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*&ruby(ぶいしーにじゅうご){【VC-25】}; [#td0b43f5]
[[アメリカ空軍]]が運用する[[大統領専用機>政府専用機]]。~
[[ボーイング]]社製の超大型[[旅客機]]・[[B747-200B>B747]]をベースにした「A型」と、その近代化版である[[B747-8IC>B747-8]]をベースにした「B型」がある。~
**VC-25A [#mccc551a]
Boeing VC-25A / 747-2G4B~
>ボーイング社内では機体種別に顧客コードG4（合衆国連邦政府を指す）を付与して「747-2G4B」と表記する。
1986年、それまで大統領専用機として用いられてきた[[VC-137C（B707）>B707]]の後継機として開発が開始され、1990年に[[初飛行]]。~
~
非公式に「[[エアフォースワン]]」の[[愛称]]でも呼ばれる。~
これは[[アメリカ空軍]]の機体に大統領が搭乗する際、その機体に「[[エアフォースワン]]」のコールサインが割り当てられる事に由来する。
>[[アメリカ空軍]]管理下のどのような機体でも((典型的には、非常時に空中指揮所として使われる[[E-4B>E-4]]や、本機が着陸できない[[空港]]・[[飛行場]]への飛行に用いられる[[C-32A>B757]]など。))大統領が乗っていれば「[[エアフォースワン]]」である。~
従って、特定の機体を指して「[[エアフォースワン]]」と呼ぶのは混同を招くためあまり望ましくはない。
[[アメリカ空軍]]第18空軍((部隊管理上は空軍航空機動軍団の、作戦指揮上は[[アメリカ輸送軍]]の管轄下にある。))隷下・[[第89空輸航空団>航空団]]大統領空輸群に所属し、メリーランド州アンドリューズ空軍基地をベースとしている。~
[[機長]]は空軍大佐が勤め、乗務員は[[フライトアテンダント]]も含めて全員[[アメリカ空軍]]の将兵である。~
[[機内食]]などの消耗品もアンドリューズ空軍基地で厳重に管理され（調達手段は軍事機密）、現地調達は禁じられている。
>[[操縦士>エビエーター]]訓練課程の一部を「アトラス航空」((ニューヨーク州パーチェスに拠点を置く貨物航空会社。[[貨物型B747>B747F]]を多く運用している。))に委託しているが、同社はVC-25Aの実機に触れる事を許されていない。
離着陸する[[空港]]にも、その都度事前に空軍関係者やシークレットサービスが配置されて厳重な安全確保を行う。~
必要であれば大統領令で[[海兵隊>アメリカ海兵隊]]を動員して現地周辺に厳戒態勢を敷く事もできる(([[アメリカ海兵隊]]の項にもあるように、アメリカ海兵隊はアメリカ合衆国大統領の「[[親衛隊]]」でもある。))。~
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大統領は在任中、公私を問わず本機を使用する事ができると定められている。~
このため、24時間対応の運用体制が敷かれ、一度も使用されなかった場合でも5カ月に一度は徹底的な整備点検が行われる。~
主な用途は国外訪問および演説・選挙戦のための国内移動、および国賓・公賓への応対。~
加えて、大統領の休暇中の移動にも用いられる（警備上の理由により、現職の大統領は民間機や公共交通機関を利用できない((これは移動中の[[暗殺]]を危惧してのことである。))）。~
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現在、[[機体記号]]82-8000（テールナンバー28000）・92-9000（テールナンバー29000）の2機が存在する。~
82-8000が優先的に使用され、92-9000は予備機および副大統領・閣僚の搭乗機（エアフォースツー）として使用される。~
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予想される[[運用寿命]]は約30年であり、2021年までに後継機を導入する事が計画されている。~
