【Yak-38】(やこぶれふさんじゅうはち)

旧ソビエトのヤコブレフ設計局が開発・生産したVTOL機。
NATOコードForger(フォージャー)*1
英国のハリアーに対抗して設計され、キエフ級航空巡洋艦攻撃機シュトゥルモヴィーク)として運用された。

VTOL用の2基のリフトエンジンを持ち、最大離陸重量はハリアーを上回る。
ただし、当初から艦載機として開発されたため、陸上での運用も考慮していたハリアーに対して本機はSTOLが不可能であり、実用上はSTOVLであるハリアーに比し運用レベルでの最大離陸重量は劣っている。
また、同機の特徴であるリフトエンジンは、離着陸時以外は死荷重として兵装や燃料面での性能の悪化を引き起こしてしまい、ペイロード戦闘行動半径などにおいて、ソ連海軍に要求される能力を満たすことができなかった。
ソ連のアフガニスタン侵攻では対地攻撃任務に投入されたが、対地攻撃能力がシステムと兵装両面で不足しており、殆ど役に立たなかった。

実際のところ、この機の真の目的は「ソ連でもVTOL機を設計・生産し運用することができる」ことを誇示するという象徴的な意味あいが強く、殆どその目的だけに運用が続行された。

さらにVTOL時の安定性が極めて悪く、生産された200機中、少なくとも20機が事故により失われるという、他機ではありえないほど高い数字になっていた。

しかし、同じVTOL機であるハリアーも、開発当初にはほぼ同じ割合で墜落しており、本機だけの欠点とは言いがたい。

後にエンジンを改良し、ペイロードを増加して、能力をハリアー並にした発展型のYak-38Mも登場したが、時既にソ連崩壊の足音が近づくころで、ほとんど運用されることはなかった。

関連:Yak-36? Yak-141

http://weapons-free.masdf.com/air/russia/yak38.html

性能諸元

種別艦上攻撃機(シュトルモビク
開発ヤコヴレフ設計局
初飛行1970.12.2
乗員1名
全長15.50m
全高4.37m
全幅7.32m
主翼面積18.5
空虚重量7,485kg
最大離陸重量11,700kg
最大兵装搭載量1,360kg
エンジン推進用:ツマンスキーR-27V-300ターボジェット×1基(推力6,930kg)
リフト用:コリェソフRD-36-35-FVRターボジェット×2基(推力3,570kg)
最高速度1,150km/h
上昇率(海面上)4,500m/min
実用上昇限度12,000m
航続距離680km(内部燃料のみ、滑走離陸時)/500km(垂直離陸時)
武装機体外部に1,500kgまでの武装を搭載可能。
UPK-23-250ガンポッド×1基(GSh-23 23mm機関砲を装備)
R-60AAM×2発
Kh-23?ASM×2発
S-5ロケット弾
FAB-100、FAB-500無誘導爆弾
アビオニクスASP-PFD-21光学式照準装置
運用国ソ連/ロシア ウクライナ


派生型(カッコ内は生産機数)

  • Yak-36M(3機):
    原型試験機。

  • Yak-38(143機):
    基本型。

  • Yak-38M(53機):
    Yak-38をベースにエンジンを強化した発展型。

  • Yak-38U(38機):
    後席に副操縦装置を備えた複座練習機型。
    ノーズコーンを変形させ、機首のレドームが撤去されている。


*1 「(ハリアーの)まがい物」の意。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS