*&ruby(げんあつしょう){【減圧症】}; [#b9a81645]

生体が急激な[[気圧]]低下に遭遇した際に発症する疾病。~
[[高高度>高度]]に上昇した[[エビエーター]]や、地上に帰還した[[サブマリナー]]に見られる。~
潜水士・[[潜水艦乗組員>サブマリナー]]が地上へ浮上した後、または[[航空機]]が[[高高度>高度]]に上昇した後に見られる。~
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直接の原因は、大気中に含まれる窒素や、[[潜水艦]]に用いられるヘリウムである。~
こうした成分は呼吸を通じて血液中に溶け込み、気圧が急低下すると沸騰を起こして血管を閉塞させる。~
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この疾病により、初期・軽症の段階で関節痛が現れる。~
脳への酸素供給が滞ってアルコールに似た酩酊・目眩・幻覚・思考力低下などを伴う事も多い。~
重篤な場合はチアノーゼや呼吸困難などの症状を呈し、神経系や骨格などに永続的な後遺症を及ぼす。~
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一度発症すると自然治癒しない疾病であり、治療法は事実上「高気圧環境下で高濃度の酸素を吸引する」事のみ。~
酸素吸入だけでも一定の効果があるが、万全を期すなら高気圧環境を確保する事が望ましい。~
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応急処置としては、患者を再び潜水させる事で高圧環境を確保する事がある(再浮上に際して再発の恐れがあるが)。~
海上での応急処置として、患者を潜水させる事で高圧環境を確保する事がある(浮上に際して再発の恐れがあるが)。~
医療機関では、人間を格納した上で安全に与圧できる「高気圧酸素カプセル」を利用するのが基本的な治療法となる。~
巨大で高額な高気圧酸素カプセルを設置している医療機関は限られており、受け入れ可能人数にも制限がある。~
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幸いな事に、人間が普通に起こし得る行動で減圧症に至る事はほとんどないとされている。~
とはいえ、さすがに「午前中にスキューバダイビング、午後に登山」とまでなれば発症の危険が大きい。~
同様の理由から、潜水を行ってから24時間経過するまでは[[航空機]]に搭乗すべきではないとされている。~
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関連:[[エアロック]] [[与圧服]]

**予防・緩和の手段 [#ieb5bc61]
減圧症の発生を事前に予防したり、症状の進行を緩和するための手段としては以下のような方法がある。
-急激な気圧変化が起きないよう、上下方向への移動速度をできる限り遅延させる。
-極端な低圧環境に[[被曝]]する前に高濃度の酸素を吸入しておく。~
これにより症状の緩和が期待できる、とされている。
-[[コックピット]]・[[フライトデッキ]]・[[キャビン]]の与圧を通常運行よりも高気圧に設定する。~
-乗員に[[与圧服]]や[[宇宙服]]を着用させる。
-[[宇宙船]]や[[潜水艦]]では、船外作業員が出入りする開口部に[[エアロック]]を設け、そこを通じて出入りさせる。

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