
1940年代まで、[[航空母艦]]に搭載される[[艦載機]]は主として次の3タイプがあった。~
:[[艦上戦闘機]] |
主に[[機関銃]]で武装し、自[[艦隊]]及び攻撃目標の上空で[[戦闘空中哨戒]](または[[ファイタースウィープ]])を行って[[航空優勢]]を獲得・維持する。
:[[艦上爆撃機]]([[急降下爆撃機]])|
[[爆弾]]で武装し、[[急降下爆撃]]によって目標(敵艦隊・地上目標など)を攻撃する((アメリカでは艦隊前方海面における敵艦隊の捜索任務も割り振られていた。))。
:[[艦上攻撃機]]([[雷撃機]])|
[[航空魚雷]]もしくは[[爆弾]]で武装し、敵艦艇に対する[[雷撃]]、艦船・地上目標に対する水平爆撃、艦隊前方海面における敵艦隊の捜索などを行う。

しかし、艦船の対空防御力が強化されるにしたがって、[[艦上(急降下)爆撃機>急降下爆撃機]]に搭載できる程度の爆弾では艦船の甲板を破ることが難しくなってしまい(([[艦上爆撃機]]には、[[急降下爆撃]]のための俊敏さが求められていたため、当時の非力なエンジンではどうしても大型の爆弾を搭載できなかった。))、また、[[雷撃機]]にも[[対空火器>高射砲]]の火線をかいくぐれる敏捷性が求められるようになってきた。~
加えて、陸上の[[飛行場]]よりも狭い空間である[[航空母艦]]の艦内に多種多様な機体を搭載することによって起きるさまざまな不都合も問題となってきた。~
そこで、これらの問題を解決すべく、[[艦上爆撃機]]と[[雷撃機]]の2機種を統合した機体として「BTD"デストロイヤー"」が開発され、1943年にデビューした((同じ頃、[[日本海軍>日本軍]]でも同様のコンセプトを備えた「[[流星(B7A)>流星]]」が開発されている。))が、この機は重量オーバーによる操縦性の悪化が欠点となり、28機で生産が打ち切られた。~
本機は、これを教訓に根本的な改良を加え、汎用攻撃機([[マルチロールアタッカー]])として開発された。~
~
試作機は以下の4社により製作された。~
-[[マーティン社>マーチン]]:XBTM-1(後のAM(AM-1)「モーラー」)
-[[カーティス・ライト社>カーチス・ライト]]:XBTC-1
-カイザー・フリートウィングス社:XBTK-1
-[[ダグラス社>ダグラス]]:XBT2D-1~

要請に応じた各社の競合の結果、ダグラス社がXBT2D-1の受注を獲得した。~
~
日本との交戦中であった1945年3月に試作機が[[初飛行]]した本機であるが、実戦配備は対日終戦後の1946年12月にずれ込み、[[太平洋戦争]]には間に合わなかった。~

**特徴 [#s9ee56e1]
本機最大の特徴は、単発レシプロ機としては桁外れの[[ペイロード]]にある。~
左右主翼下7ヶ所及び胴体下部1ヶ所の計15ヶ所の[[ハードポイント]]に、最大3.1トンもの兵装を搭載できたが、これによって、非常に高い攻撃力と汎用性を得ることができ、後述するような多数の派生型を生み出した。~
>このパワーは、2,600〜3,000馬力を発する[[ライト>カーチス・ライト]][[R-3350]]エンジンの実用化と、[[ウェポンベイ]]構造を廃して全兵装を外部装着とし、機体の剛性を強化する設計を採用する事で実現された。~
これは本機の開発当時、[[陸軍航空隊>USAAF]]が使用していた[[四発>多発機]][[重爆撃機>爆撃機]]・[[B-17「フライングフォートレス」>B-17]]にも匹敵するものであり、同じ頃、日本で開発された同種の機体である「[[流星]]」が約1トンしか搭載できなかったことと比べれば破格のものであった。

本機のこの桁外れなペイロードは、現場兵士からは「キッチン以外に運べないものはない」と評された。~
これに対し、[[朝鮮戦争]]でとあるミッションに参加した機体が爆弾の代わりに流し台を[[パイロン]]にぶら下げて飛び、投下したことがある。~
また、後の[[ベトナム戦争]]時には更にここから発展して「この機が運んだことがないのはトイレぐらいであろう」というジョークが語られ、「それならば」と洋式便器を搭載して飛んでみせた、という逸話もある((この時は、わざわざ[[炸薬>爆薬]]と信管を便器に取り付けて爆弾に改造し、[[ハードポイント]]も便器を搭載できるように改造するほどの気合の入れっぷりだった。))。
>その後、更に派生して「さすがに[[バスタブ]]は無理だろう」という話が生まれ、実際に機外搭載物として運ぶ準備も進められていたが、これは上官に「さすがにやりすぎ」として出撃直前に止められたという。

