【ZSU-23-4】(ぜっとえすゆーにじゅうさんよん)

Зенитная(Zenitnaya) Самоходная(Samokhodnaya) Установка(Ustanovka) 23-4

ソビエトの開発した自走式対空機関砲
愛称は『シルカ』。防空兵器に河川名を用いるソ連の命名規則に従い、アムール川水系のシルカ川から命名された。
正式名称は『自走高射装置』の意で、末尾の数字は23mm機関砲を4門搭載している事を示す。

砲身の冷却機構に欠陥があり、砲身や火器管制装置の故障が多発した。
4門同時に射撃すると砲身焼損を避けられないため、緊急時以外は1門か2問のみ用いて射撃された。
この理由から機甲部隊の最前線への投入は忌避され、部隊後方に配置される事が多かった。

2K12「クープ」9K31「ストレラ-1」などの地対空ミサイルを潜り抜けた機体を近距離から仕留める運用が想定される。
第4次中東戦争で実戦投入され、低空侵入したイスラエル国防軍機を多数撃墜している。
また、アフガニスタン紛争?では輸送部隊の護衛に付き、山岳からのアンブッシュを迎撃した。

後継として2K22(2S6)「ツングースカ」が開発されたが、置換は進んでおらず、現在でも現役。
また、イラクなどの中東諸国やアフリカ、北朝鮮などに輸出され運用されている。

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スペックデータ

乗員4名
全長6.53m
全高3.57m(レーダー起立時)
全幅3.12
戦闘重量20.5t
懸架・駆動方式トーションバー
エンジンV-6Rディーゼルエンジン(出力280hp)
登坂力60%
超堤高1.1m
超壕幅2.8m
最大速度65km/h(路上)
行動距離550km
装甲15mm(車体前面)/9.2mm(砲塔前面)
レーダーRPK-2「ヴィユーガ」(NATOコード:B-76「ガンディッシュ」)
兵装AZP-23 液冷式23mm機関砲×4門(弾数2,000発)
9K38「イグラ」6基、または9K310「イグラ-1」

バリエーション

ZSU-23-4
1964年に開発された初期量産型。
量産型とは砲塔前面部の形状が異なる。
ZSU-23-4V
1968年の量産型。
電子機器の冷却システムと車内換気システムを改良し、車長用光学照準器を装備している。
ZSU-23-4V1
1972年の発展型。
射撃管制装置エンジンを更新している。
ZSU-23-4M:
1977年の発展型。
レーダーをRPK-2「トーボル」から「ヴィユーガ」に換装、火器管制装置をデジタル化。
銃身に追加装甲を施された。
1〜3個の砲塔外付け式弾薬庫により個別に作戦行動を取れるようになった。
ZSU-23-4MZ
1977年の部分改良型。
IFFを搭載。既存のM型も順次この型に改良されている。
ZSU-23-4M2
1987年の近接戦闘モデル。
アフガン紛争で対ゲリラ戦用途に投入された、通称「アフガン型」。
レーダーが撤去されて弾薬庫に換装され、搭載弾数は2,000発から4,000発に増加。
戦車用の暗視装置を搭載した他、1RL133『Credo』地上監視用レーダーのマウントを砲塔右前面に設置。
ZSU-23-4M4
1999年の近代化改修型。
駆動部を油圧ポンプ式に改良し、センサーと射撃管制装置を近代化。
近距離地対空ミサイル2基を砲塔上に搭載している。
ZSU-23-4M5
ベラルーシで開発された改良型。
センサーと火器管制装置が近代化。
され、砲塔後部左右に近距離地対空ミサイル3基を搭載している。
ZSU-23-4MP Biala
ポーランドで開発された改良型。
火器管制装置と照準装置を改良。
砲塔上右側に国産の「グロム*1地対空ミサイル2基を搭載。
ZRAK*2 ドネーツィ
1999年にウクライナで開発された後継型。
T-80UDのシャーシにZSU-23-4の砲塔を搭載、ストレラ-10携行SAMの連装発射機を装備した。
4M4
ウクライナで開発された改良型。
4M5
ベラルーシで開発された改良型。
M1993(仮称、正式名称不明)
北朝鮮で開発された改良型。機関砲を30mm連装機関砲に換装した。

*1 Grom:雷の意。
*2 ウクライナ語で防空ロケット(ミサイル)−砲システムの略。

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