*&ruby(ぶいえいちななじゅういち){【VH-71】}; [#q05e2405]
Agusta-Westland/Lockheed Martin/Bell VH-71
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[[アグスタウェストランド]]社の大型対潜/輸送ヘリコプター、[[AW101]]の派生型で、[[アメリカ海兵隊]]が大統領専用ヘリ「マリーン・ワン」として導入しようとした機体。~
愛称は「ケストレル((チョウゲンボウの意。))」。~
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[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]は、[[陸軍航空隊>USAAF]]から大統領の近距離輸送任務を引き継いで以来、この任務にはシコルスキー[[SH-3]]「シーキング」対潜ヘリをベースとした「VH-3」を使用していたが、原設計から半世紀経過した同機は老朽化・陳腐化が否めなかった。~
また、この後継として[[UH-60]]「ブラックホーク」をベースとした「VH-60」も使用されていたが、こちらは[[輸送機]]([[C-5]]、[[C-141]]、[[C-130]]や[[C-17]]など)で容易に運搬でき、世界各地への展開が容易になった反面、[[キャビン]]の居住性が劣っていた。~
これら2機種を代替すべく採用されたのが本機であった。~
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2005年にロッキード・マーティン社が「US-101」として[[アグスタウェストランド]]と[[ライセンス生産]]契約を締結したが、ロッキード・マーティンはヘリコプターの経験に乏しく((母体のひとつであるロッキード社は、本機の約40年前に開発された[[AH-56]]が一度は採用されたものの、最終的にキャンセルとなった経験を持っている。))、機体の製作は、[[UH-1]]/[[AH-1]]ファミリーなどでヘリコプターの経験が豊富なベル社が受け持つこととされた。~
当初、海兵隊は本機を27機導入し、VIP輸送飛行隊を編成する計画だったが、開発の過程で、核爆発によって起きる[[電磁波]]障害への対処やキッチンの設置など、生存性・居住性をさらに高める改修項目がどんどん追加され、開発予算総額や1機あたりの価格がオリジナルの20倍にも高騰してしまった。~
>最終的に、当初60億ドル程度の予定だった開発予算が総額112億ドル(1ドル=85円換算で9,520億円)と、[[イージス艦]]10隻が建造できる額まで膨れ上がり、1機当たりの価格も4億ドル(340億円・[[F-22]]約2.5機分相当)と、超大型旅客機・[[B747]]をベースとした[[VC-25「エアフォースワン」>エアフォースワン]](3億2500万ドル)よりも高額になってしまった。

そのため、2008年の選挙で勝利したバラク・オバマ大統領が打ち出した経費削減策の一環として、2009年6月に導入の中止が決定された。((この時点で2機が既に完成済みであり、7機が完成間近の状態であった。))((時を同じくして、[[空軍>アメリカ空軍]]が[[捜索救難]]ヘリとして計画していた[[HH-47>CH-47]]もキャンセルされてしまった。))~
今後、同機のために積み立てられた資金はVH-3/VH-60のアップデートに活用されるというが、このことについて「老朽化したヘリを使用すべきではないし、予算をつぎ込んだプランを中止すべきではない」という意見もあるという。

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