*&ruby(とーねーど){【トーネード】}; [#va3d802a]
PANAVIA 200 MRCA Tornado.~
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[[ワルシャワ条約機構]]軍の脅威に対抗するため、イギリス・西ドイツ・イタリアの三カ国が共同開発した[[多任務戦闘航空機>マルチロールファイター]]（MRCA：Multi Role Combat Aircraft）。~
（計画当初はオランダも参加していたが、途中で脱退している）~
共同で機体開発をするため合弁のパナビア・エアクラフト（Panavia Aircraft GmbH）社が、同じく[[エンジン]]開発のためターボ・ユニオン社が設立された。~
原型機の[[初飛行]]はP.01（西ドイツ）が1974年8月14日、P.02（イギリス）が1974年10月30日、P.05（イタリア）が1975年12月5日。~
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高度な[[アビオニクス]]を操るため複座型のみの生産となり、長い[[航続距離]]や[[STOL]]性、速度性能が要求されたために[[可変後退翼]]や近代多用途機には珍しい[[スラストリバーサー>逆噴射装置]]を装備するという、小型機としては異例の設計となった。~
また、可変後退翼は[[主翼]]の角度に合わせて兵装[[パイロン]]の角度を変える翼角連動式の[[ハードポイント]]を持ち、主翼の[[後退角]]が変化しても兵装パイロンは常に進行方向を向く機構となっている。~
当初は共通の機体を設計して装備変更により各種任務へ対応する計画だったが、これは実現せず、任務別に大別して三種類の機体が存在する。~
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なお、[[イギリス空軍>RAF]]は2019年までにトーネードを全機退役させ、戦術戦闘機を[[タイフーン>ユーロファイター・タイフーン]]と[[F-35B>F-35]]に置き換える計画を発表している。~
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**スペックデータ [#w3e81dea]
|>|CENTER:''トーネードIDS/GR.4''|
|乗員|2名（操縦士、[[兵装管制官>兵装システム士官]]）|
|全長|16.72m|
|全高|5.95m|
|翼幅|13.91m（[[後退角]]25度）/8.6m（後退角60度）|
|翼面積|26.6��|
|空虚重量|13,890kg|
|総重量|20,240kg|
|[[エンジン]]|ターボユニオン RB199-34R Mk.103[[アフターバーナー]]付き[[ターボファン]]×2基|
|[[推力]]|43.8kN（9,800lbf）（[[ドライ>ミリタリー推力]]時）&br;76.8kN（17,300lbf）（[[A/B>アフターバーナー]]時）|
|最高速度|[[マッハ]]2.2&br;1,482km/h（海面上、[[IAS>指示対気速度]]）|
|[[航続距離]]|1,390km|
|[[フェリー>回航]]航続距離|3,890km|
|[[上昇限度]]|15,240m|
|[[翼面荷重]]|767kg/��|
|[[推力重量比]]|0.77|
|固定武装|[[マウザーBK-27>BK27]] 27mm[[リボルバーカノン]]×2門（装弾数180発）|
|[[ハードポイント]]|8ヶ所（ショルダーレール含む）、兵装最大[[積載量>ペイロード]]：9,000kg|
|>|CENTER:兵装|
|[[ミサイル]]|[[AIM-9「サイドワインダー」>AIM-9]][[空対空ミサイル]]&br;[[AGM-65「マーベリック」>AGM-65]][[空対地ミサイル]]×6発&br;ブリムストーン空対地ミサイル×12発&br;ストームシャドウ[[巡航ミサイル]]×2発&br;ALARM[[対レーダーミサイル]]×9発|