ボーイング[[B747-8IC>B747-8]]・[[エアバス>エアバス（企業）]][[A380]]が候補になっていたが、2015年1月に[[B747-8IC>B747-8]]が内定している（後述）。~
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関連：[[エアフォースワン]] [[B747-47C]] [[政府専用機]] [[B777-3SBER]]
***機体の構成 [#q179676d]
原型機との主たる差違は以下の通り
-[[核戦争]]を想定し[[機体の電子機器>アビオニクス]]に電磁パルス対策を講じている（耐性の程度は非公表）~
-[[空中給油]]に対応
-緊急離陸時にのみ使用される予備燃料タンク。単体で約1,600kmの航続が可能
-[[地対空ミサイル]]で攻撃を受ける事を想定した防御装備
--AN/AAR-54(V)[[ミサイル接近警報装置]]（尾部）
--AN/ALQ-204「マタドール」赤外線ジャマー5基（尾部と各エンジン後部）
--AN/AAQ-24「ネメシス」[[赤外線]]ジャマー2基（尾部）
--[[チャフ]]/[[フレア]]発射機
-[[キャビン]]の全面改装
***キャビンの構成 [#o58e02b7]
キャビンは要人専用機として全面改装が施されており、座席数は70席程度。~
[[B747]]標準モデルが350席であるから、乗客数は5分の1位になった計算になる。~
そのスペースのほとんどは安全上の配慮と大統領としての執務のために配置されている。~
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[[キャビン]]の構成は原則として非公開だが、一部がテレビ公開された事があり、以下のような構成であると推定されている。
:一階席|
::大統領の執務室|
::事務室|
::寝室|ソファーはベッドにもでき、長距離飛行時は大統領搭乗前からベッドにされる。
::会議室|密閉・防音仕様。手術室にも転用可能。~
[[9.11事件]]後は地上との会議・声明発表用のテレビ会議システムが追加された。
::医務室|空軍所属の軍医が詰めている。
::シークレットサービス待機区画|
::一般客室|[[マスコミ]]関係者などが搭乗する。
::武器庫|詳細不明。[[拳銃]]・[[軽機関銃]]などが保管されていると推定される。
::ビジネスセンター|ファクシミリ、コピー機、ワークステーションなどの区画。
::ギャレー（2か所）|[[機内食]]の調理とドリンクの準備を行う。~
搭乗予定の要人ごとに食事・喫茶の要望が事前調査され、各人個別の詳細な給仕マニュアルが用意されている。~
接客上の要求から、運航上危険な調理器具（電子レンジ・オーブンなど）も特別な安全対策を講じた上で備え付けられている。~
>日本の[[航空自衛隊]]が運用していた[[B747-47C]]（及び後継の[[B777-3SBER]]）のように、会議室や事務室を一般客室に変更することはできない。
:二階席|
::コックピット|操縦系統はクラシックジャンボの民間仕様と同様の[[3マンクルー]]だが、[[航空士]]（[[航法員]]）の席も設置。~
一部[[計器]]類は[[B747-400]]と同様に[[グラスコックピット]]化されている。
::通信室|87台の電話機(機密回線も含む)とインターネット回線・衛星テレビ設備。~
秘密通信の暗号化・復号化も行う。
:階下|
::貨物室|[[タラップ]]や[[ボーディングブリッジ]]のない[[空港]]や[[飛行場]]に着陸した際に備えて収納式の[[エアステア>タラップ]]が備えられている。~
>映画では「脱出ポッド」などがあるように描写されていたものもあるが、実機にはそういったものは存在しない。~
**VC-25B [#ua81b2f1]
上記のVC-25Aの老朽化に伴い、[[B747-8IC>B747-8]]をベースに改装した機体。~
2023年度以降に就役の予定となっている。~
2024年度以降に就役の予定となっている。~
>当初は新造機を3機導入する予定だったが、ドナルド・トランプ大統領（当時）の打ち出した経費節減のため、ロシアのトランスアエロ航空が発注した後、同社の破綻によってボーイングで[[保管>モスボール]]されている機体2機を改装して用いる予定だという。