最終改装型では[[核爆弾>核兵器]]の運用能力まで実装予定されており、文字通りあらゆる武器を搭載できうる攻撃機とされていた。

**戦果 [#eac13720]
上記の通り、[[第二次世界大戦]]には間に合わなかった本機であるが、1950年に勃発した[[朝鮮戦争]]では、(「流し台ですら運べる」と称された)大きなペイロードと[[戦闘機]]並みの[[空戦>ドッグファイト]]能力を生かして、海軍・[[海兵>アメリカ海兵隊]]航空隊の主力攻撃機として活躍した。~
>この戦争中、空母[[「プリンストン(CV-37)」>エセックス]]の搭載機が北朝鮮領内のダムを[[航空魚雷]]で攻撃する戦果を上げたが、これは2023年現在、世界軍事史上最後の「無誘導魚雷による攻撃によってあげられた戦果」となっている。

その後、1960年代にはジェット機の発達で旧式化したかに見えたが、[[ベトナム戦争]]では(ジェット機と比較して)小回りのきくことと大きなペイロードを買われ、[[ヘリボーン]]部隊の護衛やCSAR([[戦闘捜索救難]])といった任務で活躍した。~
特に後者では、救難ヘリの到着に先立つ要救助者の位置特定、要救助者を捕虜に取ろうとする敵に対する[[火力制圧>近接航空支援]]、救難ヘリの誘導・護衛といった重要な役目を担っていた。~
また、この任務中には、救難活動の妨害に襲来した北ベトナム空軍の[[MiG-17F>MiG-17]]ジェット[[戦闘機]]を2度[[撃墜]]するという戦果を上げている。~
>1回目(1965年)は4対1の状況で「ラフベリィ・サークル((通称「芝刈り機戦法」。2機ずつがチームを組んで旋回戦を挑む。))」で撃墜し、2回目(1966年)は[[オーバーシュート]]したところを[[機関砲]]で撃墜。

[[当初の運用者>ローンチカスタマー]]であった[[アメリカ海軍]]・[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]では1968年までに第一線を退いたが、[[アメリカ空軍]]では、[[ベトナム戦争]]の最末期である1970年代半ばまで護衛任務に使われ続けた。~
また、[[アメリカ軍]]以外には英国・[[フランス>フランス軍]]・カンボジア・ガボン・チャド・中央アフリカ・フィリピン・南ベトナムの各国軍でも使用されていた。~
~
なお、本機の後継として、エンジンを[[ターボプロップ]]化したA2D「スカイシャーク」が試作されたが、エンジンの信頼性の問題による開発の遅延と([[ターボジェット]]推進の)[[A-4]]が実用化されたことにより不採用となった。~
~
関連:[[サンディ]]