|爆弾類|[[ペイブウェイ��>ペイブウェイ]] 500ポンド[[GPS>全地球測位装置]]/[[INS>慣性航法装置]]/[[レーザー誘導爆弾]]×5発&br;ペイブウェイ�供�Mk.20）1,000ポンドレーザー誘導爆弾×3発&br;GBU-24/EGBU-24「ペイブウェイ�掘�2,000ポンドレーザー誘導爆弾×2発&br;BL755[[クラスター爆弾]]×2発&br;JP233またはMW-1小爆弾・[[地雷]]散布ディスペンサー×2基（対[[滑走路]]用）&br;B61またはWE.177[[戦術核爆弾>戦術核兵器]]×4発|
|その他|[[ドロップタンク>増槽]]×4基|
|[[アビオニクス]]|RAPTOR空中[[偵察]][[ポッド]]&br;ラファエル [[ライトニング]]照準ポッド&br;TIALD[[レーザー]]目標指示ポッド&br;GEC「スカイシャドウ」[[ECM]]ポッド|
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|>|CENTER:''トーネードADV/F.3''|
|乗員|2名（操縦士、兵装管制官）|
|全長|18.68m|
|全高|5.95m|
|翼幅|13.91m（[[後退角]]25度）/8.6m（後退角60度）|
|翼面積|26.6��|
|空虚重量|14,500kg|
|最大離陸重量|27,986kg|
|[[エンジン]]|ターボユニオン RB199-34R[[アフターバーナー]]付き[[ターボファン]]×2基|
|[[推力]]|40.5kN（9,100lbf）（[[ドライ>ミリタリー推力]]時）&br;73.5kN（16,500lbf）（[[A/B>アフターバーナー]]時）|
|最高速度|[[マッハ]]2.2（高度9,000m）&br;1,482km/h（海面上）|
|[[戦闘行動半径]]|1,853km（[[亜音速]]時）&br;556km（[[超音速]]時）|
|[[フェリー>回航]]航続距離|4,265km（[[ドロップタンク>増槽]]×4基装備時）|
|[[上昇限度]]|15,240m|
|固定武装|[[マウザーBK-27>BK27]] 27mm[[リボルバーカノン]]×1門（装弾数180発）|
|[[ハードポイント]]|10ヶ所（胴体下埋込式（[[AAM>空対空ミサイル]]用）×4、胴体下×2、両主翼下×4）&br;兵装最大[[積載量>ペイロード]]：9,000kg|
|兵装|AIM-9「サイドワインダー」またはAIM-132「ASRAAM」AAM×4発&br;[[スカイフラッシュ]]または[[AIM-120「AMRAAM」>AIM-120]]×4発&br;ドロップタンク×2基（フェリー時は4基）|
|[[アビオニクス]]|GEC-マルコーニ/フェランティ AI.24「フォックスハンター」[[火器管制レーダー>火器管制装置]]|
**派生型 [#e108d9a5]
-トーネードIDS（Interdictor-Strike：阻止攻撃）：~
基本型で多用途攻撃機型。~
固定武装として[[マウザー]][[BK27]] 27mm[[機関砲]]を2門備える。~
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敵の地上部隊・前線基地・[[後方支援>兵站]]・[[艦艇]]などに打撃を与えるため開発された。~
[[慣性航法装置]]と[[ドップラーレーダー]]の組み合わせにより、高精度の自律航法が可能である。~
また、敵の[[レーダー]]網をかいくぐるため[[地形追随飛行]]能力を持つ。~
~
エンジンには長距離侵攻のために燃費の優れるRB199[[ターボファン]]が設計され、双発で装備された。~
対空砲火を避けるためきわめて小型の機体設計となり、低空での安定性を重視して翼面荷重や[[垂直尾翼]]面積は大きく設計された。~
~
--トーネードECR：~
[[ドイツ空軍>ルフトバッフェ]]・[[イタリア空軍>イタリア軍]]で使用されている[[電子戦闘偵察>電子戦機]]型。~
電子戦闘偵察と謳っているが、実際の主任務は[[敵防空網制圧]]である。~
固定武装を廃し、レーダー攻撃用の[[AGM-88 HARM>AGM-88]]と自衛用の[[AIM-9]]、[[ECM]][[ポッド]]などを装備する。~
イタリア空軍では赤外線画像システムを搭載しているが、ドイツ空軍は搭載していない（SEAD任務に徹するためという）。~
~
--トーネードRECCE：~
ドイツ空軍が[[RF-4E>F-4]]の後継として開発した偵察機型。~
偵察ポッドを搭載。~
~
-トーネードADV（Air Defence Variant：防空型）：~
IDSをベースに開発された防空・[[要撃]]戦闘機（[[全天候戦闘機]]）型。~
イギリスが[[ライトニング>ライトニング（戦闘機）]]と[[ファントムFGR.2>F-4]]の後継として独自開発した。~
イギリスが[[ライトニング>ライトニング（ジェット戦闘機）]]と[[ファントムFGR.2>F-4]]の後継として独自開発した。~
~
[[戦闘空中哨戒]]や[[要撃]]などの任務に対応するため、大幅な設計変更がなされた。~
空中戦に対応するため、AI.24「フォックスハンター」[[パルスドップラーレーダー]]の装備、空力特性の改善、[[エンジン]]の強化、[[可変後退翼]]の自動化などをおこなった。~
滞空時間を延長するため、胴体を延長して燃料タンクを増設し、左舷の機関砲を外して空中給油用の引込式[[プローブ]]を装備した。~
固定武装は[[BK27]]が1門のみで、胴体下に[[スカイフラッシュ]]や[[AIM-9]]といった[[空対空ミサイル]]を装備する。~
~
英空軍の他、サウジアラビア空軍に24機が輸出・運用され、[[イタリア空軍>イタリア軍]]も1993年から2003年まで24機をリースで使用していた。~
~
日本の[[FSX>FX]]に提案された型がこのADVで、ADVの長い胴体で燃料容量と兵装搭載スペースを確保した上で、この機のファイアフォックスレーダーにIDSの対地攻撃能力を付与する案であった。~
一時は日本の[[FX]]（次期主力戦闘機）の母機としてイギリスから提案があったが、[[F-15J/DJ>F-15]]が採用されたため、実現しなかった。~
~
長らく西欧の防衛を担ってきたが、[[ユーロファイター・タイフーン]]に更新され、イギリス空軍では2011年3月に最後の運用部隊が解散し、退役した。~
***イギリス空軍向け [#u3bc4349]
-トーネードGR.1：~
イギリス空軍向け攻撃機型。GRは地上攻撃・偵察（Ground attack/Reconnaissance）の略。~
基本はIDSと同様だが、レーザー測距・目標指示装置（LRMTS：Laser Range Finder and Marked Target Seeker）が装備されている。~
後に[[ALARM]][[対レーダーミサイル]]を使用できるように改修され、[[敵防空網制圧]]も任務となった。~
~
--トーネードGR.1A：~
GR.1の偵察機改修型。~
[[機関砲]]を2門から1門に減らし、その箇所に赤外線偵察システム・赤外線ラインスキャンカメラを装備している。~
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--トーネードGR.1B：~
[[バッカニア]]の後継として配備された対艦攻撃型。~
~
--トーネードGR.4/GR.4A：~
MLU（Mid-Life Update）改修型。~
電子機器や兵装システムが一新され、[[GPS>全地球測位装置]]の受信能力が備えられた他、広角[[ヘッドアップディスプレイ>HUD]]、[[FLIR]]、暗視ゴーグルなども追加装備された。~
この改修により夜間攻撃能力が向上したほか、レーダーに依存しない航法能力を獲得した。~
~
-トーネードF.2：~
複座の全天候要撃戦闘機型。~
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--トーネードF.2A：~
F.2の電子機器をF.3と同等にした型。~
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--トーネードF.3：~
改修型。~
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--トーネードEF.3：~
トーネードF.3にALARM[[対レーダーミサイル]]を搭載する改装を施した敵防空網制圧型。~
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