#ref(http://www.masdf.com/altimeter/chino/2nd/IMG_0496.jpg,600x400);
**スペックデータ(AD-6/A-1H)[#ic32ec58]
|乗員|1名|
|全長|11.84m|
|全高|4.78m|
|翼幅|15.24m|
|翼面積|37.19|
|翼型|主翼付け根:NACA2417&br;主翼先端:NACA4413|
|空虚重量|5,429kg|
|運用時重量|8,213kg|
|最大離陸重量|11,340kg|
|最大兵装搭載量|3,600kg|
|[[燃料]]搭載量|1,400L(機体内)|
|[[エンジン]]|[[ライト>カーチス・ライト]][[R-3350-26WA「サイクロン18」>R-3350]][[空冷>空冷エンジン]]星型18気筒×1基&br;(出力2,700hp(2,000kW))|
|[[プロペラ]]|エアロプロダクツ 定速4枚プロペラ|
|最大速度|518km/h(高度5,500m)|
|[[巡航速度]]|319km/h|
|[[航続距離]]|2,118km|
|[[実用上昇限度>上昇限度]]|8,700m|
|[[海面上昇率>上昇率]]|14.5m/s|
|[[翼面荷重]]|228kg/|
|パワー/マス|0.245kW/kg|
|固定武装|AN/M3(イスパノ・スイザ [[HS.404]])20mm[[機関砲]]×4門(装弾数200発)|
|兵装|胴体下[[パイロン]]:[[航空魚雷]]または[[増槽]]&br;主翼下パイロン(14か所):&br;2,000ポンド[[爆弾]]×2発または[[増槽]]×2本・[[ナパーム弾]]・無誘導[[ロケット弾]]・[[ガンポッド]]など|
~
**主な派生型(カッコ内は生産・改修機数) [#p7efdc2d]
-XBT2D-1(各タイプ計25機):~
R-3350-24Wエンジン(出力2,300hp)を搭載する原型機。~
~
-XBT2D-1N(試作3機):~
[[レーダー]]を搭載した3座夜間攻撃機モデル原型機。~
~
-XBT2D-1P(試作1機):~
カメラを搭載した[[写真偵察機>偵察機]]モデル原型機。~
~
-XBT2D-1Q(試作1機):~
複座の[[電子妨害機>電子戦機]]モデル原型機。~
~
-BT2D-2(XAD-2)(1機):~
改良型攻撃用試作機。~
~
-AD-1(BT2D-1)(242機):~
初期生産型。原型に比べて構造が強化された。~
~
--AD-1Q(35機):~
複座の電子妨害機型。~
仕様はXBT2D-1Qに準ずる。~
~
--AD-1U:~
電子妨害および標的曳航機型。非武装、水噴射装置なし。~
~
--XAD-1W(1機):~
三座の[[早期警戒機]]型原型機。~
~
-AD-2(156機):~
エンジンをライトR-3350-26W(出力2,700馬力)に換装し、燃料を増加、構造強化を施したモデル。~
~
--AD-2D:~
[[無人機]]改造型の非公式名称。~
核実験後の空気中の[[放射性物質]]を収集するのに使用された。~
~
--AD-2N:~
夜間攻撃型。~
~
--AD-2Q(21機):~
複座の電子妨害機型。~
~
--AD-2QU(1機):~
電子妨害および標的曳航機型。AD-1Uと同じく非武装、水噴射装置なし。~
~
--AD-2W:~
[[早期警戒機]]型。~
~
--XAD-2:~
原型機XBT2D-1の燃料タンク増大型。~
~
-AD-3:~
提案された[[ターボプロップ]]型。A2D「スカイシャーク」の初期指定。~
~
-AD-3(125機):~
燃料タンクの増大や着陸脚の強化・延長、[[キャノピー]]デザイン及び[[プロペラ]]が変更された型。~
~
--AD-3S(2機):~
[[対潜攻撃機>対潜機]]型。試作のみ。~
~
--AD-3N(15機):~
3座の夜間攻撃型。~
~
--AD-3Q(23機):~
[[電子戦機]]型。機器の再配置により搭乗員の居住性が改善された。~
~
--AD-3QU:~
標的曳航機型。もっぱらAD-3Qとして配備された。~
~
--AD-3W(31機):~
3座の[[早期警戒機]]型。改良型APS-20レーダーを搭載。~
~
--XAD-3E(AD-3E)(AD-3Wより2機):~
対潜任務機改修型。~
~
-AD-4(372機):~
全備重量を拡大し、自動操縦装置の追加や[[着陸脚>降着装置]]の強化、[[レーダー]]の改良などを施した型。~
~
--AD-4B(194機(生産165機・改修28機)):~
20mm[[機関砲]]を2門から4門に強化し、[[戦術核爆弾>戦術核兵器]]の運用能力を付与した型。~
~
--AD-4L(63機):~
寒冷地対応能力強化型。主に韓国への配備用。~
~
--AD-4N(A-1D)(370機):~
3座の夜間攻撃および電子妨害型。~
~
--AD-4NA:~
AD-4Nの対地攻撃機改良型。~
夜間装備を撤去し、20mm[[機関砲]]を2門から4門に強化した。~
~
--AD-4NL(36機):~
AD-4Nの極地対応能力強化型。~
~
--AD-4Q(39機):~
AD-4の複座の電子妨害機型。~
~
--AD-4W(168機):~
3座の早期警戒機型。~
~
---Skyraider AEW Mk.1(50機):~
イギリス[[海軍]]での呼称。~
~
-AD-5(A-1E)(212機):~
[[サイド・バイ・サイド>サイドバイサイド]]配置の複座型。~
[[垂直尾翼]]面積を拡大し、側面の[[ダイブブレーキ]]を廃止。~
~
--AD-5N(A-1G)(239機):~
4座の夜間攻撃および電子妨害型。~
~
--AD-5Q(EA-1F)(54機):~
4座の電子妨害機型。~
~
--AD-5S(1機):~
対潜作戦評価機型。~
[[磁気異常探知装置(MAD)>磁気捜索装置]]を装備。~
~
--AD-5U:~
標的曳航/多用途[[輸送機]]改修モデル。~
~
--AD-5W(EA-1E)(218機):~
[[早期警戒機]]型。~
[[AN/APS-20]]レーダーを搭載。~
~
--UA-1E:~
AD-5の汎用機型。~
~
-AD-6(A-1H)(713機):~
低空侵攻用近接支援機モデル。精密低空爆撃用機器を装備。~
~
-AD-7(A-1J)(72機):~
エンジンをライトR3350-26WB(出力3,050馬力)に換装し、機体構造を強化した最終生産型。~
~

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